Hizuki
2024-07-29 08:18:04
11715文字
Public あんスタ[薫あん]
 

薫あんと桔梗の花言葉の話

【あんスタ】薫あん+α。SWINGNIGHTのミニトークに出てきた薫からのおみやげの話を元に桔梗の花言葉を絡めた話。全部で8話、それぞれ独立した話になっています。全て+αキャラからの視点で、二人共いたりいなかったりする。〇×は花言葉を知っているかどうか。



『いつかの未来を願って』

先方のオフィスで雑誌用のインタビューを薫くんと揃って受けたその帰り道。話題は自然とその仕事を自分達に持ってきてくれたプロデューサーの嬢ちゃんのことへと移っていた。

しかし、薫くんも人が悪いのう?」
「えっ、何の話?」

主語を削った問いかけに、薫くんは首を傾げる。あえて落としたのではあるけれど、話の中心の人物は何も変わっていない。

「この間嬢ちゃんにお香のセットをプレゼントしたじゃろう?」
「うんって、何で零くんがそれを知ってるのさ」

こちらの確認に素直な返事が返ってきたかと思うと、隣から聞こえていた声が少しばかり遠くなった。声のする方を振り向けば、足を止めた薫くんが訝しむような視線をこちらに向けている。

「くっくっく我輩の情報網を侮るでないぞ、薫くん。何ならお香立ての柄まで知っておる」

はぁ、と深く大きな息を吐くと、また自分の隣に肩を並べた。その溜め息は呆れか諦めか、いやどちらも含むのだろう。実際のところ、今回の件に関しては自身が情報を求めて何かをしたというわけではない。むしろ、情報の方がやって来た、という方が正しいのだ。たまたま会った嬢ちゃんが、それは嬉しそうに薫くんからの贈り物の全容を語ってくれた。香りも、同梱されていたお香立てに描かれていたものも。

「それはさておき、桔梗の花言葉は知っておるかや?」
「花言葉?」

心当たりがあるのか、突拍子なく振った話題に薫くんは驚かなかった。桔梗は薫くんが嬢ちゃんに贈ったお香立てに描かれていた花だった。

「ん、気付いておらんのかえ?」
もしかして、何か縁起が悪い意味とかあったりする!?」

この反応からすると、薫くんは桔梗の花言葉を知らないらしい。途端に心配そうな顔になってこちらの肩を掴んで揺さぶる。

「それを我輩が言っては面白くないじゃろう?調べてみるとよいぞ」

思わず笑い声が漏れた。本当に薫くんは嬢ちゃんのこととなると表情がコロコロと変わる。それは彼女についても同じことが言えるのだが。肩を掴んでいる手をやんわりと外せば、そのまま薫くんの手はポケットへと伸びた。そして、黒とグレーの市松模様のカバーの付いたスマートフォンを取り出して開くと、真剣な眼差しをそれに向ける。

「では我輩は先に行くぞい。お疲れさんじゃよ」
「あ、うん。お疲れさま

花言葉を知った薫くんがどんな反応をするのかこのまま見てみたくもあったが、この後は互いに個人の仕事が入っている。帰ってから寮で聞くなり、次に会う時に聞くなりすればいい。ひらひらと手を振ると、次の現場に向かうことにした。

「ふふ『永遠の愛』、『変わらぬ愛』か

薫くんが調べているであろう花言葉を口にする。桔梗の花に込められた言葉は、想い合う二人に似合いの言葉。以前別の仕事の時に色々と調べたそうで、彼女は花言葉を知っていた。だからこそ、薫くんから贈られたことが嬉しかったのだろう。
愛を伝える花は薔薇だけではない。これをプロポーズ、と取るには大袈裟すぎるけれど、いつかあの二人が永遠の愛を誓う日が来てくれたなら、と願っている自分がいる。その日が来た暁には、自分にできる最大限の祝福を二人に贈るとしよう。