クピードーの記憶②

続きです。



 朝、自分の名前を思い出してオーブに連絡してもらった。昼前には家族に連絡がついたと看護師から知らされた。そして夕方にはチャンドラが病院に迎えにきてくれた。
 怒涛の一日で流石に疲れたのでオーブに戻るのは翌日にしてもらった。
 病院での最終的なバイタルチェックもあったし、長距離移動に際しての主治医の許可や診断書の作成もあった。何より、約半年間世話になった病院で医師や看護師にお礼と別れの挨拶をしたかった。

 翌朝、治療と入院に関するデータはオーブの軍病院に引き継がれることになった。身元不明の難民登録を身元のしっかりした国際テロ事件の被害者という登録に変更して帰国の手続きを行って国際空港へと向かう。
 昨夜、チャンドラ達は病院の近くのホテルに部屋をとっていたらしい。
 病院からリムジンで連れられて行った空港で待っていたのはまさかのオーブ連合首長国政府専用機で、ノイマンが知っているものよりスタイリッシュなデザインになっていた。しかも周りに四機のモビルスーツまで立っている。
何だよこれ」
「ノイマンが見つかったって言ったらカガリが使って良いって貸してくれてさぁ。入国手続きもしてくれたし、ちなみにコレ音速出るから五時間くらいでオーブに着くぞ」
「何で政府専用機貸してもらえるんだよ」
 ノイマンはごくごく普通の一般人のはずである。確かにカガリとは一次大戦でその素性を知る前から親しくしていたから友人と言えなくもないが、いくら代表首長だからと言ってあまりに職権濫用が過ぎるのではなかろうか。車椅子から最新の超音速機とモビルスーツを眺めつつほんのり引いた。
「モビルスーツまでいるし。ムラサメか? 何で?」
「ムラサメの後継機だな。まぁ最低限の護衛だよ。ハインライン博士の移動には必須だし」
「博士? アルバートさんってすごい人?」
「んーまぁまぁすごいかも。そもそもノイマンが巻き込まれた月コロニーのテロもアルバートの暗殺計画だったしな。犯人は捕まってるし事件自体は解決してるけど、念のためだよ」
「暗殺? 待てよ、いきなり物騒な話になってきたじゃないか」
 チャンドラがノイマンの車椅子を押して搭乗口に向かってくれるが、日常生活でまず出てこないようなワードが連発である。自分はそんな男と結婚していたというのか。
 不安になっていたら横を歩いていたコノエが口を挟んできた。
「チャンドラ博士も護衛対象だろう。適当なことを言うものではないよ」
「いや〜自分はアルバートに比べたらオマケって言うかモブですよ」
「ダリダそういうところだよ」
「お前も博士なの?」
「今はモルゲンレーテで戦艦開発してるからなぁ。オーブ軍の宇宙用の新しいのとか。まぁでも自分がメインって訳じゃないしソフト面の手伝いみたいなモンだから」
「十六年ってすごいな。何がどうなってるのかわからない
 しかして昨日、やけにスピーディーな迎えが来た理由がわかった。オーブから超音速機で直行してきたら昼に出て夕方には着くし、政府専用機を貸し出されるほどの要人のパートナーなら大部屋から特別室に移されたのも納得だ。

 ♦︎

 移動の機内ではハインラインの作ったというチャンドラ専用護衛ロボのホワイトハロに絡まれながら、午後にはオーブに到着した。
 空港で一旦ハインラインと別れノイマンはチャンドラの家に来たのだが、またしても驚きの光景に遠い目になった。
 そもそも車がオノゴロ島屈指の高級住宅街に入った段階でおかしいと思っていたのだが、到着したチャンドラ家の門扉のデカさに言葉を失う。
 車の中から門のロックを解除し、通過して長いアプローチを車で進み、エントランスに到着するまで三十メートルはあったと思われる。
 行き着いた先の車寄せで、コノエに介助され車椅子に乗せられたノイマンは両開きの重厚な玄関ドアを前にして呟いた。
「なぁ、チャンドラ本当にお前の家?」
 すると横に立つチャンドラも遠い目をして呟く。
「わかる。初見の感想そうなるよな。自分も初めてこの家に来た時絶対ローン払えないって思って血の気が引いたわ
 オレンジ色の瓦屋根に白い壁。南欧風の大邸宅は要所にアーチをつけた柔らかなデザインで、完璧に管理された広大な庭に青々とした芝生と常緑の植樹が美しい。玄関横の大きなビルトインガレージには三台の高級車が停められている。
 ノイマンの感覚では、オーブに亡命してきたばかりで生活基盤を整えるまで何かと物入りでチャンドラと二人なかなか思うように貯蓄も出来ず、家賃の安い築年数のいったアパートで近くのスーパーのミールキット焼きそばと一番安いビールがご馳走だった日々を過ごしていたので、連れて来られた家の豪奢な様子には、隔世の感どころの話ではない。
 するとコノエが何やら慌てた様子で後ろからチャンドラに話しかけてきた。
「えっ、ダリダはこの家が気に入ってなかったのか? 引っ越そうか? どんな家が好みなのか教えて欲しい」
「バカなこと言わないでもらえます? 初めて見た時は自分が背負う借金のことを考えて気が遠くなっただけで素敵な家だなとは思いました。別に気に入ってない訳じゃないし、今はちゃんと愛着もあります」
「そうか、なら良かった」
 こんなすごい家をあっさり手放そうとするコノエにチャンドラがピシャリと言い放つ。
 結構キツめに怒られたのにむしろ嬉しそうにホッと胸を撫で下ろすコノエを見るに、チャンドラは、この穏やかで余裕があり気遣いも完璧な歳上の夫を完全に尻に敷いているものと思われた。
 夫婦漫才のようなやり取りをするチャンドラ達をよそに、ノイマンが呟く。
「でも確かに、ローンやばそう」
「それが、アレクセイが一括購入しててローンは無い」
「一括? 事故物件か?」
 チャンドラの返答にノイマンは絶句した。オーブの高級住宅街にこんな大豪邸をぽんと買ってしまう男がチャンドラの夫で、しかも自分から嬉々として妻の尻の下に敷かれにきているくらいチャンドラにベタ惚れなのを目の当たりにすると失われた十六年間の記憶が気になって仕方ない。
「ははは、違うよ。たまたまタイミング良く買えた新築だった」
「コノエさんって何されてる方ですか
「今は育児メインだから大学の先生をたまにやってるくらいかな」
「育児?」
「モルゲンレーテで働いているダリダの収入もかなりのものなんだよ。特許の収入もあるし
「とか言って、私には生活費出させようとしませんよね?」
「ダリダが頑張って稼いだ金は自分のために使って欲しいだけだよ」
「はぁ
 コノエの話はまるで現実味がなく、大きな観葉植物の鉢が並ぶ緑豊かなエントランスのインテリアにも気を取られていたせいで、チャンドラが小声で「おまえんちの方がもっとエグい豪邸だけどな」と呟いたのは聞こえていなかった。
 感心しながら玄関に入り、広い廊下を進むと、床から天井までのガラス戸の奥に明るいリビングが広がる。
 南側は全面床から天井までのガラス戸となっており、庭に続くフラットなアイボリーのタイルテラスが開放的で、日当たりの良い空間だ。窓際にインテリアのアクセントなのか、満月の形のペンダントライトがある。
 リビングの中央にはL字型の大きなブルーのソファ。その近くに車椅子を寄せられて、ソファに座るか尋ねられたが、車椅子の乗り降りに手を借りるのが申し訳なくてこのままで良いと伝えた。
「さて、我が家と思ってゆっくり過ごしてくれ。もうすぐ子ども達も帰ってくるだろうからお茶でも飲んで待とう」
「お茶淹れてきます」
「いや、ダリダはここにいなさい。ノイマンと一緒にアルバムでも見ていてくれ」
「そっか、何か思い出すきっかけになるかも!」
 コノエはチャンドラと短くやり取りしてからノイマンの肩をポンと叩いてキッチンに行き、チャンドラはリビングのテレビボードにのっていたアルバム用のタブレット端末を取ってくる。
 ノイマンの車椅子をソファに寄せてすぐ横に座った。
 タブレット端末に表示されるアルバムのデータは年毎に整理され、古いものから見ていく。C.E.75、コンパスの青い軍服を着ているノイマンとチャンドラの写真や、ラミアスと撮ったものもある。同じ制服を着た見覚えのない人物も写っている。
 顔に傷のあるフラガによく似た男の画像を見て驚いていたら、なんと彼は生きていて今はラミアスと結婚していると言われて思わず涙ぐんだりした。
 それから、チャンドラとコノエの結婚式の写真や、子どもが生まれた時の写真なども見たがチャンドラ家のアルバムなのにかなりの確率でノイマンが写り込んでいるし、その横にハインラインも居る。
 ノイマンがチャンドラの娘を抱いてハインラインと一緒に笑っている写真もあった。
「本当に家族ぐるみの付き合いなんだな
「言っとくけどかなりズブズブの付き合いだぞ。アレクセイと私とノイマンとアルバートの四人で夫婦って感じの」
「何だそれ」
「四人で夫婦か。上手いこと言うじゃないか」
 チャンドラの謎発言に首を傾げていたら、紅茶の準備をしてきたコノエがあっさり肯定した。
「ダリダと結婚するにあたっては君に随分助けてもらった。だから、私も君の助けになろうと決めている。君たちは忙しいから私は最近子守りばかりしているんだが全員ダリダの子だから可愛いよ」
「そう、なんですか俺の助けって、チャンドラが男性が苦手だったから?」
「そう。今でも私と君以外の男性は苦手だね。アルバートは少しマシになってきたかな」
「仕方ないでしょうが! ダメなもんはダメだし
「責めているわけじゃない。むしろ私以外の男がダメなんて嬉しいくらいだが」
 コノエはテーブルに紅茶の乗ったトレイを置くと唇を尖らせて拗ねるチャンドラの横に座り、抱き寄せて頬にキスをした。
 チャンドラも当たり前のように受け入れている。何回見てもチャンドラが男性に性的な意図をもって触れられて拒否反応を起こしていない光景に驚く。
 こうなるまでにノイマンの尽力があったと言われても、全く覚えていないが面白そうだから早く思い出したいものである。

 三人でアルバムを見ながら歓談していると、玄関の方が騒がしくなった。子どもの声が聞こえてきてじわじわと緊張していくのがわかる。
 突然十六年経過して四十二歳になっていると言われて現実を受け入れられていない上、自認としてはまだ二十六歳だし、独身で恋愛など考えられない状態なのに二人も子どもが居るなんて。
 しかも、片脚を失い、顔面は半分以上火傷の痕が赤黒く残って皮膚が引き攣れている部分もある。
 子ども達のことを忘れたと知られたら悲しむだろうし、人相が変わっているから怖がらせてしまうかもしれない。手に汗が滲んだ。
「ただいま!」
 一番に走ってリビングに入ってきたのは濃いグレーの髪の垂れ目の女の子で、明らかにチャンドラとコノエに似ている。言うなれば美少女版チャンドラで、水色のセーラーカラーのワンピースを着ている。
 アルバムで見た二人の娘だとすぐにわかったので少しだけホッとした。
 少女の周りをぽよんぽよんと跳ねているのはアイボリーのハロである。ハインラインの作った護衛を兼ねた子守りロボだとアルバムを見ながら聞いていた。
「ノイマン、おかえり!」
「ノイマン! オカエリ!」
 少女とアイボリーのハロがノイマンを歓迎してくれた。チャンドラそっくりの笑顔を浮かべて喜んでくれるが、ノイマンには初対面としか思えなかった。
「あっ、ああただいま」
「怪我ほんとすごいね。痛いとこある? 事故のせいで記憶が無くなってるって聞いたよ。何か思い出した?」
「怪我は痛くない。記憶の方はまだ、全然
「そっか、じゃあ自己紹介しとくね。私、セレネ・チャンドラ。十二歳。よろしくね」
「よろしく
 ノイマンの前まで来ると、セレネは首を傾げて自己紹介と挨拶をしてくれた。右手を差し出されたので握手を返す。
「でも帰って来てくれて良かった〜! ナタルもソーマも待ってたんだよ!」
 セレネは柔らかく手を握り返してくれて、ブンブンと軽く振ってから離してくれたが、「ナタル」という名前を聞いてピクリと身体が震える。
 セレネが振り返ってリビングの出入り口に視線を向けたのでノイマンもそちらを見れば、無表情のハインラインがノイマンにそっくりな男の子と手を繋いで立っていた。
 白いポロシャツにベージュのハーフパンツをはいた男の子の反対側にはノイマンと同じ髪色で紫の瞳の、白いワンピース姿の美しい少女が居る。足元には濃い紫色のハロと少し大きめのネイビーのハロがコロコロと転がってついてきていた。
「あ
 全く思い出せていないが、あれが自分の子ども達だ。
 ハインラインがチャンドラから卵子提供を受けて作ったコーディネイターの娘、ナタル六歳と、ノイマンがチャンドラから卵子提供を受けて作ったナチュラルの息子、ソーマ五歳。
 ナタルはともかく、ソーマは見るからに自分に似ていて、流石にこれは自分の遺伝子を受け継いだ子なのだろうと信じないわけにはいかない。
 二人はじっとこちらを見つめたまま無言だ。気まずいながらもノイマンから声をかける。
「ナタルとソーマ?」
 バジルール中尉のファーストネームを口に出すことに強烈な違和感と気まずさがあるが、自分も納得してこの名前を娘につけたらしい。どういう心境でそんなことを承諾したのだか、未来の自分が全く理解不能だ。
「た、ただいま」
 ちゃんと笑えているのか、そもそもこんな火傷だらけの顔で良いのか自信は無いが、今言うべきはこれだろうと声に出すと二人はぶわっと涙を溢れさせた。
「おとうさぁんっ!」
 ハインラインの手を離し、駆け寄って来てノイマンの膝に縋りついて泣くソーマ。ナタルもすぐそばまでやって来た。
「おかえりなさい、アーニー父さん
 大きな眼からぽろぽろ溢れる涙を見るに、二人には心配をかけたし寂しい思いをさせてしまったのだと察する。
 特に息子の方は、何も覚えていないのが申し訳ないくらい「おとうさん、おとうさんっ!」と繰り返し言いながら号泣している。
 何とか抱き上げられないかと手を伸ばしたが半年間の療養で筋肉が落ちており無理で、ノイマンの意図に気付いたコノエが立ち上がった。
「膝の上に乗せてやって良いかな?」
「ええ、お願いします」
 コノエは息子を抱き上げ、そっとノイマンの膝の上におろしてくれた。ソーマは首に腕を回して抱きついて「おとぉさん〜! よかった〜!」と言っているが泣きすぎてしゃっくりが止まらず、このまま泣き続けたら吐くのではないかと不安になるくらいだ。
 記憶が無いなりに、抱きしめてやった方が良い気がしてソーマの背中をぽんぽんと叩いて落ち着かせようと声をかける。
「もう泣くな」
「ゔっうぇっえぅう
 涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で、必死に頷いて「だいしゅき!」と言ったかと思えば、頬にぶちゅっとキスされた。
 ノイマンの頬は涙と鼻水と涎でべちょべちょになったが、ソーマが嬉しそうなので汚いとも言えない。コノエが横からティッシュを差し出してくれたので受け取って顔を拭ってやる。
 まだ泣いているが少し落ち着いたようなので、自分の顔も拭いてからナタルに目を向ける。
「ナタル?」
「おかえりアーニー父さん。待ってたよ」
 涙を拭ったナタルは笑って言った。
 つり目なのに笑うと少しチャンドラに似ている気がした。それにしてもこの子はまだ六歳のはずだが、五歳のソーマよりかなり大人びて見えた。
「アル父さんに聞いたよ。私たちのこと忘れちゃったんでしょ?」
「あ、ああ」
 初手で記憶を失っていることに触れられて心臓がどきりと高鳴った。これは罪悪感だ。
 こんなにも慕ってくれる子ども達の事を忘れて、父親と言えるのだろうか。半年間も音信不通で中途半端に記憶を取り戻して帰って来たところでショックを与えるだけなのでは。ちゃんと思い出してから会った方がよかったのではと不安に思う。
 しかしナタルはノイマンを責めなかった。
「忘れちゃうくらい大変な目にあったんだね。あの時、置いて逃げてごめんなさい
「え?」
「あの時、アーニー父さんを瓦礫の向こう側からこっちに来られるような方法を考えれば良かった。私たちが何にもしないで先に逃げたからアーニー父さんは帰ってこれなくなったんだってずっと思って
 ナタルの目から大粒の涙がぶわりと溢れる。
 横に座っていたチャンドラが立ち上がってナタルを抱きしめる。
「ナタル、違うって言っただろ。あの時は逃げるのが正解。でないとみんな死んでたんだから」
「でも、だってアーニー父さん、すごいけがしてごめんなさいっ」
 ナタルはチャンドラに抱きついてなお、ノイマンに謝り続けている。
 大好きな人や大切な人が帰ってこないのは、つらい。気持ちはわかるし、理由をはっきりさせて、誰かのせいにして感情を整理したくなる。でも、明らかにこの子のせいじゃないとわかるので気に病まないでほしかった。
「君のせいじゃないと思う。覚えてないけど多分、いや絶対。宇宙港でエマージェンシーになったなら子どもは優先的にシェルターに入るべきなんだ。どうせ俺が先に行けって言ったんじゃないのか?」
そう、だけど思い出したの?」
「いや、全然。ごめんな? でも、君が怪我してなくて良かったよ」
 ノイマンが言ったら、ナタルもソーマも、少し離れたところに無表情で立っているハインラインも一斉にまたブワッと泣き出した。
 ハインラインは直立のまま無言で号泣していて少し怖い。緊急時に優先的に避難させるのは子どもというのはごく一般的な感覚で、泣かせるような事を言ったつもりはなかった。
「おとうさぁんッ! よかっだぁ!」
「アーニー父さん! 大好き!」
 ソーマはまたぎゅっと抱きついて鼻水をつけてくるし、ナタルも抱きついてきた。
 ノイマンが何も覚えていなくても、ナタルに至っては血のつながりもないはずなのに、当然のようにノイマンのことを「父さん」と呼んで再会を喜んでくれる。
 チャンドラから卵子提供を受けて作った子なら未来の自分も我が子として育てようと思ったのかもしれない。
 二人とも可愛くて、何も思い出せないことが申し訳ないしもどかしかった。

「ハインラインさん」
 二人をあやして泣き止ませてから、少し離れた場所に立ったままのハインラインに声をかける。
 流石に泣き止んでいたハインラインはびくりと身体を震わせた。
「はい
「チャンドラが俺に嘘をつくと思えないし、俺たちが家族だったのはこの子たちを見たらわかりました。今の俺には男性のパートナーって想像がつかないんですけど、思い出せるように頑張りますからよろしくお願いします」
 右手を差し出して決意を述べる。
 ハインラインはゆっくりと近づいてきて、ノイマンの手を握り返してくれた。
 笑っているのか泣いているのか微妙な表情だった。