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ちよど
2025-08-25 16:34:28
10390文字
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わし様など
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短編化企画(2025年1~7月)
#練習1Pでポストしていた1P小説を短編化したもの。リクエストしてくださって本当にありがとうございました!
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No.5
アシュヨダ
「迎えに来たぞ!」
「この前、新しい宮殿でドゥフシャラーが迷子になって大騒ぎだったんだよ。──だからさぁ、頼むって」
護衛もつけずに家に転がり込んできた第二王子にアシュヴァッターマンはため息をついた。
夕暮れは終わり夜になろうとしている。こんな時間にアシュヴァッターマンの家から出せるような少人数の護衛で王子を送り出せるはずがなかった。
お忍びというより、護衛を巻いてきたろくでなしの王子にアシュヴァッターマンは険しい顔になる。万が一、この自業自得の第二王子が襲われでもしたら末姫が迷子になったどころの騒ぎではなくなるし、アシュヴァッターマンの大切な人が悲しむだろう。
そんなアシュヴァッターマンにドゥフシャーサナは兄そっくりに小首を傾げてみせる。
「おまえだって、兄貴に見つけてもらいたいだろ?」
迷子になった末姫を百王子と使用人が総出で探したが、あっさりと見つけたのは長兄だったそうだ。
それが羨ましかったのだろう。無断で宮廷を抜け出した次男はチラッチラッとアシュヴァッターマンの顔色を窺う。
アシュヴァッターマンは真面目だ。行くなと言われたところには行かないし。離れるなと言われれば離れない。だから迷子になったことなどなかった。
それがもし、誰かが、あの人が。自分を探してくれるなら──。
その時、家の外でざわめきが起きた。ドゥフシャーサナが喜色を浮かべて耳を澄ませる。果たして。
「迎えに来たぞ!ドゥフシャーサナ!!」
あっけなく彼を見つけた長兄の大声に一番上の弟は跳ねるように家の外へと駆け出していった。
──それをうらやましいとアシュヴァッターマンは思っていたのだ。三千年もの間ずっと。
(迎えに来たぞ!アシュヴァッターマン!!)
呪いを受け彷徨っている間、何度幻がアシュヴァッターマンを迎えに来ただろうか。その度に虚空を抱いて、思い知るのだ。ドゥリーヨダナはもう死んだのだと。
何度も何度も思い知って、もう幻が繰り返されても何も反応しなくなった頃。アシュヴァッターマンは英霊になった。
カルデアに来てもそれは同じだ。ひとりで廊下を歩いている時、部屋で休んでいる時、幻はアシュヴァッターマンを呼ぶ。
(迎えに来たぞ!アシュヴァッターマン!!)
繰り返されるそれにアシュヴァッターマンは顔すら上げない。幻だと思い知っているから。
そんな事は態度に出していないはずだというのに、マスターはドゥリーヨダナを召喚すると言う。
何度も聖杯戦争に召喚されているアシュヴァッターマンはそれが必ず叶えられるものではないと分かっていた。
だから召喚陣を回すというマスターと別れて部屋でチャクラムを磨いていたのだ。
なのに、アシュヴァッターマンの自室にどたどたという足音が近づいてくる。
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読んでくださってありがとうございます。
少しでも楽しんでいただけたなら嬉しいです。
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