いを
2025-11-02 17:45:08
6899文字
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くらくら
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コブサラダ(静さんとマルタ)

 どこかのだれかが、「サラダの宝石箱やぁ」と特徴的な顔を光り輝かせていたが、まさにコブサラダ――卵、アボカド、トマトを必ずいれたもの――は、それである。巨大な皿にこれでもかと角切りにしたそれぞれの野菜やホワイトチキンがのせてある。ふたりで食べきれるだろうか、と心配になるほどだった。
「これが、メイン料理か……
「チキンがありますし。メインディッシュです」
「サラダがメインって、なんか物足りねぇ気がするんだが」
 ぶつくさいいつつ、互いに自分の取り皿に取り分ける。そして、そばには巨大なドレッシングボトルが大量に置かれている。青じそ、フレンチドレッシング、ビネグレットソース、ポン酢、オニオンソース、和風ドレッシング……諸々。
「お互い暴食していましたからね。ルクミを筆頭に」
「お前、そんなにルクミが……。いや、もう耳にタコか。……そういえば、ここの菓子にも似たようなもんがあるな。ぎゅうひ……っていったか」
「ああ! そうですね。たしかに似てるかも」
 そういうわけで、胃をリセットしなくては――と、静は意気込んでいう。
 野菜で今までの暴食をリセットできるかどうか不明だが、たまにはカロリーや脂質、糖質を控えたほうがよいのかもしれない。
「ホワイトチキンはビタミンEも多くて良質なタンパク質の宝庫ですし、アボカドも過酸化脂質の低下が証明されてて……
「よく調べたんだな、お前」
「ナッツの食べ過ぎもいけないとは分かっているんですよ」
 でもおいしくて。と、静はいう。好物なのだろう。
「どれもほどほどが一番だよ。腹八分目って言葉もあるだろ」
「それができたらいいんですけどねぇ」
 ふう、と息をつきながら、トマトをフォークにさして食べている。人間の食に対する欲深さ、罪深さ。おいしいと知ってしまえば、食べてしまうのだ。これはもう、人間の業でもあるのだろう。