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冬暁
2025-12-08 23:01:01
10766文字
Public
鳴保
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NRHS Calendar 2025 No.2
12/08〜12/14の鳴保カレンダーまとめ。
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12/08 『挨拶』
初めて見たあの瞬間から、ボクはきっと囚われていた。
レティーナを発動したのは、ほんの気まぐれだった。第3部隊全体の練度の確認。ボクがわざわざ指導してやるつもりはないが、多少アドバイスでもすれば仕事はしたことになるだろう。そんな打算で彼らの電気信号を見て、そして目を惹かれた。見慣れない隊員。だが、その信号はひどく洗練され美しくも力強い。
それは第1部隊に所属したとしても埋もれることのない強さだ。彼ならボクの隣で戦ってくれるかもしれないと思った。足りない経験も技術もボクが見れば、唯一ボクに並び立つ人材になり得るかもしれない。
ボクは最強だ。ボクの道を第1部隊は切り開くが、ボクと共に戦うことはない。誰もボクと背中を合わせられないからだ。ボクの戦力に耐えられない。ボクは最強であり、それ故に独りだ。
彼ならもしかして。そんな期待と高揚感。唯一無二のものを見つけたような気がした。
——
彼に断られるまでは。
第1部隊への誘いを断る奴がいるなんて思わなかった。あんなにもあっさりと、価値なんて微塵もないように。
ボクの言葉遣いが高慢だったのは認めよう。それでも、それでもあんなにもあっさりと
……
!
ボクが手に入れたはずの第1部隊隊長は、アイツにとって一銭の価値もなかったらしい。
どうしたらいいのかわからなかった。防衛隊員の憧憬を集めるはずの第1部隊じゃダメで。最強のボクでもダメで。それが悔しくて、腹立たしくて、
——
きっと悲しかった。
「おいオカッパァ!」
ぐちゃぐちゃになった感情は、その矛先を向けることしかできない。それ以外にどう示せばいいのかもわからない。
ボクの目にはあれほど鮮烈に輝いたのに、アイツの目にはそこらの奴となんら変わらないんだ。
「あ、鳴海隊長。またお出迎えしてくれたんですね。毎回毎回律儀なことで」
関西の血か、こうしたやり取りはノる。あっさり断った割には毎回。それが尚更ムカつく。
「仕事しろ」
スパァンッ! と頭を打ち抜くハリセンに倒れ込む。冷たい地面の感触に唇を引き結んだ。
「長谷川さん、おはようございます」
「おはよう、宗四郎」
「それじゃあ僕はこの辺で」
「ああ。いつも悪いな」
「いえいえ、長谷川さんのせいじゃないので」
アイツの気配が離れていく。長谷川の視線が背中に突き刺さった。
「
…………
」
「お前も懲りないな」
「フン。アイツが悪いんだ」
「仕事の邪魔しておいて悪いも何もないだろう」
「ぐッ」
「今時、小学生でもせんだろう」
「うるさい。他にどうしろって言うんだ」
「お前が突っかからなければ、宗四郎もわざわざ煽らないはずだ」
「そうなればボクはそこらの有象無象と変わらんだろうな」
その場に胡座をかいて頬杖をつく。このボクを有象無象扱いなんて認めるわけないだろ。
「そうか?」
「長谷川はあの時のアイツを知らんからそんなこと言えるんだ」
「第1部隊に興味がないのは仕方ないだろう。だが、個人で付き合う分には向き合ってくれると思うが」
「ボクはアイツと仲良くしたいわけじゃない!」
「俺には好きな子に意地悪する子供にしか見えん」
思考が停止する。今、長谷川はなんて言った? ボクが、好きな子に意地悪する子供??
そんなわけない。ボクはただ、アイツの視界に入ってやろうと思っただけだ。亜白以外興味ありません、みたいなあの顔を崩してやりたいだけ。それで、いつかボクの誘いを断ったことを後悔させてやろうと。
それだけ。それだけの、はずだ
————
?
「
…………
?
…………
??」
「
……
はぁ、自覚すらしてないとはな」
ガシリ、と襟を掴まれる。隊長室へと引き摺られていく中、ボクの頭は嵐の中に放り込まれたように荒れ狂っていた。
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Posted by 冬暁/
薄明
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