芹沢亀吉
2025-07-20 17:47:33
13718文字
Public 菊タブー
 

最後の園遊会

暴虐な軍国主義者の楠木武が恥をかく物語の通算116話目。残忍描写濃い目なので18歳未満の人は読まないように。


「楠木一佐、総理になったら自分を官房長官に任じて下さい。」

「湊川なんか官房長官に任じても仕事出来ませんって。滑舌悪過ぎて記者会見グダグダでしょうし。最近の記者は若い姉ちゃんも多いっすから、若い姉ちゃんとの会話に慣れてる俺の方が適任っす。」

「乃木、貴様のようなキャバ嬢と遊んでいるだけの能無しに官房長官なんか務まるか!」

「湊川貴様ぁ!」

 殴り合いを始めた湊川と乃木ではあるものの、2人仲良く精神注入棒による折檻を受ける破目に。

「貴様ら英霊の前で内ゲバなどするな!連合赤軍じゃあるまいし!大体この楠木に地位をねだるなど図々しいにも程がある!地位をねだる前にもっと汗をかけ!」

 毎日缶コーヒーをグビグビ飲みダラダラ過ごしている癖に、部下に対しては「もっと汗をかけ!」と怒鳴り過酷な訓練を強いる上暴力行為も辞さない楠木ははっきり言って上官の器ではない。過剰な暴力行為により部下を死なせる度「訓練中の事故」として処理と己の犯罪の隠蔽に余念が無いのも卑劣の極み。

 湊川も乃木も楠木からどれだけ暴行されても反撃することは無く、階級が下の陸自隊員を狙い撃ちした嫌がらせにより鬱憤を晴らすのが関の山。乃木の嫌がらせの標的には階級が1つ下の湊川も含まれ、2人の仲が悪いのはある意味当然か。

 突然靖国神社の本殿が光り、楠木の両目も怪しげな輝きを放つ。

「大東亜共栄圏万歳!天皇陛下万歳!」

 そう叫ぶや否や楠木は己の衣服も下着もビリビリ破り捨て、缶コーヒーの飲み過ぎに加え運動不足の弛みきった裸体が露わに。靖国神社本殿に英霊として祀られるのは生前大勢のアジア人を虐殺した旧日本軍兵士であり、何人もの部下を事実上虐殺した楠木と波長が合ったのか早速憑依したのである。多数の英霊もとい悪霊に憑依され理性を失う中己の裸体をミケランジェロのダビデ像よりも美しいと己惚れる傲慢さを肥大化させ、今の楠木は露出魔そのもの。

「く、楠木一佐!何を!?」

 多数の悪霊に憑依され並外れた怪力を得た楠木に全身を引き裂かれ、湊川も乃木もあっけなく死亡。両目が怪しげに輝く全裸男楠木は境内にたむろする旧日本兵コスプレ連中を次々と襲う。運動不足のブヨブヨ体型にも拘らず人間離れした俊敏さだ。楠木に憑依した多数の悪霊は餓死者が過半数を占め、死の直前の飢餓感を払拭したいのか楠木の身体を操り湊川、乃木は勿論コスプレ連中の腹部を引き裂き抉り取った内臓をガツガツ貪る。太平洋戦争時に大本営が兵站を軽視して戦線を拡大し日本兵に餓死者が続出したのは読者の皆様も知っての通り。

「おい、そこのタワシヒゲの変態全裸野郎!貴様在日クルド人だろ!英霊達の安住の地を汚す貴様にヤマトの侍である俺様が天誅を、グワーッ!」

 自称「ヤマトの侍」の加賀かが竜馬たつまが全裸男楠木を在日クルド人認定するも、その楠木に全身を引き裂かれた上内臓を貪られた。創憲会なる極右反動政党を率いる加賀は在日外国人排斥、原発推進、皇室の側室制度復活等を訴え、花村内閣も日本国憲法も強く敵視する姿勢は楠木と同じ。要するに加賀が楠木を在日クルド人と決めつけ罵倒するのも、楠木が加賀を八つ裂きにするのもとどのつまり同族争い。ちなみにまだ理性があった頃の楠木は事あるごとに己の口髭を自慢し、「タワシヒゲ」呼ばわりされる度頭の中の火山が噴火したとか。

「臨時ニュースです。先程東京都千代田区の靖国神社境内で参拝者並びに神職が複数人殺害されました。容疑者は50歳前後の男性で現在靖国通りを東方面に逃走中です。」