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者
2025-09-05 13:22:40
10140文字
Public
紫白:短編
とても短いものまとめ
帯に短し襷に長しでお話にも4コマにもならなかったものたちです。
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今更なんだが、俺は韓当。よろしくな(韓+紫白)
紫鸞と白鸞が連れ立っているのを、以前より少しだけ頻繁に見かけるようになって、韓当はふと、気づいたことがあった。彼らは席に着く時、当然のように並んで座るが、時々、間に一つ空席を作るのだ。当初は、喧嘩でもしているのか、それでも隣に座るのだから仲が良いものだと微笑ましく眺めていたが、どうやらそうでも無いらしい。そもそも二人は、紫鸞が白鸞にあれこれ言われる事があるだけで、喧嘩らしい喧嘩をしているのは見た事がない。見慣れている喧嘩が派手なものだから、そうとわからないだけかもしれない、と考えた時期もあったが、よくよく見ていると、どうやらそうでもなさそうだった。間に空席を作る時、二人は特に言葉も交わさず、目配せもせず、さも当然のように一つ空ける。何度かそれを見かけると、韓当はもう、理由が気になって仕方がなかった。
「
…
別に良いではないか」
程普や黄蓋に話を振ってみても、彼らは存外、個人的な事や細かい事は深掘りはしないようで(それが白鸞が懐く理由でもあるのだが)、するりと流されて取りあってもらえなかった。
韓当は、自分の存在が目立たないのを良いことに、機会があるごとに二人を眺めた。目立たないといってもそれは「一般的に」というだけで、特別眼が良い二人には全てが筒抜けだったようで、程普や黄蓋を経由して何度か苦情が入った。しかし韓当は、直接言われるまではいいだろう、と適当に言い訳を作り、そしてその日も、間に一つ空席をつくって座る二人を眺めていた。運ばれてくる料理を、二人は静かに食べる。彼らの会話は、聞こえる時もあるし、口を開かずに何かを言い合っている時もある。間に一人分の距離を置きながら、紫鸞と白鸞は、その日もああだこうだと言い合いながら(少なくとも韓当にはそう見えた)、料理をするすると腹に収めていく。しばらくすると孫権につかまって、二人してしこたま飲まされ、孫権の注意が他に行った途端に彼らは水を飲んで卓につっぷした。少し同情をしながら、韓当は離れたとこらから悠々とそれを眺め続ける。たしかに、目立たないというのは役に立つなぁと、ようやく思った。しばらくして二人は顔を上げると、ちびちびと、再び食べ物をつまみ始めた。白鸞が小皿に料理を取り分けて紫鸞に渡すのを微笑ましく見ていると、白鸞は二つ目の小皿を空席の前に置いた。それから三つ目の小皿を自分の前に置くと、もう食べ終わりそうな紫鸞に呆れたような眼を向け、自分の分を食べ始めた。それからすぐに自分の小皿を空にした紫鸞は、けれど、空席の前に置かれた皿に手をつける事はなく、他の料理に手を伸ばす。それを見て、韓当は突然にひらめいた。
居るのだ、あの席に。誰か、二人の仲間が。
韓当の背筋は一瞬冷えたが、途端に白鸞と目が合ってしまった。韓当の視線の先が手付かずの小皿に注がれているのに気づくと、白鸞はその小皿を紫鸞の方へ押しやった。こうなってしまってはただ眺めているわけにもいかず、韓当は二人のいる卓へ近づくしかない。正直なところ、少し怖かった。けれど、その誰かと卓を同じくできるのは、なんだかうれしかった。自分がからかえば白鸞はつんけんとするし、食べ物を取り分けてやれば紫鸞はまたするすると平らげる。それが誰なのかはわからないが、二人のそんな様子を見せてやれるのだと思うと、なんだか気分がよかった。
〜おわり〜
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