ちよど
2025-08-25 16:34:28
10390文字
Public わし様など
 

短編化企画(2025年1~7月)

#練習1Pでポストしていた1P小説を短編化したもの。リクエストしてくださって本当にありがとうございました!


No.7
カルヨダ

「愛している」


「どうしてつかなくてもいい嘘をつくんですか?」
 青い帽子を被ったキャストリアは純朴な少女である。そんな彼女に意外な質問をされて槍を握っていたカルナは前衛を見た。
 カルナは偽りを口にすることはない。だが、──前衛でセイバーの集団を宝具で蹴散らしているドゥリーヨダナを見てしまった。
好きなんですよね?」
 誰を、とは言うまでもない。カルナはゆっくりと首を巡らせて少女を見る。
 カルナより少し身長が低い彼女はまっすぐな目で彼を見上げていた。
 そんな彼女をドゥリーヨダナがかわいがっているのをカルナは知っている。
 ドゥリーヨダナは自分の役に立つ者が好きだ。アーツ全体宝具とアーツサポートスキル。組み合わせは抜群でドゥリーヨダナはなにくれとなく構い菓子を与えたり贈り物やカルデアでの便宜を図ってやっていた。
 そのキャストリアが今回のように後衛にいる方が珍しい。
 だからこそ、キャストリアはカルナに声を掛けてきたのだろう。
 どう説明すればこの幼さが残る少女に伝わるだろうか。カルナはゆっくりと口を開いた。
「オレとあれとは親子であり友でもある」
 その言葉にキャストリアはカルナとドゥリーヨダナを見た。
「でも、そういうの気にしないよね」
「オレ達は気にしない。だが、あれは王子だ」
 統べる者が多く、その中にはカルナと親しくするだけで嫌悪を示す者はいくらでもいた。ただでさえパーンダヴァとの戦を控えていたあの頃に陣中に不和を起こすわけにはいかなかったのだ。
 カルナの説明にキャストリアは瞬きした。
「ドゥリーヨダナさんが言ってたよ。──ここはカルデアだ。生前がどうだか知らんがお前は好きにするがいいって」
 今度はカルナの目が瞬いた。
 キャストリアは話を続ける。
「お菓子だって好きなだけ食べていい。温かい布団で眠ってもいい。ふかふかのクッションをもらったし、温かいごはんを奢ってくれたよ。──周回は嫌だけど。ここはカルデアだから」
 少女の目が輝く。
「好きにしていいんだよ」
 カルナは息を呑んだ。
 前衛を振り返る。今度は視線に気づいたドゥリーヨダナが振り返った。
「かぁるな!わし様の活躍をちゃんと見ていたか?」
「無論だ。──無論だとも」
 論ずるまでもなく、ここは生前ではなくカルデアだった。カルナは軽く頭を下げる。
「感謝する」
「どういたしまして」
 ぺこり、と頭を下げて返した少女が顔をあげると。すでにカルナはドゥリーヨダナのところに向かっていた。
 声が聞こえる。
「ドゥリーヨダナ。言わなくてはならない事がある」

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読んでくださってありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。

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