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tara_moso
2026-06-20 00:13:13
28876文字
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第一回 利き文企画!(CP無し/全年齢作品)
8人の書き手が同じプロットをもとにお話しを書きました。
誰がどの番号のお話を書いたのか、ぜひ当ててみてください!
※お話はカップリング無し&全年齢 です
〇プロット・書き手紹介(敬称略:50音順)
プロット担当:たばす
書き手:kou / すったん / すもも / tara / てぬたろ / 生炭 / 冬日 / マチ
※掲載順ではありません
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⑦
よく晴れた夜空の下、マークは帰路についていた。今日の仕事は昼過ぎからだったから比例してすっかり夜も深くなっていて、おまけに今日という日は今にも落ちてきそうな真円の満月が煌々と光っていていたが、マークの足取りは軽かった。
住み慣れたアパートの足元から見上げると、5階にあるマークの部屋の窓にかかったカーテンの隙間から光が漏れていた。自分と、自分と同じだけど違う2人と暮らす3人の家にマークは今日も帰ってきた。
3つある内のひとつの合鍵でドアを開くと外から見えたものと同じ光とよく知った声がマークを出迎える。
「今帰りか?遅かったじゃないか」
玄関から見て左奥にあるキッチンからジェイクが言った。親愛を持って出迎えるスティーヴンとは違った、振り向きもしないこの同居人の兄弟のような親友のような気安さもマークは好んでいた。
「遅番だって言ってなかったか?」
「どうだったかな」
「まあいい大した問題じゃない。遅くなったついでに夕飯を買ってきたんだが、おまえも何か作っていたのか?」
「そんなちゃんとしたもんじゃない。軽くつまめる酒のあてみたいなものだ。なに、心配しなくても3人分ある」
「つまみってことは晩飯はまだと思っても?」
「ああ」
「じゃあそれとこのデリで立派なディナーの完成だな」
玄関から見える位置にキッチンの見える部屋を借りて良かったとマークは常々密かに思っている。それは半分にほんの山のできているソファや、3匹の金魚が泳ぐ水槽に対しても同じだった。
「何作ってるんだ?」
「ん〜、冷蔵庫にあったもんで適当に。」
キッチンにほど近いテーブルにはすでにいくつかの皿が並びんでいて、マークがジェイクの手元を覗くとカッティングボードの上に不揃いにスライスされた玉ねぎが散らばっていた。そしてふとマークは気がついた。ジェイクの左手の指先に絆創膏が巻かれている。
「
…
ジェイク、怪我したのか?」
「ん?ああ、さっき材料を切るときに」
「お前が怪我なんてめずらしいな、スティーヴンじゃあるまいし」
「...私でも失敗するときもある」
本当にめずらしいと遠慮もせずにジェイクの指先をよくよく眺めていると、なんだか引っかかるものをマークは感じ始めた。
視界の端にある指先以外のジェイクの全身を見てみる。スッキリとしたシルエットのシャツとシンプルなネクタイ、いつものジェイクであるはずだが、やはり何かが引っかかった。
改めてよく見てみる。するとシャツの裾が少しはみ出していて、ネクタイも少しだけ曲がっていることにマークは気がついた。見た目も話し方も違和感ないジェイクのはずなのに、ちょっとした引っかかりが亀裂が広がっていくようにマークの中で広がって、何かがおかしいとマークに気づかせようとしていた。
「さては」
マークのひらめきの声色にジェイクの体が跳ねた気がした。
「お前スティーヴンだな」
「バレちゃったか」
けろっとあっさりと言いながらスティーヴンはマークに振り向いてジェイクが決してしない眉を下げた笑みを浮かべて、
「ジェイクー!!バレたよー!!」
と部屋の奥に声をかけた。
「何だよ、私の出番まで持たなかったのか」
スティーヴンの服を着たジェイクが呆れたように部屋の奥から現れて、マークは目を丸くしてしまった。
「お前ら
……
」
「まあまあマーク、たまにはこんなのも楽しいんじゃないかなって」
スティーヴンがセットされた髪をグシャグシャとかき混ぜる。
「だからって10分じゃ準備できない。この中途半端のせいでマークにバレたんだ」
反対にジェイクはあちこちに散らばった手櫛でかき上げる。
「それは思っていたよりもマークが帰ってくるのが早かったせいだよ」
「は〜もうこのダサいシャツ脱いでもいいか?」
すっかり違和感だらけの姿になった2人にマークは大きく大きくため息をついて、とりあえずこれだけは言いたいとジェイクの肩に手を置くと、
「似合っているぞジェイク」
とにこやかに告げるのだった。
END
後日談:ある日の会話
「スティーヴン?」
「おはようマーク。君もコーヒーでいいだろ?」
「
……
」
「実はコーヒーを淹れすぎちゃってさ。おかしいないつもと同じスプーンを使ったのに」
「
……
」
「
……
」
「マーク?どうしたんだ?もしかして立ったまま寝てる?」
「お前、ジェイクだろ」
「は?何言ってるんだよ」
「いやジェイクだな」
「朝だからって寝ぼけすぎなんじゃ
…
」
「スティーヴンが朝から整髪料をつけるわけない。お前はもう慣れてるからわからないだろうが、俺は少しだけでもわかる」
「
………
」
「朝から何やってんだよ」
「
…
あぁクソ!またこっちの負けか!またこのダサいシャツを朝から着たってのに、確かにスティーヴンのセットは寝癖だもんな」
「ジェイクは僕のセンスに何かを言わないと気がすまないの?僕だって君の窮屈な服を朝から着てやってるってこと分かってる?」
「私は今、お前が私のセンスと対等だと思っていたことに驚いている。」
「なにを〜!」
ドタバタ、ドタバタ、ドタバタ
……
。
「お前たちは朝から何やってるんだよ、ほんと」
元気は結構だが隣の部屋の住民から苦情が来ないだろうかとよぎった考えをマークは無視した。もしそうなったら原因の2人に任せて自分はコーヒーを飲んでいればいいのだし。それにこんな3人の毎日をマークは1番に好んでいたから、今はこのやかましさに身を委ねることにした。
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