2026-03-28 02:25:27
10733文字
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雪の森RP関連小話





049 ネコフクロウの話


昼の作業がひと段落し、
誰からともなく手を止める時間だった。

木の影が少しずつ伸び、
風が、葉の裏を撫でる音だけが残る。

……あれ、なんだ?」

最初に声を上げたのは、聞き枝だった。
指さす先、倒木の上に、小さな影がある。

丸い背。
前足のようにも、翼のようにも見えるものを揃えて、二本の脚で立っている。

「ネコフクロウだな」

誰かが、あっさり言う。

……ネコ?」

「いや、フクロウだろ」

渡り手は、目を細めて見る。
確かに、耳のような房がある。
だが、尾の動きは、猫に近い。

影が、こちらに気づいたのか、
首をくるりと回した。
後ろまで、きれいに。

「うわ」

誰かが小さく声を上げる。

「今の見たか?」

「見た見た」

「首、戻るんだよな?」

「戻る」

「戻らなかったら困る」

誰かがそう言って、笑いが起きる。

ネコフクロウは、鳴いた。
短く、喉を鳴らすような声。
確かに、猫に似ている。

「猫だな」

「でも卵で生まれる」

「卵はフクロウだ」

「歩き方は?」

「猫だ」

「飛ばねえぞ」

「フクロウ、飛ぶだろ」

渡り手も、口を挟む。

……どっちにも見えんなァ」

「外の人から見てもか」

「見える」

「決められねえな」

誰も困ってはいない。
むしろ、楽しそうだった。

「ネコが、首回したら怖えよな」

「フクロウが、喉鳴らしたら落ち着かねえ」

「じゃあ、ネコフクロウでいい」

「最初からそう呼んでる」

渡り手は、息を吐く。

「名前が先かァ……

「たぶんな」

「考えるのが後だ」

ネコフクロウは、じっとこちらを見ていた。
翼を少し広げ、だが、飛ぶ気配はない。

しばらくして、
何の前触れもなく、
二足でとことこと歩き、
木の向こうへ消えていった。

「あ、行った」

「行ったな」

「どっちだったと思う?」

……さあな」

答えは出ない。
出す必要もない。

誰かが立ち上がり、
誰かが道具を手に取る。

渡り手も、自然に腰を上げた。

「そろそろ、休憩、終わりだなァ

「そうだな」

話題は、もう戻らない。
結論は出ないまま、ネコフクロウは、去っていった。