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花筵シヂマ
2026-05-22 12:04:36
24424文字
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蛇蝎1~3
妻生存if、父と水は愛人関係、ゲタくんとは体関係なしの婚約者.いずれ黒父になる話
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店を出て二人は墓場に足を進めていた。会話はなく、ただ枯れたように首を垂れて歩いていた。
墓場の入り口の手前で柳の木の下に置かれた木製ベンチの上にゲゲ郎と鬼太郎は並んで座った。
「あの子は人間とお主との間の子供じゃろう。ならなぜ、その母親と共にならぬ?」
鬼太郎は黙したまま、指で手の甲をなぞっている。
言葉を選んでいるようだった。
「僕が
……
水木さんを選んだからその子とは
……
」
思わず、鬼太郎の胸ぐらを掴んでいた。
鬼太郎は片目で力強くゲゲ郎を睨み返してきた。
何て無責任なおとこだ。
子供を孕ませておいて、逃げるだなんて。
それもあんな無垢でかわいい子供を。
こんなおとこに、水木はやれない。
「お主のような無責任なやつは、水木と結婚する資格はない
……
」
鬼太郎はゲゲ郎の手首を掴んできた。
「お父さんには関係ありません。僕は、水木さんを愛しているんです」
腑が煮え繰り返り、次第に、愉悦に変わる。
ああそうか、この息子は知らないのだった。
知らないから安い愛を誓える。
「水木は儂のおんなじゃよ」
鬼太郎の片目が丸く広がっていく。こぼれ落ちるほど大きく。
「儂が抱いておんなにした。儂と別れて、儂を忘れられずにお主と付き合ったにすぎない」
ゲゲ郎の手に絡む鬼太郎の手が離れていく。そして温度のない左目が見つめ返してくる。
「知ってます。でも、水木さんは、僕に父さんを見てません。その証拠に僕は水木さんを抱かなくても、不安になどならないからです」
ーーーーあなたとは違って。
鬼太郎の胸ぐらから自然と手が離れてしまった。
「知っておる、じゃと?」
鬼太郎はその場に尻をついて倒れ込んだ。そして汚れた衣服を払っている。
「水木さんは雪のことも知ってますし、代わりに僕は水木さんが父さんと関係があったことを聞いてます。でももう
……
」
鬼太郎が鼻を鳴らした。
「昔の話ですよね?」
耳元で囁かれたように、その言葉が大きく聞こえた。
「僕は今の話をしてます。僕と、雪と、水木さんで家族になるんです」
鬼太郎が隣をすり抜けて行ってしまう。
昔のことだ、と水木が言ったのだろう。
胸元に入れたひしゃげた煙草の箱を取り出した。
煙草が吸いたい。
火をつけて味わえば、水木の心が覗ける気がした。
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