冬暁
2025-12-08 23:01:01
10766文字
Public 鳴保
 

NRHS Calendar 2025 No.2

12/08〜12/14の鳴保カレンダーまとめ。


12/12 『雪』


 綿のような雪が艶やかな黒髪に落ちる。まるで闇を照らす光のように、小さく、されどよく映えていた。
 白い息を吐き出す唇は乾燥して少し荒れている。それを癒すようにペロリと舐めるのが艶かしい。それなのに、寒さに赤くなった鼻が可愛いからずるい。
 寒さは嫌いだ。暮らした施設の大半が古い設備で、夏の暑さも冬の寒さもどうにもならない。薄っぺらい布団に包まって、震える体を擦るしかなかった。
 それなのに、どうしてだろう。
 君がいるだけで、雪が降るような寒ささえ愛しく思える。寒い寒いと言いながらも、中に入ろうとしないのは同じ気持ちだからだろうか。
「ははっ、積もってる」
「お互い様やろ」
 睫毛に乗る雪は瞬きの動きが弱いからか、意外と積もっている。指先で突けば、溶けて小さな雫になった。髪に積もる雪を払うのは少し勿体無いような気もする。よく映えていて綺麗だから。
 でも寒そうなのも可哀想で、軽く払った。ひんやりと冷たい。もう長いこと外にいるから、風邪をひかせてしまうかもしれない。
 そう思うのに分厚い布越しに微かに伝わる熱や、寒さに赤くなった顔ともう少しいたいとも思ってしまう。
 雪の中にいる君を見るなんて滅多にないから、ひどく名残惜しく思ってしまうんだ。

Posted by 冬暁/薄明