akinoshiroihana
2026-04-06 18:23:28
13071文字
Public
 

名刺置き場16

ゲッター





散り敷かれた桜が、白昼の嵐のような春の風に吹かれてふたたび立ち上がる花旋風。
うすべにいろの切片が竜巻になってもういちど空を舞うのは、美しいものであるというのに大粒の砂も土埃も混じっているから、通り過ぎられたゴールポストのあたりではばちばちという音がする。触れれば薄汚れてしまった感触さえありそうな、無法地帯じみた地面、空、風、手に負えやしない、美しいのに。
今日は駄目だなランニングだけするかと他の部員たちとあっちへこっちへ突き飛ばしに来る強風と青空の下言い合っていれば

校庭の周囲の木々を一斉に揺らせしならせ恐ろしいような音を立てる風の中、花旋風が吹き荒れ空まで舞うあかるい日なか、いまだ話題の編入生である神隼人が立木の下から歩いてくる。いまだ黒の詰襟ではなく、桜の蕾か花芯のような鮮やかないで立ちで、そのくせ、静かに。
下校の自転車の群れが校庭の外周をせわしなく行くから、徒歩の彼は花の竜巻が我が物顔して、誰もいなくなった学びの庭の真ん中へとひとり。長い髪が、黒い炎のようにめらりと舞った。

だがその黒髪を白い手で押さえるでもなく、春の嵐に驚く風もなく、暴れるそれをいなすようにか躱すようにか、ほんのわずか肩を竦めるだけで難なくやり過ごし、抜けて来る。はなびらの渦から、咲きいでるように。
どぅっと山鳴りじみた音と共に、校庭が揺れるほどの風が吹く。はなびらの薄紅が分からなくなるかそれしか頭に入って来なくなるほどの一面の散華、風、ひるひなかの光、ハレーションとその中の一人

あれで一緒にサッカーをやりたい奴だと思ったのだと竜馬は上気した頬で顧問に告げたし、本来の平和目的ではない使われ方になったゲッター2が旋風を纏い血煙けぶる戦場に立つ時、司令塔となる隼人は内線から心なしか湧き立つような色さえ帯びて、彼を鼓舞する仲間の声に苦笑いする。

「よし、お前に任せる、隼人」
見せてくれ 全部

●東映ゲッターロボ放映開始52周年