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冬暁
2025-12-08 23:01:01
10766文字
Public
鳴保
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NRHS Calendar 2025 No.2
12/08〜12/14の鳴保カレンダーまとめ。
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12/09 『傷』
「鳴海さんって綺麗ですよね」
隠すつもりもなかったけど、敢えて伝えようとも思っていなかった感情だった。それがついまろび出たのは、胎が疼くような熱の残滓のせいだ。思考が緩んでいていけない。
微睡んでいた鳴海さんは、奥歯に何か挟まったような顔をした。
「かっこいいならともかく、綺麗ってなんだ」
単純に綺麗な顔立ちしてると思う。それとは別に綺麗な体をしてるとも思った。
「ほら、僕は結構傷だらけやろ? でも鳴海さんって傷らしい傷ってあまり残ってへんよなぁと思って」
「あぁ
……
」
子供の頃から竹刀を握りしめ、刀を振ってきたからだろうか。打ち身や擦り傷は当然のこと、骨折なんかもよくしてきた。防衛隊に入ってからは特に、戦闘スタイルから怪我が多い。怪我を負ったことがない場所の方が少ないくらいだ。一見して見えずとも、体温が上がると浮き上がるものもある。
対して鳴海さんは意外と少ない。全く傷が残っていないわけじゃないけど、近接戦闘も行う隊員としてはかなり少ない方だ。
入隊当初からの高い戦力、戦闘センス、それに驕らない努力と、そして怪獣1号の力を宿した瞳。それらを遺憾なく発揮しているからこそ、そうそう傷が残るような怪我もないんだろう。
「保科は傷跡も多いもんな」
「せやねん」
「嫌なのか」
問いかける眼差しは、風のない水面のように凪いでいた。
「う〜ん、嫌やないって言ったら嘘になるな」
鳴海さんがゆっくりと瞬く。言葉を静かに受け止めてくれているから、何の気負いもなく続けられた。
「これは自分の未熟さの証や。けど、誰かを守れたもんもある」
シャツ越しに傷に触れる。鳴海さんの視線が隠れた傷を辿るように動いた。傷の形はきっと、僕自身よりも鳴海さんの方が知ってる。
「誇るつもりもないけど、貶すつもりもない」
「そうか」
「うん」
鳴海さんは徐ろに手を伸ばすと、僕の手の上に重ねた。普段よりもあたたかい。
「傷があると言う意味では、保科の体は綺麗ではないのかもしれない。でもボクは、傷を負っても折れず研鑽し続けた保科を誇りに思う」
ゆるゆると手を撫でた鳴海さんの瞼が重たげに瞬く。
「保科の電気信号は綺麗だ。それは傷のない体よりもずっと、ボクには魅力的に見える」
ふぁ、と欠伸を一つ。もぞもぞと体を寄せると僕の背中を撫でた。
「そもそもボクたちの仕事で傷の有無なんて気にしてたらキリがない。お前はボクの体が綺麗だと言うが、ボクが酷い傷を負うことがこの先ないとも言いきれん」
「それは
……
」
その言葉に血に濡れた鳴海さんの姿を想像した。この人がそれほどの傷を負うなんて思えない。もしそんな日が訪れるなら、それは
————
。
深く考えるより先にすぅ、と寝息が聞こえた。眠気が勝ってしまったらしい。
すぅ、すぅ、と規則的に聞こえる寝息に目を閉じる。
「電気信号が魅力的なんて、鳴海さんにしか言えへんな」
起こしてしまわないように笑う。背中に手を回してより密着すると、肩口に小さな凹凸があった。僕がつけた傷だ。
この先も鳴海さんが負うのはこの傷だけだといいなぁ。
あたたかな体に意識が緩やかに落ちていく。ふぁ
……
と欠伸が溢れて、僕も眠りに身を委ねた。
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Posted by 冬暁/
薄明
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