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kr0mm333
2026-02-03 09:30:47
18313文字
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柴チヒ②
原作後の未来設定で捏造モリモリの柴チヒ(41×20)
柴さんの前からいなくなるチヒロ君の話で、2月のWEBオンリーで展示したいと思ってるものです。
1話ずつ増えていきます。
柴チヒ① (
https://privatter.me/page/6950d1ea15f40
)の続きで、幕間と4話からになります。
続きの柴チヒ③ (
https://privatter.me/page/698c8ed1cd5cb
)はこちら。
最終話まであります⤵︎
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27272245
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「
……
そんなわけで、身を隠すことにしたんです」
そう締めくくると、千鉱は湯呑みに口をつけた。
「襲撃って、そんな
……
!」
初耳だった。そして恐らく、柴も何も知らされていないのだろう。
「巻墨が周囲を調べたが、襲撃者たちが移動に使った乗り物はなかった。周囲の防犯カメラも確認してみたが怪しい車両も、襲撃者たちが道端で降りたときの映像すら残っていない」
「と、いうことは
……
」
「妖術で移動した可能性が高い。所持品の中に玄力封じの札があったくらいだ。拘束してから、妖術で逃げるつもりだったんだろうな」
「相手は、妖術師
……
と、いうことですか?」
壱鬼の顔を見ると、彼は首を横に振った。
犯人が妖術師なのか、それとも妖術師を雇った誰かか
……
そこまではわかっていないらしい。
「なら、僕だけじゃなく柴もいたほうが」
薊だけでも戦力的には過剰ではあるが、立場の都合で簡単に本部から離れることはできない。それなら、神奈備を辞めてはいるが二十年以上、六平家の護衛をしている柴のほうが適任だろう。
それは壱鬼も理解しているはずだ。なのに、どうして柴には何も話していないのか。
千鉱が失踪してから一ヶ月以上経った今になって、薊と千鉱を引き合わせる理由もわからない。
恨み言のようになってしまったが、それをそのまま口にすると、答えたのは千鉱だった。
「俺が頼んだんです。薊さんにも言わないでほしいって」
「
……
どうして?」
「薊さんを口止めしても、きっと柴さんは気づくでしょう?」
「それは
……
そうだけど」
薊は柴との友人付き合いが長い。仕事上の守秘義務であればそれで押し通せるが、違和感まではきっと見逃してはくれないだろう。
柴はそれだけ、千鉱のことを大事に思っている。
それなら、どうして今ここで千鉱に引き合わされ、理由を聞かされたのかがわからない。
すると、ずっと聞く側に回っていた壱鬼が、菓子切りを置いて薊の名を呼んだ。
落ち着いた声に、自然と背筋が伸びる。
「正式な辞令書は後で出す。この件が解決するまで昼間は本部で、夜はここで生活するように」
「え、でも、この間の件は?」
一ヶ月ほど前、大きなヤクザの会合を警察とともに一斉摘発した。ちょうど、そこに参加するヤクザの護衛に柴がいたので情報収集と会場への手引きをさせたのだが、その件がまだ片付いていない。
不審な点が多く、会合は誰が主催したのか、何を話し合うのが目的だったのかも謎のまま。
千鉱の護衛の合間に担当するには、あまりに面倒な事件でもあった。
「その件についてはそのままで構わない。警察が動いているから、薊はその進捗を受けて私に報告してくれ」
薊は幹部でデスクワークが多いとはいえ、暇というわけではない。警察からの電話を受け、壱鬼に報告するのなら薊よりも適任がいるはずだ。
だから、自分でなくても
……
と言いかけるが、その先を壱鬼が遮る。
「巻墨が襲撃犯の足取りを追ったところ、あの会合にいたことがわかった」
その会合にいた人物は、すべて逮捕したはずだ。開始時刻と同時に突入し、制圧までに時間を要したわけでもなかった。なのに、その場から逃した者が、翌日には千鉱を襲撃していたということだ。
「そんな、」
つまり、その会合に関わる人間を全て捕縛できなかったせいで、千鉱は襲われたということではないか。
「薊さんのせいじゃありませんよ」
「そうだぞ。連中を捕縛していなければ、もっと大きな事件を起こされていたかもしれない」
ショックを受けている薊の背を、壱鬼が強めに叩く。千鉱も同じ思いらしく、壱鬼の言葉に力強く頷いている。
「柴の話によれば、あの会合は時間になっても主催が現れることはなかったらしい。ということは、あの会合は神奈備への陽動を兼ねていたのだろう」
その話は、護衛として依頼人に同伴した柴から聞いていた。その依頼人も逮捕されたヤクザの一人だが。
主催が現れず、代わりに警察と神奈備の妖術師が雪崩れ込んできたのだから、捕まった者たちはたまったものではないはずだ。
「先に大きな捕物をさせておけば、みんなそちらに掛りきりになりますからね」
「数人がかりであれば、成人男子を一人攫うことも容易だと思ったんだろうな」
しかし、相手は千鉱だ。妖刀はなくても、居合白禊流を初めとした剣術を習得していることもあり、並の妖術師では相手にはならないだろう。
「まあ、そういう訳だ。一週間程度でここに入るようにしてくれ。そしてこの件を知るのは私たち、そして巻墨などの一部の者だけだ」
薊が知らなかった時点で察してはいたが、他の幹部にも知らされていないらしい。どこに内通者がいるかわからないというのはもちろんだが、内通者がいなかったとしても内部を知る方法はある。
そろそろ時間だ、と言いながら壱鬼が時計を指す。気づかないうちにずいぶんと話し込んでいたらしい。
「あと一時間もすれば会議だ。名残惜しいが、そろそろお暇しよう」
壱鬼と薊が立ち上がると、千鉱が「玄関まで見送ります」と腰を上げた。
「僕の他にもいるんだよね?」
元来た廊下を戻りながら、千鉱に話しかける。ここがどこかはまだ理解しきれていないが、壱鬼が自由に出入りしているということは、神奈備の施設か壱鬼が個人的に所有している場所には違いない。
玄関の広さから察してはいたが、改めて見てもとても広い建物だ。とはいえ、さすがにこの広さで千鉱を一人きりで住まわせているわけではないだろう。
「はい、いますよ。薊さんの知る人ばかりです」
千鉱が軽く頷いた。大方の予想はつくが、そこに柴はいないのだろう。
玄関で靴を履くと、千鉱が「すみません」と言って眉尻を下げる。
「俺のことは、柴さんには言わないでください」
「わかってる。なるべく早く準備して来るからね」
千鉱のことだ。何か事情があったのだろう。
それが何かまではわからないが、ここにいる間には教えてもらえるはずだ。
千鉱はほっとした顔を見せる。
「それじゃあ、チヒロ君。また後で」
「はい。よろしくお願いします」
「では、戻るぞ」
壱鬼の声の直後、また視界が黒く染まる。
ーー柴にバレないよう気をつけないと
……
そんなことを考えた直後、視界が晴れて眩しさに目を細めた。
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