さもゆ
2024-12-10 00:36:07
15199文字
Public 狂戦士
 

【セルファル】ツイログ

以前投稿したものも一緒くたにしました。本当に好きです、この主従。41巻もいつか分かりませんがすごく楽しみです。
1…松明を怖がる従者と察する主。
2…従者は自分のものなのか疑うようになった主。
3…従者の傷の手当てを主がする話。
4…ちょっとした悪夢を見た従者。
5…幼少主従。
6…眠れない魔女さんと従者。
7…従者の涙と主。
8…海馬号で一時的に声の出なくなった従者と不安がる主の話。

2020.12.28 たまごのお粥pixiv投稿作品 (原文ママ)


幼少主従。

まつげ




 お前ったらいつもそう、目が細すぎてどこを見ているか分からないのよ、ちゃんと見えていて? 私の目を見るのよ。逸らしたら打つわよ。真っ直ぐ見て。そんなへにょへにょした視線じゃ分からないわ、見えているの? 私のことをよ。お前の主の、私のことをよ。目が合っている? そう。やっぱり細すぎて分からないわ……

「本当に見えているの?」
「見えていますよ」
 僕より小さく苛烈なお嬢様、ファルネーゼ様は僕をじいっと見つめて疑わしげに小首を傾げました。
 何度も確認され、そうやって首を傾げられても、見えているものは見えているので、僕にはそう告げるほかありません。目が糸のように細いのは生まれつきですし、まあわざと伏し目がちにしているのはひとえに目つきが悪いから(貴族はそんな野蛮な目つきはしないものです、とお母様が仰ることもしばしば)ですし、ファルネーゼ様が常に目を見開いていろと言われるなら頑張ってはみますが、見えていないわけでは決してない。僕は糸目のままファルネーゼ様をじいっと見つめ返して、言葉通り、逸らすことなく佇みます。
 大きな碧眼を眇めていた彼女は、更に顔を近づけ僕の目を見つめ(と言うよりは睨み)あらと声を上げました。
「なあに、お前。まつ毛がたくさん」
……はあ」まつ毛は、一本で生えてくるものではないでしょう。
 僕の心中を察したのかそうでないのか、ファルネーゼ様はすっと、今日はまだ煤けていない手を僕に伸ばしました。あ。打たれるのかな。思いましたが、避けることはせず、受け入れます。
 しかしその手は僕の頬を張ることなく、丸い爪のついた指先が、ちょいちょいと、まるで猫を相手するように僕のまつ毛をくすぐりました。
 くすぐる、という表現がぴったりです。
 糸目のせいで間隔狭く密集したまつ毛に触れられるのは、どうにもこそばゆい。
……あの、」
 このままもし目潰しをされたらさすがに参る。
 身じろぐ僕に、ファルネーゼ様はピシャリと言いました。
「動かないの。動いたら眼球を抓んでしまうわよ」
 妙に楽しげ。僕は観念して、はいファルネーゼ様と答えました。