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黒綺
2025-03-14 19:45:42
14093文字
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クロ指 SSまとめ
18禁以外/全年齢向け作品のリンク(旧Twitter投稿分)2024-2025
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3.2024.7.31 起動日/クロ指
7月31日の夕方、指揮官の姿は庭園上層部、住宅街にあった。普段から着用している執行部隊用の制服ではなく、しっかりとした黒い正装の姿は、見るものが見れば「今日は司令部で式典の類が何かあっただろうか?」と頭を巡らせるだろう。指揮官にとっては、優先度も重要度も高い予定であり、どこから見ても隙のない格好であった、のだが。指揮官とクロム二人が話すのは、旧スミス邸クロムの寝室に置かれたソファであった。二人の前には、食べかけのチョコレートケーキと、ティーポット、揃いのティーカップが親密そうに二つ、並んでいた。
「肩肘を張る集まりではなかったのですが
……
気を遣わせてしまったでしょうか」
「
……
いや、そうじゃないんだが、せっかくの恋人の記念日だ。自分の一張羅を着て、少しでも相応しく見えたらいいなと思ってしまってな、」
「そうでしたか
……
君がこうして時間を作ってくださったこと、本当に嬉しく思います、指揮官」
「ん
……
だが、クロムこそ私を気遣ってパーティーを断ることはなかったんだ。今日という日を共に過ごせるんだぞ? しかも
……
恋人の家族から直々に招待状を頂戴したわけだし」
指揮官の言葉に、クロムはほんの少しだけ申し訳なさそうに微笑む。指揮官の言う「家族直々の招待状」は空中庭園政府政務官であるジョン・スミスからのもので、クロムの起動日を記念したパーティーとディナーを催す旨が記されていたのだが、クロムには招待状の件は伝えられていなかったらしく、送る直前で付け足されたと見られるクロムの走り書きが追加されていた。
「忙しい君に
……
これ以上面倒事を増やしてしまうのは、と思ったものですから」
「面倒なんかじゃないさ
……
それに、庭園にいる時くらい、一緒に過ごさせてくれ。私はこう見えて寂しがりなんだ」
戯けた言い方をしながら、指揮官はクロムの膝の上に置かれた手の甲に、自らの手を重ね、クロムの瞳をじっと捉えた。
「
……
おめでとう、という言葉が今日の日に贈る言葉として正しいかはわからない。去年も伝えたが
……
クロムと、今を一緒に過ごせることが、私にとって一番の幸せなんだ。これからも共にいてくれたら、」
嬉しい、と言いかけた指揮官の唇に、クロムのそれが重なる。柔らかく、感触を確かめ合う動きが次第に深くなったところで、リップ音を立てて熱が離れる。その瞬間、指揮官はクロムの瞳から溢れ出る敬愛と、情愛が綯い交ぜになった視線に動きを封じられた。
「
……
申し訳ありません、指揮官。君を
……
パーティーの前には帰す予定だったのですが、もう少しだけ
……
そばに居ていただけないでしょうか」
「
……
それが、起動日のプレゼントだと言うならささやかすぎるぞ。何がほしい?」
「
……
目の前の君が」
「
……
ふふ、それなら好きなだけプレゼントできる」
再び重なった影は、陽が沈むまで二度と離れる事はなかった。
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