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こꯓレ)ろ🌟🦄🌈🌟
2025-02-24 13:44:23
28813文字
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ハイノイほにゃっと小説
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クピードーの記憶②
続きです。
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♦︎
帰国して二週間。
ハインライン家はチャンドラ家の近くにあり、毎朝子ども達を連れて来る。
未就学のソーマはともかく、就学年齢に達しているナタルも学校に行っていない。学力が高すぎて同世代の子供と同じ勉強ができず、家でハインラインが作ったカリキュラムをこなして勉強しているという。
ハインライン家の二人は、彼の仕事中コノエが預かって面倒を見ている。セレネは普通のナチュラルの学校に通学している。
毎朝来て、必ずノイマンに挨拶するハインライン。
「アーニー、おはようございます」
チャンドラ家のリビングで子ども達を出迎えて、最後に入ってきたハインラインにノイマンも挨拶を返す。
「おはようございます」
「気分はどうですか」
「問題ありません」
「
………
今日は良い天気です」
「晴れてますね
…
」
ちなみに昨日も晴れていた。
その後は話題に困って無言になり、気まずくなって終わる。今日も今日とて話題がないのである。
何か話しかけて欲しそうな顔をして、ノイマンをチラチラ見て来るのだが、稀代の天才と称される技術者相手に何の話をして良いものかわからない。共通点が無いにも程がある。
ノイマンはどうしてかハインラインの目を見るのが苦手で、いつも視線が泳いでしまう。無言の時間が少し続くとハインラインはスンッ
…
と無表情になった。
「では夕方また来ます」
丁寧に礼をして、ノイマンの前から去っていく。彼は仕事に行くついでにチャンドラとセレネを職場と学校に送ってくれるので一緒に出て行く。出る前にチャンドラと少し話している後ろ姿を見送ってホッと息を吐いた。
今ひとつ距離感が掴めないのだが、彼はチャンドラをとても大切にしている。あの男性全般がダメなチャンドラもハインラインのことはファーストネームで呼び、気遣っているのを見て信頼しないわけにはいかなくなった。
彼はノイマンの気持ちを尊重してくれて、一切触れてこようとしないし、恋愛感情の無い男同士の距離感をしっかりと保ってくれている。
仕事が忙しいらしく日中は留守にしているが、夕方に子ども達を迎えに来ると一緒に食事をして行ったり、そのまますぐに帰ったりする。
おそらくは「不器用なところもあるが良い人」なのだろう。ただ、自分と恋愛結婚したということだけがノイマンの理解の範疇を超えているだけだ。子ども達を見るにおそらくチャンドラ達とまでは言わないが、夫夫仲は良かったものと思われる。
五年にわたるアプローチと二年の交際。のべ七年に渡る擦ったもんだの末チャンドラ達を巻き込んで結婚に至ったと聞いた。
「いや、わからん
…
何がどうなってそうなる
…
?」
額を押さえて呟くと、いつの間にか車椅子のそばに絵本を抱えてやって来ていたソーマが「アーニー父さんどうしたの? あたまいたい? だいじょうぶ?」と心配そうに話しかけてくる。
「いや、何でもないよ」
「ほんと? じゃあ絵本読も!」
「昨日の続き? いいぞ」
「うん!」
ニッコニコで慕ってくれる幼い息子。完全に自分に似ているのだが笑うと少しだけチャンドラでなかなか可愛い。
ノイマンが絵本を読むことを承諾すると、ソーマはコノエに声をかけた。
「先生! 隣に座りたいからアーニー父さんをソファに座らせて!」
「よし。ノイマン、いいかな?」
コノエはすぐに来てくれたが、出来れば車椅子に座っていたい。まだ杖だけで自由に動き回れるほど筋力が回復していないので一旦降りるとトイレに行くときなど、また車椅子に乗らないといけないのが不便である。リハビリの一つと考えれば億劫がるのも良くないのだが。
「ソーマ、俺もソファに座らないとダメか?」
「だって車椅子遠いんだよ
…
くっつきたいから隣に座って?」
先にソファに座って、横をポンポン叩いてねだられると無碍には出来ない。
「わかった
…
コノエさん手を貸してもらっても?」
「ああ」
筋力は衰えているが右脚は無事なので立ち上がる時の介助があれば少しは動ける。
ソファに座らせてもらってからコノエにお礼を言うと、ソーマも「先生ありがとう!」とお礼を言って機嫌良く猫の絵本を開く。
ソーマはごく普通のナチュラルの幼児らしい幼児だ。子ども達とチャンドラに護衛ロボとして一人一体のハロがついて回っているが、ソーマだけ大きめのハロに子守りされている。
ハインラインが、ナチュラルの息子に特に過保護で護衛機能をたくさんつけたらハロのサイズがデカくなってしまったらしい。
いつも大きめのハロと話したり、遊んでいて大変可愛い。セレネとナタルが大人びているので余計にそう思う。
午後はナタルがリビングのソファーでタブレット端末とパソコンで勉強しながら話しかけてくる。
ナタルはコーディネイターの中でも特に優秀で、六歳ながらすでにハイスクールレベルの勉強をしているらしい。ノイマンが見てもさっぱりわからない難解な物理学の問題を一瞬眺め、すぐに解答をキーボードで高速入力し始める。
性格もかなり大人びていて、順応性も高くノイマンの記憶喪失をあっさりと受け入れて「記憶がなくなったのはしょうがないし、一生思い出さないかもしれないけど別にそれでもいいよ! アーニー父さんはアーニー父さんだから!」と言い放つ豪胆さがある。
名前こそ「ナタル」で、確かにバジルール中尉を想起させるような美しい紫の瞳ではあるのだが髪色はノイマンと同じだし顔も性格も全くバジルール中尉には似ていない。
竹を割ったような思い切りの良い性格はむしろラミアス艦長に似ているような。
最初は少し丁寧に対話してくれていたがわずか一週間ですっかり素が出てざっくばらんな口調になった。
ナタルの話はチャンドラのことが多く、どうやらチャンドラのことが大好きな様子である。
「これはアル父さんとソーマとダリダにはまだ秘密なんだけど
…
」
「何?」
ナタルは手を止めていかにも聞いて欲しそうな勿体ぶった言い方で話しかけてきた。それがやっと年相応に思えて可愛い。ノイマンも眺めていたアルバムから顔を上げて続きを促す。
「アーニー父さんの記憶がないから、思い出すきっかけになるかもって思うから言うんだよ? まだみんなには言わないでね」
「わかったから、何?」
「ふふっ、私気づいちゃってるんだよね。私とソーマのお母さんはダリダなの。アル父さんもアーニー父さんもダリダの事大好きだからでしょ?」
「誰から聞いたんだ?」
「自分で気付いたの。状況的にそれしかあり得ないから。でも先生にはすぐ言ったよ。そしたらもうわかったのかって褒められちゃった」
「君って今六歳だよな?」
「気づいたのは去年の誘拐事件の後だけどね」
「は? 誘拐事件
…
?」
「私、アル父さんの娘だから誘拐されちゃって、でもダリダが守ってくれたんだよ。自分がいくら怪我しても私のことは絶対に離さなくて、ずっと抱きしめてくれて
…
だからお母さんってこういう人かなって」
ノイマンは混乱してきた。
パートナーは暗殺される。娘は誘拐される。ハインラインは何者なのか。自分はなぜそんな相手をパートナーに選んで子どもまで作ろうと思ったのか。
「アーニー父さん?」
絶句しているとナタルに呼ばれてハッとする。ナタルは父親であるハインラインとノイマンを信じている様子だ。ノイマンが自身に抱く疑問や不信感を悟られないように誤魔化した。
「
…
コーディネイターの五歳児ってすごいな?」
「コーディネイターってより私がアル父さんの娘だから特別じゃないかな」
「そうか
…
」
「ダリダはねぇ、私とソーマをセレネと同じように抱きしめてくれるの。柔らかくて良い匂いして、あったかくてふわふわでもう本当にお母さんって感じで最高なの!」
「確かにちょっと体脂肪率は上がってるような気がするな」
「ちょっと、ダリダが太ってるって言いたいの? アーニー父さんってほんっとデリカシー無いよね。十六年前から無かったんだね!」
酷い言われようである。
「そういう訳じゃ無いけど、ところで君は本当に六歳?」
「私の誕生日、十二月二十四日だよ。もうすぐ七歳だけど?」
当然のように言われたがまるで大人と話しているような気持ちになってきた。しかもナタルの誕生日はバジルール中尉と同じなのか、と思うと少し複雑だった。
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