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さもゆ
2024-11-15 22:32:32
35495文字
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BF
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【BF腐】もったいないまとめ
全部ちぎれちぎれの雑多、ワンシーン、落書きなので、私のためのまとめみたいなもんです…。なんでもいい、って人しか見ちゃ駄目。
2019.10.2 たまごのお粥pixiv投稿作品
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2019.0311
アタック・オブ・ザ・キラートマト
同タイトルのB級を超えたZ級・異次元ゴミ映画のパロディ。興味持った人はwikiのあらすじ読むだけにしといた方がいいし、それでも見てみたい人はオープニング見るだけにしといた方がいいくらいの永遠の駄作映画です(誉め言葉)。血塗れになりながら英二を守るショーターが読みたかったんだなあ。
俺はわりと気が長い方である。
年下に対して面倒見がいいとか、年上に対してはそれなりに礼儀をわきまえてるとか、同い年に対しては遠慮なしの関係になれるとか、とにかく人間関係を円滑にする能力が高めだと思う。
しかしまあ、いくら温和な人間でも声を荒げる時くらいある。現に、俺は大切な奴のためなら人を殺してしまうし、それが当たり前の世界で生きていて、しかし尚『気が長い』と評されるから、俺はよほどいい人間に見られているのだろう。俺は気が長い。すぐに暴力で訴えるほど不良でもない。
それは、恐らく人間や他の動物に対して、である。
この世の全ての無機物や植物に対して慈悲深くいられるほど、俺はいい奴じゃない。むしろそんな人間は人間じゃなく神か仏だ。俺ではない。
だから、俺は容易に両手を真っ赤にできた。
「ショーター
……
」
英二が心底怯えた目を向けてきている。そのまろい頬から潰れて飛び散った赤色が垂れ落ち、地面に広がる赤と合流した。びちゃり、床一面を侵しているある意味での臓物を踏み締め、英二に駆け寄った。「大丈夫か」安否確認の声は自分でも面白いくらいに動揺していた。「だ、だいじょうぶ
……
」訊かれたから答えただけ、というふうに英二の唇が動いたが、俺が肩を掴むと混乱が正常に湧き出たようだった。震える唇が震える声を出す。
「しょ、ショーター、僕、」
「大丈夫だ」
「何も大丈夫じゃない、だって、」
「落ち着け」
「だって、」
「分かってる」
「分かってない!」
英二が地団駄を踏んだ。粘着質な音を立てて赤色が跳ね飛ぶ。
「分かってないよ、だって、分からない、何がなんだか
……
」
「英二」
「トマトが襲ってきたんだ」
「英二」
「トマトが襲ってきたんだ!」
聞こえてる。分かってる。
「そうだな」
本当はちっとも分からない。
床一面に散らばる赤い残骸は全てトマトだった。南アメリカのアンデス山脈高原地帯原産のナス科ナス属の植物。赤い実に緑のヘタ。床には赤色だけじゃなく緑色も垣間見える。潰され、切られ、蹴り飛ばされた、野菜(長らくトマトは野菜か果物かで植物学者・農務省・裁判所などで争われてきたし、最終的には野菜とされたのだが、一部ではまだ果物だとみなしている者もいる。が、俺はトマトは絶対に野菜だと思っている)は、全て俺が潰し、切り、蹴り飛ばしたものだった。
なぜかって。これが本当に大パニックなことに。
トマトが襲いかかってきたからだ。
アタック・オブ・ザ・キラートマト
英二が道路に転がるゴミ袋を白猫だと見間違えトラック前に飛び出し、それを俺はゴミ袋に向かって駆け出した英二だと正しく視認した上で「バカヤロウ!」本音を叫び追いかけたのが始まりだった。
ロスアンジェルス・ドースン邸に到着した二日後のことである。長旅の疲れが目に出ていたのか、言っちゃ悪いがもともとお馬鹿であったのか、急ブレーキで停止した二トントラックの前で袋を握り締めた英二は裏切られた顔して心ここにあらずだった。怒鳴ろうとした俺もなんだかその姿が憐れになり、代わりにトラック運転手に平謝りし難を逃れたのだが、自分たちが気づかないうちに新たな難が傍にあった。
「ショーター、あれ、」
猫かと思ったんだと告げた悲壮な表情のままゴミ袋を抱え、英二が指差した道路わきに落ちていたものはトマトだ。五つほど真っ赤な実がころりと転がっている。
「さっきのトラックのかも」
思い返せば、トラックの荷台には赤い実のロゴが描かれていた。英二は自分の失態を鑑みてばつが悪くなったのか、「ごめんショーター、さっきはありがとう。あの、僕、トマト返してくる」と見たところ潰れてはいないトマトを拾い上げちょっと躊躇ってからゴミ袋に入れた。落ちた時点で返すのもどうかとか拾ったゴミ袋に入れるのも衛生的ではないだろとかそもそもトラックがどこ行ったか知らねえだろとか、全部ひっくるめて出てきた返事が「つき合うぜ」だった。たぶん俺の頭も長旅の疲れで正常に機能していなかったのである。
そうして「さっきはほんとにごめんね」「いいってことよ」「なんか僕、今すげえ恥ずかしい」「だろうな」などと会話しながら当てもなく歩き回ったところで、それはアッサリ見つかった。
トマトのロゴが入ったトラックが、住宅の駐車場で停車している。
その辺の家と変わらない一軒家のようで、ただし玄関まで近づいてみるとベルはなくノッカーだけがある古めかしい様相だった。
「間違いないよね」
英二がトラックを注意深く観察し、自分が飛び出した車そのものであると判断して「トマトはとにかく、ちゃんと謝ってくる」先程混乱で半ば追い立てるようにしたトラック運転手のため、ドアノッカーを叩いた。
「
……
留守かな」
二回目。
「でもトラックがあるのにな」
三回目。
「
……
大体開いてたりするんじゃねえの」
四回目のノックがされる前に俺がドアノブに手をかけてみると、あっけなく回った。引くとドアは抵抗もなしに開いてしまう。
この時に、ちょっとした嫌な予感を感じた俺は、トマトだけ置いてさっさと戻ろうと言いたかったのだが、そういう気配に疎く更には俺より純粋なお人好しである英二は不安そうに中を覗き、俺の出かかった言葉を奪っていく。「不用心だね、
……
大丈夫かな」俺らみたいなやつは、真っ先に家主の被害か加害を疑う。だがこいつは含みのない心配を寄せていた。
絆された、と思う。
そりゃそうだ。あのアッシュが銃を触らせ、傍におき、守られ守った人間なのだ。そうじゃなくてもこいつは普通にいい奴で、この出会いだけに留めておくのは勿体ないと思えてしまう、俺の友だちなのだった。
「入ってみるか」
気がついたらサングラスの奥で仕方ねえなと目を細めていた。英二が頷く。俺たちは「すみませーん!」と声をかけながら足を踏み入れた。
木製の廊下は薄暗く、人の気配が微塵もない。本格的にこれは何かおかしいぞと頭のどこかで警告灯が明滅しだしたが、物音によって意識はそちらに向いた。
「今何か」
隣の英二も首を傾げている。
――
何か聞こえる。“何か”がなんの音であるのかは分からないが、硝子を擦るような何かが微かに聞こえてきていた。
お互い顔を見合わせ、廊下を進み、ダイニングに到達する。カーテンは閉め切られ、やはり誰の姿もなく、その代わり何かの音は近くなっていた。
俺はなんとはなしにキッチンに向かい、使い込まれた様子のないシンクに完全に疑いを持った。水滴も水垢も何一つなく、食器はあるべきところに一切の乱れもなく仕舞ってある。頭のどこかで明滅していた警告灯がサイレンを鳴らし始め、咄嗟に果物ナイフを掴み「英二」あんまり俺から離れんなよ、とダイニングを見る。黒髪がどこにも見当たらなかった。「なんでだよ」いかにも大人しそうな人間なのに実際は目を離した隙にいなくなるのが英二だった。シンだってもうちょっと落ち着きがあるぞ。
「ショーター、こっち!」
背筋をひやりとさせたのも束の間、かけられた声を辿るとソファの裏に着いた。英二が床に跪き何か指差している。金属製の取っ手だった。
「地下室かな。あと、音も」
「
……
下から聞こえてんな」
きしきし。硝子が擦れるような、決して気持ちのいいものではない音。
「
……
開けてみる?」
ちらりと果物ナイフを確認する。英二の視線も俺の手に注がれ、「念のためな」開けてみる理由かナイフを持っている理由かどっちつかずの返事をし、俺が床の取っ手を掴んだ。持ち上げてみる。すると床と扉の境目が現れ、そのまま力をこめて引っ張ると軋みながら扉は開いた。
「ほんとに地下室みたいだ」
床に四角く空いた穴は、下へと続く階段があるが、光源のない状態では暗闇に飲まれている。音は下から聞こえてきていた。
「なんだ
……
?」
二人して中を覗き込んだ時だった。暗闇に赤い実が吸い込まれていった。「あっ」英二が慌てて顔を引っ込め、傍に置いていた袋を引き寄せる。「えっ」まるで引力でも働いたかのように、トマトが次々地下へと落ちていった。ゴミ袋がトマト入れからゴミ袋に戻った瞬間だった。「な、ど、ええっ」俺の目から見てもどこか不自然にトマトが転がり落ちた地下室へ、既に遅いが英二が手を伸ばす。
その時。
何かが下から飛び出してきて、その“何か”が何かを理解する前に脊髄反射で隣の体を庇い倒していた。二人して床に激突する。英二を引き倒したまま俺はナイフを構え、ずり下がったサングラスを持ち上げた。「ショーターっ?」「動くなよ英二」しかしその何かは、身構えたのがすぐに馬鹿らしくなる代物だった。なんてことはない、ただのトマトが床を転がっている。
ただのトマトが地下から飛び出し床を転がっている。
「
…………
」
「
…………
」
もしやこの家は相当傾いているのかと不安になるほど、一つのトマトがころころ床を転がっていた。傾いているだけじゃ到底成し得ない動き方だった。「ショーター
……
」「言うな英二」「トマトが動いてる
……
」そう言われたらもうトマトが自分から動いているようにしか見えない。
二人とも立ち上がり、円を描くよう転がっているトマトを唖然と眺め、そして唐突にトマトが跳ね上がった。「え
……
」ぴょんぴょん跳ね飛んでいるトマトが、前触れもなく英二に飛びかかってくる。「えッ」満足に悲鳴も上げられない突飛で奇怪な動きだった。わけも分からず恐らく反射的に英二が手を払い、ぶち当たったトマトが勢いよく床に墜落する。
ぎぃい。
硝子を擦るような音を発し、トマトが一泊遅れてぐしゃりと潰れた。「死んだのか
……
」俺が思わずそう呟いてしまうほど動物的な終わり方で、いや確かに悲鳴を上げたよなってかあの音地下から聞こえてたのと一緒じゃねえか
――
ボンッ! と背後で爆発が起こった。ぎょっとして英二を後ろに庇いつつ、爆発したと思われる地下に続く穴を凝視する。
「あ、わ、ええ、え
――
」
英二が愕然と不明瞭な音を漏らす。爆発したように地下室から大量のトマトが飛び上がってきていた。ぎぃぎぃ鳴くトマトだった。意思ある動きを持つトマトだった。
「ウワァアッ!?」
そして一斉に飛びかかってくるトマトだったのである。
そこからはもう俺とトマト群との大乱闘だった。襲いくる野菜を切りつけ払い飛ばし蹴り上げ踏み潰し、何がなんだか一つも理解していなかったがとにかくこれは普通のトマトじゃなく悪意あるトマトなのだと薙ぎ倒していくばかりだった。ちなみに頭のどこかで明滅し警戒音を響かせていた警告灯は、イレギュラーな事態にとっくに機能を停止していた。ちょっと頭の持ち主さん、こんな馬鹿げたことで警告するようなお仕事は仰せつかっておりませんわよ、といったふうに。本当の本当に馬鹿げていた。
ぐちゃり。
真っ赤な百%トマトジュースが浸している床に、肩で息して仁王立つ。噎せかえるほどのトマト臭。べたつく肌。
「ショーター
……
」
俺に負けず劣らず返りトマトを浴びている英二が、心底怯えた目を向けてきている。そのまろい頬から種を含んだ汁気ある赤色が垂れ落ち、床のトマトジュースと合流した。
そして冒頭に戻る。
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