芹沢亀吉
2025-07-20 17:47:33
13718文字
Public 菊タブー
 

最後の園遊会

暴虐な軍国主義者の楠木武が恥をかく物語の通算116話目。残忍描写濃い目なので18歳未満の人は読まないように。


 号泣中の亡者楠木の背中を力任せに蹴飛ばしたのはたった今冥府に到着したばかりの亡者義仁だ。

「このタワシヒゲ!貴様が俺を殺してくれたお陰で俺の代が永遠に来なくなったではないか!国賊がぁ!」

「その辺にしておけ、義仁!死んでからも楠木武を蹴飛ばす貴様が己の悪事を全く反省していないのは良くわかった。貴様のような身勝手かつ横暴な亡者を野放しにするわけにはいかん。牛頭馬頭よ、この腐れ皇族を地獄に連れて行け、今すぐに!」

 牛頭馬頭は姿を現すや否や亡者義仁の両足首を掴み、閻魔が命じた通り腐れ皇族を地獄へと連行していく。

「とんだ邪魔が入ったな。さて楠木武よ、次の質問だ。生前の貴様は事あるごとに部下に暴力を振るっていたがそれは何のためだ?」

 亡者楠木曰くあれは暴力ではなく軟弱な部下を鍛えるための指導だったとのこと。

「さっきまであんなに号泣していたのによくそんな嘘をつけたものだな。貴様が己の快楽のため部下に暴力を振るい続けたことも、部下に暴力を振るい続け死なせる度隠蔽したのも全て知っている。それでは最後の質問だ。貴様は他の自衛官と共に決起し花村内閣転覆を企てていた。その企てが実現していればそれこそ何の罪も無い民間人が巻き添えになり多数亡くなっていたのは自明。その犠牲に関して貴様の考えを聞かせて貰おうか。」

 崇高な目的のためなら多少民間人が犠牲になってもやむを得ない、自衛隊の活動を妨げる民間人など死んで当然、これが亡者楠木の言い分。

「もういい!貴様の性根が義仁同様腐り果てているのはよくわかった!皇族共に袋叩きにされ亡くなったのは余りにも気の毒だから特別に己の生前の罪を悔い改める機会を与えたが、どうやら私は判断を誤ったようだ。火車かしゃよ、待たせてすまなかった。この楠木武の汚れた魂を存分に味わえ!」

 夥しい数の平行世界から次々と楠木が冥府にやって来て、どの楠木も腐れ外道故地獄が楠木だらけになった時期も。これ以上地獄を混乱させてはならないとの観点から閻魔は火車にいずれかの平行世界の楠木が死亡する度その魂を捕食するのを許可した。汚れた魂を好んで捕食する妖怪、火車にとって汚れきった楠木の魂はご馳走そのもの。

「閻魔サン、今頂いた楠木武の魂も今まで通り美味だった。それだけ魂が汚れていたということだ。」

「あの楠木武も駄目だったか。火車よ、結局お主に後始末を押し付ける格好になってしまった。」

「頭を上げてくれ、閻魔サン。吾輩はいつも通り汚れた魂を美味しく頂いただけだからつまらぬことで気を揉むな。あんたのその律儀さは嫌いじゃないが。それより今頂いた楠木武がいた世界ではこの後何が起きるのか見てみたい。」

「それは私も気になるところ。青鬼よ、あの鏡を持って参れ。」

 青鬼が持ってきた直径5m以上の鏡は阿鼻叫喚の巷と化した園遊会会場を映し出す。

「て、天皇陛下、何を!?」

 狼狽える花村を尻目に他の皇族共を文字通り捕食する今上天皇清仁、オオアナコンダがワニを飲みこむ様子を想像すれば大体合っている。獲物を絞め殺した後飲みこむオオアナコンダとは異なり清仁は他の皇族共を生きたまま飲みこんでいるが。

「皇族は朕だけで良い!他の皇族など要らぬ!」