藤花詩空
2026-04-01 00:00:00
12810文字
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2040487

【イケメンオタク四天王】悪の四天王幹部編

メイン制作ゲーム【イケメンオタク四天王】純空のオタク転校生:2026年エイプリルフール企画「もしイケメンオタク四天王が悪の幹部だったら」プロット



3

 木々が生い茂る、鬱蒼とした森の暗がりに……古びた洋館は建っていた。
(師匠が連れ去られたのは……きっとここだ!)
 恐怖を和らげるようにごくりと唾を呑み込みながら……そっと扉を開ける。
 ギィィィと嫌な音を立てて開いた扉の先で……人の手が入っていない、暗闇の室内が見えた。
 恐る恐る足を踏み入れると……
……誰だ」
 静かな声と共に姿を現したのは……死神・ショウセイだった。
(怖いけど……言わなきゃ!)
「あなたが連れ去った人を……返してもらいに来ました」
 しかし返って来たのは……予想外の言葉だった。
「はぁ? 人間を連れ去る? オレが?」
「そうです……銀髪の白魔導士さん……ご存じですよね?」
 違和感を覚えながらも問い詰める。
 しかし死神は全く覚えがないというように、首を振った。
「知らねぇ」
「そんなわけ……
「大体人間を連れ去る意味がオレにはねぇし、利点がねぇことはしない主義だ」
 そう言われたところで……納得出来るハズもない。
「とぼけるのも好い加減にして下さい! 確かに訊いたんです。ここに連れ去られたって……!」
「っち……めんどくせぇ女だな。知らねぇっつってんだろ!」
 言いながら死神が鎌を一振りする。
……っ!」
 どうにか避けながらも……頬に風を浴びて、足が震えそうになった。
「信じられねぇってならこっちもやるしかねぇ……何よりオレの居場所を知っちまったアンタを……生かしておくわけにはいかねぇんだ!」
 臨戦態勢になる死神にまた震えそうな足を叱咤する。
(戦わなきゃ……誰も助からない!)
 逃げたい気持ちに負けないように、精一杯敵を睨み付けた。

◇    ◇    ◇

「威勢だけは良かったクセに……大したことねぇなアンタ」
……っ」
「能力変化魔法だけじゃどうにもなんねぇのは当たり前だろ。まさか……攻撃魔法が使えねぇとかじゃないよな?」
「それは……
……んだよその反応……まさかマジだってのか? そのクセ1人でここに来たっつーのかよ」
……うっ」
「バカなやつ……最初からこうなることなんてわかってたろ?」
 言いながらじりじりと距離を詰める死神に……ついに壁際まで追い詰められてしまう。
 恐怖で目を閉じかけたのを……必死で堪えた。
(まだ負けちゃダメ……キョウヘイくんだって待ってるんだから!)
 強い瞳で見つめれば……死神は静かに動きを止めた。
 それから……意味がわからないといった様子で問い掛けてくる。
「何でアンタは……まだ戦おうとしてんだよ。勝ち目ねぇのはわかってんだろ?」
「それでも戦わないといけないんです。大事な約束があるから……破るわけにはいかないんです!」
……約束? ……何だよその理由」
 呟いた死神は……もう持っていた鎌を力なく下ろしていて……
「まるでオレと……アイツらみたいだ。本当はこんなハズじゃ……
 自分と対話するかのように言葉を続けながら、静かにアリスに目線を戻した。
「ダメだ……オレには……アンタは倒せねぇ……
(何でそんな……泣きそうな顔……
 気になって見つめた時……
……!?」
 眩い光が急に視界を塞いだ。
……がはっ……!?」
 呻くような声に薄目で様子を捉えようとすれば……血飛沫が宙を舞ったのが見えた。
「この力は……まさか……!」
 驚く暇もないまま呟いた死神の身体が傾いで……ゴォォと地響きが聴こえる。
 少しずつ目が慣れてくれば……崩壊し始める洋館と、血だらけで倒れる死神の姿が見えた。
「な……なんで……こんな……!」
「ゲホッゴホッ……まずい! アンタはもういけっ!」
 継続して血を吐きながら……死神が声を振り絞って叫ぶ。
 その瞳は苦しそうで……だけどその理由は血を吐いているせいではない気がした。
(わたしが約束の話をした時……この人も何かがありそうな気がした)
 そう思えば……手を伸ばさずにはいられなかった。
……ヒール!」
 アリスが唱えた瞬間、死神が白い光に包まれる。
 出続けていた血の量が……次第に減っていった。
「アンタ……何して……
……あなたもここから逃げましょう!」
……はぁ!? アンタ何言って……
「だってあなたも……生きたい理由があるんですよね。なら……死んだりしちゃダメです!」
「アンタ……マジで言ってんのか!?」
「わたしは攻撃魔法は使えないんですけど、誰かを回復する魔法なら得意なんです。だから……少しならあなたの助けになれます」
「オレは……アンタを倒そうとした敵だぞ!? 一緒に行くなんて正気の沙汰じゃねぇ!」
「でも目の前で悔いのあるような顔で倒れられたら……放っておけません」
……ふざけたお人好しだな。けどな……この洋館はもう終わりなんだよ」
「まだ間に合います……!」
「アンタ1人で逃げるならな……けどケガ人抱えたら無理だ」
「そんなの……やってみないとわかりません!」
……ったく、ホントバカな女だ。けどそんなバカに……救われちまったオレの方がバカだな……
 呟くように言った死神は……倒れている鎌に手を伸ばして……
「さっさと逝ねっ!」
 彼がそう言った瞬間……アリスは温かな光に包まれ、その場から姿を消した。
「アンタと話したいこと……まだあんだよ」
 残った死神は静かに呟きながら……
「だから……アンタが死んだら意味がねぇんだよ……
 そう言って微笑みながら……静かに瞼を閉じたのだった。