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botanin5
2024-11-14 03:02:11
18681文字
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薬さに♀(小説)
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終わりよければ全てよし
ハッピーエンド
「好き」に振り回されるお話です。
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薬研に避けられてしまったのだろうか。
今日も仕事をがんばろう!と執務室で待っていたところ、薬研ではなく三日月がやってきた。朝食の後、近侍を代わってほしいと頼まれたのだそうだ。何かしてしまったのかと三日月に聞いてみたが、そういった理由はないようだ。どうしてだろう
…
。もしかして、気づいてしまったのだろうか。私への好きが、恋愛の好きじゃないことに。そう思ったら落ち着かなくなって、すぐに薬研に会いたいと駆け出しそうになったのだが、三日月に止められてしまった。
「あやつにも時間が必要なのだろう。待ってやれ」
言っている意味は分からなかったが、仕事を放ってはいけないと窘められてしまっては、わがままは言えない。大人しく今日の日課に取りかかったのであった。一日中もやもやとしながら過ごし、集中力も欠けてしまっていつもの半分しか進まなかった。晩御飯まであと二時間ほど。いつもならあと一時間半は仕事をするのだが、のろのろと筆が進まない私を見るに見兼ねたのか、三日月にもういいから風呂にでも入ってさっぱりしてこいと言われてしまった。
部屋に戻ってお風呂の用意をすると、大浴場ではなく反対側にある二、三人用の小さい風呂場に向かった。この時間だとまだお風呂が沸いていないだろうし、もしかしたら風呂当番がまだ掃除をしているかもしれない。小さい風呂場は使った者が掃除して片付けることになっているため、いつでも自由に入ることができた。からから、と軽い音を立てて扉を開ける。今日は誰も使わなかったようで、床も濡れていなかった。
お湯を溜めているうちに身体を洗い、流し終えるとゆっくりと浸かった。はぁ。薬研、何してるんだろう。さっぱりして来いと言われても、一人になると考えてしまうのは薬研の事ばかりだ。本当の意味で好きになってもらおうと、思いつく限りのアプローチをしてきたつもりだが、あまり手ごたえは無い。むに、と自分のお腹をつまむ。薬研に食べてもらおうと、歌仙と一緒にお菓子を手作りすることが増えたのだが、失敗するたびに自分で始末しているため、若干太ってきた気がする。食欲の秋も相まって。はぁ。なんだか、いろいろ空回りしている気がする。
案の定さっぱりなどしなかったな。ざぱっと音を立てて風呂から上がる。これ以上ここで考え事をしていては、逆上せてしまいそうだ。やはり、もう一度三日月に話を聞いてもらおう。タオルやシャンプーをかかえて、からから、と戸を開けると、どさっと何かが落ちる音がした。少し嫌な予感がしつつ視線を上げる。灰紫と目が合った。
「え、なっ
…
やげん
……
?」
「っ!!」
「あ、うそ、やだわたし、服!」
焦って持っていたタオルを広げる。シャンプーや石鹸がごとごとと床に落ちた。叫ばなかったことを褒めてほしい。顔があつい、見られた!?恥ずかしい!涙目になってしゃがみ込む。薬研の反応が全く無い。あれ?居るよね?恐る恐る視線を上げれば、
私なんかよりずっと顔を赤くした薬研が、ぴたりと固まったままこちらをじっと見ていた。
口も少し開いたまま。まるで彼だけ時間が止まっているようだ。なに、どうしたの、なんで薬研、動かないの。こちらを見ているはずなのに、目が合わない。その瞳は、ゆらゆらと揺れているようだった。
「や
…
やげん
…
?」
「っ!
…
あ、
…
すまん!!」
私の声がようやく届いたのか、はっと目を見開いて正気に戻ると、手で真っ赤な顔を隠して「悪かった!」と叫びながら脱衣所を走って出て行った。薬研の様子がおかしかった。どうしよう。引いた?幻滅して声も出なかったのだろうか。顔が赤かった。怒った?
「痩せとけばよかった
…
」
ぽつりと呟くと空しくなったため、そっと立ち上がって着替えるために体を拭いた。
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