Hizuki
2018-09-16 10:12:19
16818文字
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グラブルふせったーログ[ジクグラ・ジクジタ・ジクパー]

【グラブル】ジクグラ・ジクジタ・ジクパー。ふせったーに上げていた分のSSまとめ。




『恋文の返事に口付けを』(ジクジタ)


自分の気持ちを言葉にする、というのは何故こんなにも難しいのだろう。
部屋の床に転がっている、丸められた無数の紙くずがそれを物語っている。
ただ『あなたが好きです』と、一言だけでいいのに、相手のことを思い浮かべるだけでどうにも顔が熱くなってしまう。
その熱は手に移り、ペン先に移り、そうして次々と生み出されていったのが床の残骸だった。
緊張のあまり歪んだ文字、便箋に落ちたインクの雫。
とてもではないけれど渡せるようなものではない。
気持ちを込めれば込めるほど、上手くいかずに足の踏み場が減る一方で。
もう何枚目になるか分からない便箋を丸めて放り投げると、頭を抱えて深い溜め息を吐く。
背後の部屋の扉が開く音がした。
きっとビィが戻ってきたのだろうと思っていたのに。

「ジータ、少しいいだろうか。明日のことについてなんだが
「えっ、ジークフリートさん!?」

耳に届いた声に慌てて椅子から立ち上がって振り向くと、そこには想い人が立っていて。

「一体どうしたんだ、この部屋の有様は

部屋の惨状を見たジークフリートさんから困惑した声が漏れる。

「えっと、あの、その!」
ん、何だ?」
「わああああ見ちゃダメですううう!!」

制止をかけるより早く、ジークフリートさんが足元に転がっていたそれを拾って開いた。
それはついさっき私が投げたもの。
伸ばした手が彼に届くことはなく空を切る。
こんなことになる前に片付けていれば、見られることなんてなかったのに。
ああ、まさか、本人に見られてしまうなんて。
恥ずかしさで死んでしまいそう。
いや、ちゃんと書き上がっていればいずれは本人の手に届いていたはずのものではあるのだけれど。
居心地の悪い沈黙が部屋を包み、思わず俯いてぎゅっと目を閉じた。

「ジータ」

名前を呼ばれたかと思うと、コツコツと足音が近付いてくる。
そして目の前でその音が止まった。
何かが私の顔に添えられ、少し上を向かせられる。
ふわりとしたものが頬を掠め、続けて口元に柔らかな感触。
驚いて目を開ければ、ジークフリートさんの整った顔がすぐ側にあって、自分の口に触れているのが彼の唇だと知る。
身動きできずに固まっていると、ゆっくりと顔が離れていった。

手紙の返事はこれでいいか?」

ふっと微笑んで、そう一言。
頭が沸騰したように熱い。
ただ私はこくりと頷くことしかできなかった。