usagipai
2025-10-11 05:59:38
22173文字
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ひのでくん総受け



ジュピター × ひので ー出会い編ー

……また、か」
ひのでは溜息をつきながら、廊下の窓辺に腰を下ろした。
宗教学校の授業が終わるたびに、生徒たちは「神の偉大さ」について語り合う。祈りを捧げ、賛美歌を歌い、清らかな心を持つことを説く。

けれど、ひのではそんな話を鼻で笑っていた。

(神様なんていねぇよ)
もし本当にいるなら、自分はこんなふうに生まれなかったはずだ。
自己肯定感の低いひのでにとって、宗教学校の生活は窮屈でしかない。

……っ」

 胸ポケットからくしゃくしゃになったお守りを取り出し、指で弄ぶ。

それは、いつの日か誰かから貰った御守り
けれど、ひのでにとってはただの布切れだ。
神様なんて、頼んでも何もしてくれない。

「おい」

突然、背後からぞくりとするほど低く荒んだ声が響いた。

空気がひんやりと冷たくなり、ひのでは思わず肩を震わせる。

……何、だよ」

「そんなもんで何を祈ってる?」

……は?」

振り向いた瞬間、心臓が跳ね上がった。
目の前には、見たこともない男が立っていた。

 異質なまでに神々しい存在。

身長は190を超えていそうで、筋肉質な体に白と金の神々しい装束を纏っている。

だが、目つきは鋭く、まるで獲物を見下ろす獣のようだった。

何より、その瞳――黄金と青の二色に輝く虹彩が、冷たくひのでを射抜いていた。

…………誰だコイツ………

確実に言えることは、教師でも生徒でもない
それどころか、まるでこの世界の住人ではないような違和感。

威圧感がすさまじく、全身が粟立つ。
だが、ひのでは負けじと睨み返した。

……オレは別に……祈ってねぇよ」
「へぇ……つまらねぇガキだな」

「は?」

男は嘲るように笑い、ひのでの手元を指差した。

「だったらァ?その布切れは何だ」

……関係ねぇだろ」

「ハッ関係はあるに決まってんだろ」
男はにやりと嗤い、指先でひのでの顎を持ち上げた。
鋭く長い指が、ひのでの肌を撫でる。

……っ」

背筋が凍りついた。
男の瞳が、ぞっとするほど楽しそうにひのですべてを見透かしていた。

「ん?お前、いい”力”持ってんな?」

「な……?ちから?」

「なあ、俺に捧げる気はないか?その命ごと」

耳元で囁かれた瞬間、ひのでの理性が弾けた。

「ッッッ!!!ざけんな!!」

思わず拳を振り上げた――が、その瞬間。

「は、っ――!?」

次の瞬間、ひのでは宙に浮いていた。
まるで重力を無視したかのように、体が勝手に持ち上げられる。

目を見開くひのでの前で、男はクククと低く笑った。

「いいないい、気に入ったぜ、ガキ」

……!?」

「これから俺を楽しませろよ?」

「はっ!?何を言ってるックッソ!」
次の瞬間、視界が反転した。

世界がぐにゃりと歪み、
重力が戻ったかと思うと――

 ひのでは男の腕の中に落ちていた。

――っ」

 男の腕は、意外なほどに熱かった。
逃げようとしても、まるで鉄のようにびくともしない拘束力。

 耳元で、男が笑う。

「おぉ〜いい顔するじゃねぇか」

……っ離せ!」

「長い時間いるんだし〜、
もっといい表情を見せろよ、“ひので”」

……なんで、名前……っ」

「フン、俺を誰だと思ってんだ」
男は、くすくすと嗤った。
そして、ひのでの耳元で静かに囁く。

「俺はジュピター」

「“全知全能の神”だ」

その瞬間、ひのでの脳内で何かが崩れ落ちた。

ジュピひの
第二話【ようこそ神殿へ】
____________________________
ひのでは、目の前に広がる光景に思わず足を止めた。

高くそびえる白亜の柱、金と瑠璃で彩られた天井、そして壁に並ぶ巨大なステンドグラスから差し込む光が、まるで神の祝福のように広間を満たしている。

……何だここ、城か?」
思わず漏れたつぶやきに、隣を歩くジュピターが楽しそうに笑う。
「まあ、そんなもん?」
その軽い調子に、ひのでは余計にムカついた。
 (何が“そんなもん”だよ……!)
ここは明らかにただの建物じゃない。神殿。ジュピターが神を名乗る以上、それに相応しい場所なのかもしれないが……ひのではどこか現実味を感じられなかった。
そして——
「お待ちしておりました、ジュピター様」
広間の奥に、まるで舞台のように整列する人々がいた。
……(何だよ、こいつら)……
ひのでは思わず眉をひそめる。彼らは明らかに普通の人間ではなかった。人間とは違う、特別な存在。そう直感的に理解できるほど、彼らの放つ空気は異質だった。
「ふふ……ジュピター様、今日はまた珍しいお方をお連れですわね」
落ち着いた笑みを浮かべるヴァネッサが、ひのでを見つめる。その視線に、ひのでは少し背筋を強張らせた。
「フンッ」
と冷たい顔をするユースティス
……
じっと無言でひのでを見つめるのは、冷静な眼差しのシド。彼はまるでひのでを値踏みするように観察していた。
「ジュピター様……何を考えて?」
眉をひそめながらジュピターを見つめるスフィー。彼の視線には明確に不安が滲んでいる。
「珍しいお客人を連れてきましたね、ジュピター様」
優雅に微笑むロディ。彼の言葉はひのでに向けられているのか、それともジュピターに対してなのか。
「ねえねえ、君、名前は?」
無邪気に興味を示すのはリーフェン。その純粋な問いかけに、ひのでは少し戸惑った。

そして最後に——
……
巨大な影のような存在、エルヒガンテが無言でひのでを見下ろしていた。
ひのでは思わず喉を鳴らす。
……こっわ)
まるで試されているようだった。
値踏みされる感覚。まるで自分がここに相応しいのかを判断されているような——そんな息苦しさがあった。

……何なんだよ、ここ……

ひのでは堪えきれず声が漏れた

「オレは別にここに来たかったわけじゃねーし……。というか誰なんだ(オレのこと、勝手に値踏みするような目が気に食わない)」

 その言葉に、静寂が広がった。

 ジュピターはそれを見て——
「あはは!! いいねぇ、ひので! 俺の神子たちにビビらねェとは!」
楽しそうに笑った。
「チッ!! そもそもお前が勝手に連れてきたんだろ!!」
ひのではジュピターを睨みつける。しかし、ジュピターはニヤリと笑い——
「いやー、ひので、お前も俺の神子にしてやるか?」
と、からかうように言った。
「は!? ふざけんな!! 誰がこんなとこに仕えるか!!」
ひのでは全力で拒否した。
そして——
「ジュピター様……お戯れもほどほどに
スフィーがジュピターの腕を引き、ため息をつく。
「ま、そう言うなって」
ジュピターは余裕の態度で肩をすくめた。
ひのでは、ぎりっと奥歯を噛みしめる。
……早く帰りたい)
しかし、彼の望みが叶うかどうかは、まだ分からない——