芹沢亀吉
2025-07-20 17:47:33
13718文字
Public 菊タブー
 

最後の園遊会

暴虐な軍国主義者の楠木武が恥をかく物語の通算116話目。残忍描写濃い目なので18歳未満の人は読まないように。

 2025年4月22日、日本国首相の花村はなむらいわおをはじめとする政府要人、都道府県知事、各界の功労者とされる人達等が礼服を着込み赤坂御苑に集う。そう、今日は園遊会の日だ。

「天皇陛下、今日はお日柄も良くまさしく日本晴れであります。」

 笑顔の花村がそう語りかけても今上天皇清仁きよひとの表情は暗いまま。虎視眈々と皇位を狙う実弟の皇嗣義仁よしひと、退位後も家長として振る舞い続ける実父の上皇政仁まさひと等がこの今上天皇を悩ませ続けているからだ。その悩みは今上天皇として好き放題振る舞いたい清仁本人の身勝手さと不可分一体だと明記しておく。

「花村さん、私は他の人達と話してきます。」

 そう言い残しそそくさと立ち去る姿を目にし、花村の心中に自分は清仁から内心軽んじられているのではという不安が過る。実際昨年の解散総選挙にて保守第一党が議席を減らし少数与党になって以来この今上天皇は内心花村を軽んじ続けてきた。組閣早々に解散総選挙で与党を惨敗させた花村は早く総理を辞任しろ、これが清仁の認識。

「天皇陛下からそのようなお言葉を賜り感無量です。」

「陛下の分け隔てなく接する姿勢に好感を持てます。」

「陛下が我々国民を日々見守って下さっていることを改めて認識出来ました。」

 清仁の「営業スマイル」を真に受け感動と、参加者達の浅はかさは胡散臭い教祖の笑みに心打たれるカルト教団の信奉者とほぼ同じ。そもそも皇室制度自体多額の税金を原資とする官製カルト教団そのもの。生前退位なる憲法も皇室典範も無視した政仁の暴挙に伴い清仁が即位した際には大型台風により苦しむ人達を尻目に饗宴の儀なる祝賀会が連日挙行され、160億円以上もの税金が浪費されたとか。

 皇室批判デモを右翼が襲撃し警察はその襲撃を黙認というのも批判者潰しには手段を選ばないカルト教団ならでは。皇室反対の声を右翼と警察が潰し続け己の手を汚さずに済んでいるが故に清仁をはじめ皇族連中は聖人面出来る。そして日本の報道機関は皇室の実態とはかけ離れた虚像を報じ続け、皇室存続に都合の悪いことは極力報じない。その虚像を真に受け勝手に皇室に親近感を持つのははっきり言って愚の骨頂。

「天皇陛下と直々に話せるなんて本当に凄い。これぞ日本独自の伝統。」

「全くだ。日本人に生まれて良かったよ。」

 西欧のGarden Partyを真似て始めた園遊会の何処が「日本独自の伝統」なのやら。そもそも園遊会の呼称自体Garden Partyを訳したもの。園遊会に限らず皇室を崇める日本人は皇室絡みのものを日本独自だと言い張る傾向にある。要するに「井の中の蛙大海を知らず」ということ。

 同じ頃靖国神社境内にも「井の中の蛙」が。本殿に向かい手を合わせている湊川みながわまもる二等陸曹、乃木のぎまさる一等陸曹、そして楠木くすのきたけし一等陸佐である。この3人の陸自隊員は「天皇陛下を頂く日本は世界一偉大な国」という思い込みが激しく、楠木に至っては怪しげな本を読み日ユ同祖論に毒され己をダビデ王の生まれ変わりと信じ込む始末。

「ナンマイダホーレンソー!アーメンソーメンサヌキウドン!靖国の英霊達よ!大楠公の末裔であるこの楠木に力を!」

 楠木は「皇国義勇軍」なる秘密結社を結成し湊川、乃木をはじめ大勢の陸自隊員を加入させ、何と花村内閣を打倒し己が主導権を握る腹積もりだ。今滅茶苦茶な呪文を唱え一心不乱に靖国神社本殿を拝んでいるのも決起成功を祈願するため。この一等陸佐は軍国主義、国粋主義を信奉し大楠公、即ち楠木正成の末裔である己こそ日本国首相の器だと信じてやまない。