akinoshiroihana
2025-04-14 21:35:33
12874文字
Public
 

名刺置き場2

2022入院中ゲッター


●ジャスラック物件なので名刺にして終わりたかったのに文字数ーなやつ



あいつもこいつもこの席をただ一つ狙っているんだよ

そんなやたら元気で賑やかな歌が巷では流行っていたかもしれない
フランス製の古いツインスクールデスクが浅間学園の標準学習机であるから、「あの横顔を」至近距離で日々みつめられる天国とやらのありがたみを再認識させるかの流行歌が、覿面に生徒たちをざわつかせる席替えの季節、学園のアイドルにして才色兼備の早乙女ミチルは理系クラスに在籍した。男女比率実に九対一をも切るクラスにおいては『二枚目気取りの秀才や、あのいやな悪党番長も』浮かれた流行り歌に浮かされ枷を外されて、そのいつものポーズを保てなくなったかっこうである

ああそういえばツインベッドと同じ言い方か、ちょっとどきどきする、と、様子見にやってきては廊下側の窓越しに真面目に頷いたのは竜馬で、オールラウンダーの彼は文系クラスに属し
へっ、ツインなんざ山登り―――登山の時にガキの頃から姉さんだの従兄だのと寝袋だって使ってたぜ?お子様かよしかもエッチかよリョウさんはよ、と、廊下側の窓のこちら側でやれやれと我関せずを決め込んでいたのは、たまたまミチルと同クラスの隼人だった

「そんなに隣に座りたいもんかねえ」
ミチルさんは話す時、必要以上に距離を詰めて顔を近付けて相手の目を覗き込んで話す癖があるからさ、あいつら迫力負けしちまうだろうよ

そう言った彼はふらりと一番後ろの窓際の、隣に誰もいない席に行ってしまい、どうやら勝手にそこを自分の席に決めこむ様子である、もしかして隼人はこの4月からの席順で、ミチルさんのその怖いもの知らずな距離感に少々疲れたのかな、彼女を嫌いでもないくせにとか、今クラス編入を願い出たらいまひとりの「このクラスで一番の美人」の隣に行けるんだろうかなとか、それにしてもあいつ、つまり同衾という行為にはなにもいやらしいとか思わないなんてすごい事を聞いてしまったかもしれないぞいや待ってくれ、ちょっと、とか竜馬は思う。そして取り散らかした思考のまま思うのは消しゴムの貸し借りや忘れてきた教科書の見せ合い?いやいや、こちらのことなど知った事ではない顔で窓の外を見上げる彼と同じ空を見るのは、それだけでも貴重でなんだか嬉しい体験になるのではなかろうか、などということ。彼の思う所は今一度澄み渡ってしまうのだった。

『勉強する気もしない気も』?いやまず俺達は出席日数で、あいつらが攻めてこなくなる世界が先で、それまで決して死なない事が一番だ、
たまの登校日、隣のクラスを覗いた竜馬は、そんな風に朴訥に悲壮感も無いかのごとく結論付けた
学校。チャイムが廊下に響き渡るのを聞きつつ彼はすたすたと歩き、欠伸をかみ殺す
それが「出動」の命令ではない所。