akinoshiroihana
2025-02-10 20:06:10
15388文字
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名刺置き場9

ゲッターロボ用






「今日は七夕なんだってさ」

言いつつ願い事を書くかと短冊を持って行ってやった相手は
「そうかい」
そう言葉少なに返し、ミチルさんに頼まれたらしい七夕飾りを色紙で折っている
赤いケーブル編みのセーターで。
なんだい冬物も赤なのか、やっぱり好きな色なのかと聞けば、イーグル号の赤も彼は好きだろうかとこっそり思えば。違うよねえさ……姉貴が練習で編んじまって、これ一着でタンスの引き出しの中を占領するったら酷いからって押し付けられて持たされてさ。そう彼は端正な面差しにあるまじく、ぶすくれ、ひとつ身震いもした。深紅のハイネックにも温めきれない白くて長い首はいかにも寒そうだ、七月だというのに!
「どうしてお前さんは平気なんだい、お里は九州なんだろう」
「さあ、進学で故郷を離れたのは中学のときだからかな」

一九七四年七月七日 麓軽井沢の最高気温十五・五度
ならばここ浅間山を眼前にした研究所は―――

七夕だからお昼はそうめんだって、と言えば、笹飾りを作るべく色紙を切る鋏の音がぎくりと止まったのがわかり、竜馬は吹き出しそうになって必死にこらえる。

提灯に吹き流しに網、螺旋の貝殻それに星
夏の川面を今宵の星の瀬を、そこを渡り出会う「二人」を飾るそれを不承不承つくっている白くて長くてすらりとした指は、口許に浮かべる半笑いや伏せた目よりずっとまじめで素直そうだと。そう思うだけで楽しくなるのはいったい何なのか。
なんだっていい、胸か手のひらかどこかがやわこくはねるのがきもちよいと竜馬は思った。夜が待ち遠しかった。