akinoshiroihana
2026-02-09 22:59:42
9407文字
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名刺置き場15

ゲッター



チェンゲ竜馬の赤マフラーは今井監督的には何だったのか
(慎一的にはコスその①でしかなかったけど、なんなら和解時に隼人に渡すアイテムだったら私が全焼してました。(設定画の赤ミイラ男みたいなのは知らぬよ、護送シーンの詳細はいい具合に記憶から抜けてきました))




「おい隼人、これなんだ」

タワー帰投後の流竜馬がドックに出てこず彼を呼んでいたというのが日没の頃。そして今は払暁
職員がある程度寝静まった頃ではなく、夜襲の無かった夜の終わる緊張の弛みを、安堵と疲労に身を任せたくなる者たちの最後のひと頑張りの時間帯を縫って、彼は。

指令室から出て来る暇などないはずの人物の到来に整備士が慌てる向こう、一晩開かなかったブラックゲッターのハッチが口を開けた。

「何もなくなった荒れ地にヒョロい桜が生えて来てんのも、昔からの地面が吹き飛ばされねえで生き残った山間部に山桜が咲いてんのも、折っちまうのが無粋なのは覚えてるけどよ」
古びたコートの上にボロボロのマフラを後生大事に巻いた男が、その剣呑で雄々しい双眸におよそ不似合いな明るい桃色の花―――だろうか、裂だろうか幣だろうか、そんな人工的なほど細長い長方形の房をいくつも連ねた花枝をコックピットに。

「こいつはよく伸びるから切っちまってもいい奴だったってのを思い出してよ」
風防の中にピンク色が咲き乱れていた。
嘗て時には息を飲む者もいたほど優れた容貌には無残な傷が縦横に走り、嘗ての鮮やかな血潮の色をゆったりと着こなしていた代わりに纏うのは樺桜色のシャツ、青春の残滓のような薄れた紅の色をダークスーツの中に残す、硬い表情の男へと、赤いマフラーの男は両手を広げ尋ねる。両の手首から下がる、引きちぎられたままの極太の手錠の鎖をじゃらり鳴らして。彼が手を伸ばす。

「この花の名前、お前だったら覚えてるかと思ってよ」

はやと。


***

「紅花常盤万作」
「あーちくしょっ、俺があずかり知らねえ男の名前みたいなのあるよな!ワビスケとか!」
「馬鹿。」