いを
2025-11-02 17:45:08
6899文字
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くらくら
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コーンポタージュ(清仁さんとマルタ)

 甘いスープとは。――と考えるに、いちばんはじめに出てくるものはコーンポタージュだった。次点で、クリームシチューである。コーンポタージュは緊張でかたまったからだをやわらかくほぐしてくれる。が、起源であるフランスよりもここの国民はコーンポタージュが大好きらしい。
……あの」
「自販機にでる時期になったから」
 缶のコーンスープ。
 それを、よく怪我をこさえてくる清仁に放り投げた。寒くなり始めたので、彼の異能では寒いのではないかと思った次第だ。
「冷えはよくない」
 応急処置はすませたので、すこし休んでいけと伝えたのだが少々、緊張気味のようだった。手当て中の筋肉の動きがぎこちなかった。
 冷蔵庫もあれば、保温庫もある。便利なものである。そこに買っておいてあった缶のコーンスープはまだまだ熱い。
「コーンスープに、ミルクアイスをいれると、もっとクリーミーになってうまいらしいぞ」
「え?」
「そこに、アイスを入れるんだよ。あ、ミルクのアイスな」
「アイスを……ここ、に?」
 少々驚いたのか、手の中の缶をじっと見つめている男を眺める。じっくりとことこと煮込んだあれである。見慣れているが、寒くなりたてのときによく飲むスープだ。
「い、入れたほうが……いいんですか?」
「入れなくていい。アイスねぇし」
 気弱げな目もとがうろうろとしている。自分のぶんの缶のプルトップを指先に力をいれて抜く。
「飲め」
 ずずず、と啜る。喉をさすような熱さはないが、やはりコーンが出てこない。そういうものだろう。清仁をあおぐついでに見ると、彼もそうっと飲んでいた。