冬暁
2025-12-08 23:01:01
10766文字
Public 鳴保
 

NRHS Calendar 2025 No.2

12/08〜12/14の鳴保カレンダーまとめ。


12/13 『アルコール』


 べしょりと潰れているのはこの国で最強の人だった。
「鳴海たいちょぉ〜! あれ? 寝てるんですか?」
 彼の部下が真っ赤な顔をしながら顔を覗いて、それから離れていく。その先で新たなジョッキを手に取ったのが見えた。まだまだ飲むつもりらしい。
 年末の忘年会。東京に基地を置く第1、第3部隊が合同で開いたものだ。全員が参加できているわけではないものの、休日のやつは大体来ているようだった。
「鳴海隊長、大丈夫です?」
 そのうちの一人が鳴海隊長だ。酒に強くないのか、或いは疲れていたのか。意外にも早くにダウンしてしまった。
「一人で帰れるんかなこの人」
 チラホラと解散し始めている。もう少しと酒を飲むやつ、二次会の話をしてるやつ。それぞれではあるものの、僕はそのまま帰る予定だった。
「鳴海隊長」
「ん、ん゛んっ……? ほしな?」
「起きました? もう帰りますよ」
「かえ、る……
「水飲みます?」
 こくり、と重たげに頭が揺れたからグラスを引き寄せる。
「はい、水です」
 今にも目が閉じてしまいそう。こくりこくり、と頭が揺れる。酔いすぎると眠くなるタイプなんやなぁと見ていれば手首を掴まれた。
「それ僕の手首——ッ!?」
「ほしな」
 ふわり、と酒の匂いがする。柔らかな感触が触れて、それから————
 ゴンッ! と鳴海隊長が頭を打ちつける。呻きはしたものの、そのまま寝息を立て始めた。
 待て待て待て。今のなに!?
 いま、今、この人、僕に。
「キスした……?」

Posted by 冬暁/薄明