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さもゆ
2024-12-10 00:53:45
85123文字
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【スティレオ】とりあえず、ワンモア
名前有りのモブがレオくんに迫るのをモブレオって言っていいならこれは八割くらいモブレオ。
残りの二割で何とかスティレオになります。
こんなに書いといてあれなんですけど、大したこと何も起こらないです。へへ。
2021.3.7 たまごのお粥pixiv投稿作品
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HLPDにお世話になること待ったなしの状況に自分から足を運んだのは愚かさの極みでしかないと心の底から自分を馬鹿にした。
時刻は夜更け前。星の煌めきなどひとつも見えないHLの霧が濃紺に濡れ、道路が灰色に光って見えるころ。レオは号泣しながらアドルフと円満に別れ、自宅に帰るふりをしてアムギーネに通じる比較的近くにあった裏倉庫街の廃れた扉を潜り抜けて、ライブラに出向いていた。
事務所内は真っ暗な部署とまだ煌々と明かりが灯っている部署とに分かれ、レオが目指すいつもの執務室は後者の方だった。大きく重い扉を開け、照明が点いていることに、あらゆるパターンを想像していたはずの心臓を跳ねさせる。これで目当ての人物以外の者がいたら、適当に言い訳を並べ立て明日のライブラの仕事のために事務所に泊まるか、それが無理そうなら大人しく帰ろうと計画していた。
事務所内には誰もいなかった。
否、寝ている人物ならひとりいた。
三人掛けソファに窮屈そうに長い足を投げ出し、明るい天井照明に白い顔を曝け出しているせいでもっと白く見える、反して夜色の髪をしたレオの上司、スティーブン・A・スターフェイズそのひと。
目当ての、人物だった。
そりゃ少しは期待していたが、まさか本当にまだ残っているとは信じていなかった。
彼は昨夜か今朝にマグカップ男らを完膚なきまでに仲間とともに潰したはずで、そうならばおそらく今日の日中は事務処理に追われていて、でもそれを夜更けまで事務所に残ってするとは到底思えない。ライブラは決まった勤務時間などあってないようなものだが、よほどの案件がない限り、夜は眠り、朝は起きる、そのありきたりな生活サイクルを大事に心掛ける人間たちの集まりだ。休めるときは、きっちりと。
レオは足音を殺してソファに近づき、上司の顔色を間近で確認した。
目の下に薄っすらと隈がある。ほんの僅か、無精ひげも生えていた。ジャケットは背もたれに無造作にかけられ、解いたネクタイは彼の投げ出された手のなかから床に落っこちている。
これは、仮眠だろうか。
レオがいない間に事件はもっと複雑なものになっていて、それでスティーブンはここに泊まらざるを得なくなったんだろうか。それとも、仕事が終わって、少し寝るつもりがこんな時間になってしまったんだろうか。
それならクラウスが起こさないのが変に感じる。
訝しんだが、とにもかくにも、彼が疲れ切っていることだけは確かだった。
「
……
お疲れさまです」
レオはそっと呟き、そして、冷たい床に膝をついた。
予告なく心臓が口から飛び出てきそうな心地になる。
筋線維が上手く動かず、呼吸の仕方さえ危うくなった。
自分を客観視できている自分が、思う通りに動かない自分を馬鹿にしている。“本当にするの?” やめた方がいいとは思ってる。 “ちょっと冷静になった方がいいよ” 全くその通り。俺は冷静じゃない。
でもこのまま冷静じゃない状態が続くなら、いっそのこと存分に冷静じゃなくなって、思いっきりスッキリする方がいい、レオはそう思った。アドルフのようにはなれない。恋心を認めて、大切にして、なのに受け入れられないと知ったら潔くそれを諦める、そんなふうには。
だからレオは認めていないまま、スティーブンに恋をしていないと自身に分からせる手段に走ることにした。
実際には走っていないのに息切れ著しく、また、手のひらに汗が滲んでくる。
仰向けで眠っているスティーブンの唇は薄く開いており、規則正しい息遣いだった。
髪と同じ色をしたまつ毛は濃く、瞼をぴったり閉じさせている。
血色の悪い肌。歪で美しくない傷痕。
でもどうしてだか、アドルフの顔を見る時とは違う感覚が、脳と胸を動かしてくるのだった。
いくら認めたくなくても、体が先に分かってたんじゃ、どうしようもない。
レオは先ほど泣き過ぎたせいで赤くなっている鼻をぐすんと鳴らした。「やっぱり、俺、そうなんだ
……
」キスなんてしなくても、明白だ。いつからだったんだろう? 誕生日みたいに分かりやすく決められていたら良かったのに。これ以上、なんでもない日に、何か大変なことを起こすのはやめてほしい。
「何が、そうって?」
レオがスティーブンの寝ているソファに項垂れると、掠れ声とともに、ぱちりと重そうな瞼が開いた。「おっと悲鳴を上げるなよ、寝起きにきみの喚きはキツイ」
ひゅっと息を飲む。心臓も飲み込んだ。
「おぉおぁああおは、おはようございます」
「おはよう。ウン、いい夜だ」
「こ、こんばんは。お疲れさまっス」
「こんばんは。お疲れ」
スティーブンは寝癖かもともとの癖か分からない頭を掻きつつ、むくりと起き上がって伸びをした。
ちなみにレオは腰を抜かしていた。気づかれていないのをいいことに後ろのテーブルに背を預け、心臓が口からまろび出ていないかを手で擦って確認したあと、呆然と呟いた。
「白雪姫、」
「うん?」
「白雪姫って、ほんとは、ガラスの棺を運ぶ際に躓いたせいで、喉に詰まってた毒りんごが飛び出して目覚めたって、」
「ロマンスの欠片もないよな」大あくびをする。「それがどうした?」
「あなたはいま白雪姫でした」
「は?」
思い切り胡乱な眼差しを向けられ、レオはなぜか非常に安心してしまった。やはり通常が一番だなと思う。完全に通常通りにしなければならない。恋は異常だ。
「スティーブンさん、いま、お疲れですか。お疲れですよね。あの、お仕事は」
「仕事は終わらせた。特に問題もなく。詳細は明日ブリーフィングの時に」
「じゃあ、やっぱり、そのもう寝たいっすよね?」
「小人みたいに窺ってくるな」スティーブンは三人掛けソファの真ん中に座り直すと、右端の座面を叩いた。「俺がまだ残ってたのは、まあ、なんだ。お前がまたそーやって来る気がしてたから、きみ今日、デートだったろ。服もいつもと違うし」座ろうとしないレオを寝起きの気怠そうな目で見下ろし、一瞬何かに気づいたように瞠目する。
「遊びに行ってたんす」
「分かった分かった。遊びにな。で、パターン通りならきみは全身で『どうしよう』っつって泣きついて来るはずだったから、一応待機してたわけだが」
「さすがスティーブンさん」
「ああ。でも全てとはいかなかったらしいぜ。なあレオ、俺の予想じゃ報告を聞くつもりだったんだよ。いい報告だ。きみは『どうしよう』って世迷い言吐きながらも、結局はまんざらでもない顔して笑ってるはずだったんだ。それがどうした、」いつまで経っても隣に座って来ない部下の頬へ腕を伸ばし、節くれ立った指で雑に拭いあげた。「涙の跡がついてる。様子からすると嬉し涙じゃないらしい。泣かされたのか」
「う、」
頬を擦られたことで冷凍魚並みにびたりと硬直したレオは、熱がったらいいのか寒がったらいいのか惑う体のせいで何も返せなくなった。それを肯定と取ったらしい、その間に二度、硬質な踵が床を叩き、その彼の靴底から冷気が漏れているのを認めてレオは更に動けなくなる。
仕事疲れと寝起きのせいだろう、スティーブンはらしくなく、真実、不機嫌そうに溜め息を吐いた。
「泣かされたのか? 嘘だろう、何かひどいことを?」
「あ、の、スティーブンさ」
「じゃなけりゃ、こんなに目が腫れるものか。鼻も真っ赤だ」と言うのなら労わってくれればいいものの、レオの赤い鼻を指先で弾く。「ショックが
……
でかいな。大丈夫か? 俺でこれだ、きみはもっと
……
」すぐあとに、弾いた鼻を指の甲で撫で擦ってくれる。
レオは顔面に熱が集中するのを感じ、義眼の表面が潤んで糸目の間に滲んでくるのをどうか目の前のひとに悟られませんよう祈った。今さら遅すぎるが、泣き虫だと思われたくなかった。
しかしひとの機微にこの上司が気づかぬはずがない。彼はとうとう両手を持ってレオの顔を包んでしまう。
「泣くなよ。いいや、泣きたい気持ちは分かる。友人がひどいやつだと知った時の気持ちは、あんまりつらいよな。僕もつらいよ。どうして
……
きみが、『いいやつ』って言うから、僕は
……
信じてたのに。柄にもなく。きみの審美眼を、義眼抜きでだ、あてにして、何もしなかった。すまない。せめて彼の素性ぐらい調べとくべきだったんだ。俺がマグカップで殴り倒した男、いるだろう? タイミング的にあいつらと何か繋がりがあるかとも疑った。その前の研究所とも。けど何も出てこなかったから。ドイツ人だったら、名前の時点で疑えたんだけど。お前の言うアドルフくんは、本当にただのいいやつだって、そう思って
……
」
レオの癖の強い前髪に、スティーブンの前髪が柔らかくぶつかる。
目尻を下げて、眉も下げて、気弱そうに、氷の上司が薄い唇から凍える吐息を吹きかけた。
「何があった? 出血大サービスだ。凍らせてあげようか。俺ならそれができる」
「こ、」
レオはほろほろとスティーブンの冷たい手に熱い涙をぶつけた。
「怖いよー、なんでえ
……
なんでそんな物騒な話になるんすかぁ」
スティーブンは火傷したように両手を震わせたのち、それでもぎこちない動作で流れていく涙を追いかけていった。「なるだろう、だって。こんなに泣いてるのに」
「これはもう色々いっぱいいっぱいで、違うんです、アドルフは、アドルフはまじでめちゃくちゃいいやつですから、疑わないでください。勘違いです、アドルフはっ」一度息をしそびれると簡単に過呼吸じみた泣き方になるのが余計哀れだった。レオはぶんぶん首を横に振り、スティーブンに縋りつくと、一旦肺機能を落ち着かせようと深呼吸を意識した。「アドルフは
……
とにかく
……
いいやつです」
スティーブンは自分の膝にしがみついてきたレオの背中を、身を屈めて叩きやる。
「
……
DV被害者が加害者を庇うふうにしか見えない」
「ちがっ違います! 信じて!」
「ならなんでそんなに頬がボロボロなんだ。質の悪い真綿みたいな頬だったのに、穴だらけのスナック菓子みたいな頬にされやがって」
「ビフォーアフターでそんな変わらないなんてことあります
……
? 質のわる、スナッ、ええ
……
?」
「泣かされたんだろ」
「
……
勝手に泣いただけです。アドルフさんの読み聞かせが、心にきて」
「読み聞かせ?」
「うす。遊んだ帰りに部屋に行って、そこでたくさんお話しただけです。彼は何も悪いことも、ひどいことも、してない。スティーブンさんの勘違いです」
「はああ?」
そしてスティーブンは雑にレオを放り投げた。たまにふと思うのだが。ライブラの主要メンバー同士は付き合いが長いからなのかたまに動作とか口調とかタイミングとかが似ている時がある。今のスティーブンはザップに似ていた。と言うかザップの口の悪さや独特な台詞回しは周りに影響を及ぼしやすいと思う。レオだってここに来るまではそこまでスラングを使っていなかったのに、いつの間にやらだ。
「なんだよ、じゃあ、ちょっと待て。今の僕ものすごく怖いやつじゃなかったか?」
そう言って眉間に皺をつくるスティーブンはスティーブン以外の何者でもなかったが。
「めちゃ怖かったっす。初期の俺ならちびってました」
「そんなきみがいつか恐怖で泣かなくなる時が来るんだろうな。あーイヤだな、歳を取る」
「たった一晩で紐育がHLになったっすもんねえ」
「なら子どもの成長は一瞬だなあ。K・Kが言ってたし、間違いはない」
「スティーブンさん、それでね、相談があるんすけど」
「相談? あー、はいはい。なんだ、じゃあやっぱり、とうとう付き合ったか? 部屋に行ったんだって? つまりは、そーいうことだろ」
「スティーブンさん、仰ってましたよね。『キスくらいしてみりゃいい。それで分かることもある』って」
「言ったな。したのか?」
レオは床から伸び上がってスティーブンの耳のそばを掴むと、ほぼ頭突きのようなキスをかました。
鼻は潰れたし、歯はぶつけたし、おかしな具合に腰を伸ばしたせいか背骨から頸椎にかけてが無様に軋んだ。
歯をぶつけたあと、むやみやたらに唇を押しつけたせいで、ぶちゅりとひどい音も鳴った。
それから口を離した。すげえ、レオは血の味がする口でぼやいた。「本当に分かる。俺スティーブンさんのこと好きなんだ。どうしよう」
口をぶつけられたスティーブンは面白いほど頭痛が激しそうな顔の崩し方をしたあと、血が滲んでいる唇ではなくやはりこめかみを押さえて茫然と立ち上がった。「ちょっと待て、おい、ワンモア
……
」
「もう一回っ?」
唇から滲んできた血が目立たないくらい真っ赤な顔になってレオも立ち上がった。テーブルに躓きながら、両手を突き出し、スティーブンからじりじりと距離を取る。今や手のひらだけでなく全身汗っかきだった。急激に体温が上がり、自分が勢いだけで何をしたか、ようやく何を認めたかを思い知り、泣きたくなって喚く。「勘弁してください、今ので、俺は、死ぬほどの思いなんです! もう一回なんて無理だ! ああウワなんかッ
……
死んでしまいたい!」
「そういう意味じゃない」すぐそこの大窓から今にも飛び降りてしまいそうな若者を、上司は何とか宥めようと必死に言い募ってくる。「落ち着け。死ぬ思いだって? ハッ、僕も歯が折れたかと思った。分かった、落ち着け。僕が知りたいのは、なんでキスを
――
キスでいいんだよな?
――
をしたかってことで、」
「言ったじゃないすか!」今のレオはファーストキスで浮かれるヒステリック思春期男子そのものでしかなく、紛れもなくこのHLにおいても超危険人物のうちのひとりだった。「キスしたら分かるって! だから俺、だってタイミングが分からない、ずっと窺って、だってこのまま何もしなかったら一瞬で歳取っちゃうみたいな
……
! 警部補を呼んでください! ぼかぁ捕まったって構いません、同意もなくキスをした!!」
「やめろ馬鹿、警部補は呼ぶな。その場合どう足掻いたって捕まるのは僕だ。俺はお前の上司だぞ」
「そうですよ! スティーブンさんは僕の上司だ、しかもそんなに仲がいいわけでもなくて、壁があって、まさしく上司と部下だった! だから俺はあなたに、どうせぞんざいな扱いで程よくいなしてくれるだろうと思ってアドルフのこと相談してたのにッあなたはッアンタがっ
……
思ったよりずっと優しくするからッ、
……
っ喋ってて楽しかったからぁあうわああん信じられない! 最悪だ! 典型的なパターンじゃんよく見るやつぅアドルフさんごめんんん俺自分がこんななだと思わなかったぁうわああああ」
「なんかよく分からんが俺は今口説かれてるのか!?」
「白雪姫のくだりからずっと口説いてるんすよォッ!」
「きみの口説き文句、ヴォイニッチ手稿なみだぞ。全然解らん」
「イタリアの古文書ォ! どーせ俺はスティーブンさんにとったら未解読文字で妙ちきりんな絵ですよ、でもだって! 俺にとっても古文書と同レべだったし、もう何かよく分かんなくてっ、そうしたら、き、キス、しちゃってました、ごめんなさい」
レオはもう何も視界に入れたくなくて自分の足下ばかりを穴が開きそうなほど見つめ下した。ここで泣くのだけは卑怯だと思ったのでぐっと歯を食いしばって諸々に耐える。レオの中でスティーブンにキスをしたのは無体を働いたのと同等で、蹴られてもマグカップで殴られても、今はマグカップがないからテーブル上の灰皿でぶん殴られたっていい覚悟だった。
しかし冷たい風が吹き荒ぶことも、手も足も物体も飛んでくることもなく、沈黙のあと恐る恐る顔を上げると、ソファの傍で立ち上がったままのスティーブンが唇に握り拳を当てて言った。
「
……
俺はきみと違って自分の言ったことは大抵覚えてる」
手の甲で切れた唇の血を拭っても、握り拳はそのままだった。レオは義眼を使っていなかったが、それはこう言っているように見えた。
“どうしよう”
「俺は言ったな。頬にキスされて嫌じゃなかったら、口にされても嫌じゃない。若いうちにちょっといいなと思う程度でも、付き合ってみたらいい。
……
自分の心と向き合え。そしたら」
「百点をくれるって」
「あげるよ」まるで思わしくなさそうに見えない答案用紙を突っ返す。「向き合った結果がこうなるとは思わなかったけど。どういう経緯を辿ったんだ。謎だ。でも答えが合ってるんじゃどうしようもない」
レオもまるで嬉しくなく嬉しがって見せる。「や、やったあ」
「それでだ、少年」スティーブンは至極不味そうに言い淀んだ。「
……
相談なんだが。どうしたらいいと思う、俺は」
えっと思った。
そして、見えない百点満点の答案用紙を破り捨てる前によく確かめてみた。
この流れは知っている。予習したやつだ。
スティーブンを窺うと、彼もレオと同じような微妙な顔つきで、出来損ないだった生徒がちゃんと出来るようになっているかをその身をもって待っている。ように思う。少なくともレオの目にはそう見えた。
「ええと、」
レオは予習を応用したものを口にしてみる。
「キスされて、嫌じゃなかったんですか」
「ああ、そーいうのはない」
「僕のこと、ちょっとはいいなって思ってくれてるんですか」
「ちょっとどころじゃない、きみはかなりいいやつだ」
「
……
なら、僕のこと、振る理由があるとしたら、」
「立場が違う。俺はライブラと、自分を、
……
守るのだけで精一杯だ」
「でもそんなこと、大した問題じゃないんでしょう」ああ、本当に、そう思えてくる。「僕は大切なものが増えるほど強くなれるって、あなたが。それに、ライブラは身内を守れないほど弱小じゃないとも」
「よく覚えてたな。そうだよ。だから困ってるんじゃないか。だから、相談してるんだ」
「付き合ってみたらいいと思います」レオは笑いそうになりながら手汗を拭った。「これで付き合わなかったら、俺、あれですよ、
……
自分家のベッド燃やしてやりますよ」
「きみン家のかよ。アル中でもないだろ」
「失恋の涙と恨み言をたっぷり吸ったベッドなんて、このHLじゃ危険っすから。ねえ、どうしよう、スティーブンさん
……
」
「ああ、ほんとにどうしようだ」
たぶん、問題はまだまだ山ほどあるし、それが全てなくなることはないのだろうが。
その山の、目先にある問題というのが、明日無事に退院するザップに報告をするべきか否か、でおそらく一致しているのが、実のところ何よりも答えだった。
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