Hizuki
2024-07-29 08:18:04
11715文字
Public あんスタ[薫あん]
 

薫あんと桔梗の花言葉の話

【あんスタ】薫あん+α。SWINGNIGHTのミニトークに出てきた薫からのおみやげの話を元に桔梗の花言葉を絡めた話。全部で8話、それぞれ独立した話になっています。全て+αキャラからの視点で、二人共いたりいなかったりする。〇×は花言葉を知っているかどうか。



『真相は薫風のみぞ知る』

近くで聞こえたドサッという音に意識を引き戻された。食堂で食事を済ませてから、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。何度か瞬きをし、軽く頭を振って、しっかりと目を覚ましてから、音が聞こえた方に目を向ける。すると、一つ向こうの席に彼女の姿があった。

「おやぁ、あんずさんじゃないか」
三毛縞先輩」

俺の名前を呼んだ声にいつもの元気はない。顔色が悪いというわけでもなく、どうやら何かに悩んでいるといった様子だった。

「そんなに難しい顔をしてどうしたんだ?」

そう尋ねてみるも、あんずさんは何も答えない。代わりにテーブルの上に落とされた視線が、彼女の抱えているらしい問題を伝えてくる。

ふむ、悩みの種はそれのようだなぁ?ママが話を聞こうじゃないか!」

それを片付けたり、俺の申し出を断ったりしない辺り、話してくれるつもりはあるようだ。一つ隣の席に座り直して、あんずさんのテーブルを見る。そこにあったのは、手のひらより少し大きなサイズの箱。あんずさんがその箱を開けると、ふわりと香りが広がった。中身はお香らしい。お香立ても同梱された、雑貨屋などでよく見かけるギフトセットのようだった。

えっと、羽風先輩からいただいたんですけど、その、花言葉、が

そう言って彼女は箱からお香立てを手に取る。それには星に近い形をした紫色の花が描かれていた。

「花言葉これは桔梗か」

呟きに近い俺の言葉にあんずさんは頷いた。彼女は花言葉を知っているのだろう。俺は流石に花言葉に心当たりはなくて、ポケットから取り出したスマートフォンでそれを調べてみる。

「なるほど、そういう

桔梗の花言葉には『永遠の愛』『変わらぬ愛』といったものがあります。

検索結果の頭に出てきた答えを見て思わず唸る。他にも二つほど並んでいたものの、あんずさんの様子からすると拾っているのはこちらの方に違いない。

「でもいつも通りだったから、私だけが気にしてるみたいで

ただ、彼女自身、贈り物自体に悩んでいるというわけではないようだ。薫さんからもらったことは素直に嬉しい、けれど、意味を深読みしている自分に困惑している、といったところか。薫さんからアプローチもされていたし、そう受け取ってもおかしくはないだろう。

「ははは、薫さんが意味に気付いていないとしたら恐ろしいなぁ

花言葉を知っているかどうかは薫さん自身にしか分からない。そういったものに思いを潜ませる、という方法も、きっと彼なら使うこともあるはず。

「全くあんずさんを悩ませるとは薫さんも悪い人だ!よぉし、ここはママに任せなさい!」

今の歯抜けの手がかりからあんずさんの悩みを解決するのなら、本人に直接聞くのが一番早い。彼女の隣を立ち、元いた自分の席から荷物とトレイを回収した。

「えっ!?あっ、ちょっと三毛縞先輩!」
「何か分かったら連絡するから、待っていてほしい!」

ひらりとあんずさんに手を振って食堂を後にする。彼女の笑顔のために真相を求めに行くとしよう。さて、まずは薫さんに会わなくては。ホールハンズに連絡を入れて、彼がいそうな場所をひとまず回ってみることにした。