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者
2025-09-05 13:22:40
10140文字
Public
紫白:短編
とても短いものまとめ
帯に短し襷に長しでお話にも4コマにもならなかったものたちです。
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いずれあなたとする笑い話(紫白+程+韓)
長生きしてくれ。
ある日、たまたま城ですれ違った紫鸞に急にそう言われ、程普と韓当は面食らって立ち止まった。
ー
白鸞は、どうやら程普に懐いている。紫鸞がそのことに気づいたのは、酒宴の席で程普の近くにいる白鸞をよく見るからだった。他の者と違って程普が過剰に干渉してこないからであろうが、何にせよ、えらく気を許したものだ、と紫鸞は思う。いつだったか、皆で茶を飲んでいる時に程普がこぼした
「たまには顔を見せに来いと言ったら、ちゃんとたまに顔を見せに来ている」
という言葉にも、紫鸞は少し驚いた。程普によれば、本当に顔を見せるだけ見せて帰っていくらしい。手土産もなく現れ、そっと姿を見せて、会話もせずしばらく近くに留まり、気づけば姿が消えているそうだ。それを聞いていた元化は本当に猫みたいですねと笑い、韓当は俺のところには来ないぞと悔しがった。
そんな白鸞だったが、紫鸞には、もう一つ気づいていることがある。近頃の白鸞は、宴や会議でそっと韓当を見ているのだ。おそらく、目立たずに存在する方法を盗もうとしている。もともと、表立って働くことを好まない男だ。気配を消すことも姿を消すことも白鸞にとっては簡単だが、急に姿を見せなくなるのは逆に目立ってしまう。人々の記憶から自然に消えていくのには、少し手間がかかるらしい。白鸞はいずれ、少しずつ少しずつ空気にとけていく。誰かが「そういえば最後に会ったのはいつだったか」と口にする頃にはもう、誰にもその行方がわからなくなっているだろう。ただ一人、紫鸞を除いて。白鸞は紫鸞には甘い。その自覚はある。だからきっと、探せば見つけられるはずだ。けれどこの厄介な、面倒見の良い大人たちに気に入られている間は、消えていくのは難しい気がする。冷たく見えて、白鸞こそ情に厚い。思い出と生きるのが上手いくせに、目の前の命に、代わりが無いことも知っているのだ。ここのところそんな事を考えていたから、紫鸞は、たまたま鉢合わせた程普と韓当の、健康と長寿を願った。
ー
「どうしたのだ」
「何かあったか?」
程普が訝しげに、韓当が少しの心配を滲ませてそう言うと、紫鸞は力強く頷いた。
「うん、じゃなくてだなぁ」
もう少し話を聞こうとして、けれど二人は孫権に呼ばれて去っていった。紫鸞は二人を見送って、なんだか清々しい気持ちで帰路についた。程普と韓当の背に、色濃く戸惑いが張り付いていることには気づかなかった。
〜おわり〜
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