芹沢亀吉
2025-07-20 17:47:33
13718文字
Public 菊タブー
 

最後の園遊会

暴虐な軍国主義者の楠木武が恥をかく物語の通算116話目。残忍描写濃い目なので18歳未満の人は読まないように。


 大勢の人がいる中で息子を殴り飛ばすのは良いのだろうか。ちなみに殴り飛ばした動機は靖仁に己の本音を勝手に代弁されたことへの苛立ちだけでなく全裸男楠木が兄の「崩御」を早めてくれなかったことへの苛立ちも含まれ、要するにただのわがまま。もっとも皇室の体面を損なう報道は極力しない日本の報道機関の体質を鑑みると皇嗣が実子を殴り飛ばす不祥事が闇に葬られるのは目に見えているが。それは意識を失う直前の清仁が園遊会の参加者達が見ている中侍従を罵倒した件も同じ。

「陛下が目を覚ました!」

「天皇陛下、お加減は如何ですか!?」

 程なくして清仁が目を覚ましその場にいた人達の注目を集め、義仁はますます不機嫌に。

「陛下!一体何を!?」

 目を覚ました清仁は先程の楠木同様両目を怪しく輝かせ、SP達に交じり仰向け状態の全裸男楠木を蹴り始めた。いつの間にか体内の悪霊共が消え失せた楠木が目を覚まし「痛い!痛い!」と悲鳴を上げたにも拘らず清仁もSP達も蹴るのを止めようとしない。

「あの口髭変態野郎、天皇陛下に蹴られてやんの!」

「天皇陛下!その全裸の凶悪在日クルド人を成敗して下さい!」

 最初は清仁の暴行に戸惑いを隠せなかった参加者達も、いつの間にか一心不乱に全裸男楠木を蹴りつける今上天皇に声援を送るように。確かに楠木は己の殺人を何件も隠蔽し続け悪霊共に憑依されてからは大殺戮を繰り広げた腐れ外道とはいえ、全裸即ち無防備な中年男を何度も蹴りつける清仁の所業は就寝中の野宿者を蹴りつけるチンピラのそれと質的に変わらない。清仁に声援を送る連中には先程の加賀同様楠木を在日クルド人認定する輩もいて、この国の排外主義汚染の深刻さが伺える。

「パパ、俺達もあの変態口髭野郎を蹴ろうよ!」

「そうだな、俺達も蹴ろう!おいSP共、散れ!」

 SP達を追い払い清仁、義仁親子をはじめ皇族全員が楽しそうに全裸男楠木を蹴りつける、何とおぞましい光景だろうか。花村をはじめ園遊会の参加者達も誰一人皇族連中を止めようともせず声援を送る始末。

 何の前触れも無く楠木の全身がボンと音を立てて破裂し、全裸男を蹴るのを楽しんでいた皇族共の全身にその全裸男の血液は勿論目玉、内臓の破片もベタベタと纏わりつく。義仁に至っては楠木の肋骨の破片が喉に深々と突き刺さり口をパクパクさせながら息絶えた。時速90kmで靖国通りの車道を疾走し何台もの自動車に体当たりして大破させた時点で楠木の身体は限界を超えていて、全身が破裂したのは体内から悪霊共が抜け出て肉体の強靭度が元に戻った途端に皇族連中に全身を蹴られたのが引き金だ。

「ギャー!」

 全身に楠木の血肉をたっぷり浴びた皇族共が金切り声を上げ、現在園遊会会場の阿鼻叫喚度合いは先程の全裸男乱入時の比では無い。

「楠木武よ、ここは冥府だ。そして貴様はもう死んでいる。」

 いきなり閻魔大王にそう言われた楠木はまだ己が亡者であることに気付いていない様子。

「さて楠木武に問う。貴様は皇族共に嘲られ、暴力を振るわれた結果惨たらしい最期を迎えた。貴様を嘲り文字通り死ぬまで暴力を振るい続けた皇族共に対して何か言いたいことは無いか?」

 勤皇家を自認する身だけに皇族共のあさましさを認めるのは身を引き裂かれる思いらしく、亡者楠木は号泣し「嘘だ!嘘だ!」と絶叫するばかり。