いを
2025-11-02 17:45:08
6899文字
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くらくら
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。


マッケンチーズグラタン(椿さん)

 マッケンチーズグラタン。正式名称はマカロニ・アンド・チーズ。……の、グラタンである。たっぷりのチーズとマカロニのみのグラタン。肉や野菜が入ったふつうのグラタンとはちがう。
「珍しいものを食べていますね」
 自分には微妙な高さのソファ、そしてローテーブル。急患かと思い、曲げていた背中を正した。扉の前に椿が立っている。熱いマカロニと熱しに熱されたチーズが喉をとおり、おもわずむせた。
「大丈夫ですか?」
 ミネラルウォーターを一気にあおぎ、「ああ」とうなずく。
「遅い昼食ですね。飛白さん」
「気付かなかった。……怪我でもしたか?」
「あ、いえ。ちょうど通りかかったので」
 コンビニのグラタンもなかなか美味いものだと思い、紙の器のそれを一瞬、見下ろす。
「ヒマなら座れよ。メシ食ってるけど」
「ありがとうございます。ちょうど休憩で」
 まむかいのソファに座った椿は、ゆたかな紫色の髪をゆらしながら、「それは?」と問いかけた。
「マッケンチーズグラタン。珍しかったから、買ってきた」
「飛白さん、眼鏡曇ってますね」
 くすくすと笑っている。たしかに曇っているので、眼鏡を外し、テーブルに置いた。カトラリーなど置いていないから、コーヒー用のスプーンを持ってきて食ってみるか、と問うと、目をまんまるにした。
「食いさしだけど。ここ、まだ手ぇつけてないから」
 クリーム色とチーズが焦げた茶色の間にスプーンをさしこんで、すくいあげる。
「いいんですか」
「どーぞ」
 マカロニが二個に、少々焦げたチーズ。彼はそのちいさなスプーン一杯のグラタンを口に運んだ。