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Hizuki
2018-09-16 10:12:19
16818文字
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グラブルふせったーログ[ジクグラ・ジクジタ・ジクパー]
【グラブル】ジクグラ・ジクジタ・ジクパー。ふせったーに上げていた分のSSまとめ。
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『誓う者、進む者』(ジクグラ)
何かが僕の頭に触れている。
大きな人の手だ。
その触り方には覚えがあった。
「ジークフリートさん
…
?」
「気づいたか、グラン」
自分の口から出た名前と聞こえた声、やや重いまぶたを開けた先に見えた藍色の着物、そして顔が全て一致する。
辺りを見回すと僕に宛がわれた屋敷の部屋だと分かった。
まだぼんやりしている頭で部屋に寝かされている理由を思い返す。
浮かんできたのは僕の方を振り返ったジークフリートさんとパーシヴァルさん。
それと薄暗い部屋、女の笑い声。
大体のことを思い出しふうと息を吐いた。
「具合はどうだ?どこか痛むところは?」
ゆっくりと身体を起こして軽く動かしてみても違和感はなかった。
ハンカチが巻かれていた手首には包帯が巻かれている。
「
…
特にはなさそう。ジークフリートさんこそ大丈夫?」
「ああ、問題ない」
左頬に1枚少し大きめの絆創膏が貼られているのは床に押し付けられていた時の傷だろうか。
それ以外に目立った手当ての跡は見られなかった。
「
…
巻き込んでしまってすまなかった」
そう言ってジークフリートさんが頭を下げる。
はらりと茶色の髪が一房落ちた。
「ううん、大丈夫。僕の方こそごめんなさい」
「何故グランが謝る?」
顔を上げたジークフリートさんが不思議そうに問いかける。
「実はパーシヴァルさんに『周囲に気をつけろ』って言われてたんだ
…
。何がとは言われなかったけど」
「パーシヴァルが
…
」
注意を受けたのはほんの数日前だった。
ジークフリートさんの姿を見なかった夜、廊下ですれ違った時にぼそりと。
何のことを言われているのかまるで分からなかった。
その意味は自分の身を拘束された時に思い知らされた。
彼の人をおびき寄せるための餌だったのだと。
「ジークフリートさん、大変な仕事してたんだね」
処刑人、とあの女は言っていた。
それはつまり、この屋敷の主や掟を裏切った者への制裁を加える者ということなのだろう。
「
…
いつから気付いていた?」
「いつだったかな
…
でもこの屋敷に住まわせてもらうようになって、結構早い辺りで何となく『そっちの方』の人かなって気はしてたよ」
「
…
そうか」
僕が気付いていたこともジークフリートさんには分かっていたようで、それ以上追求されることはなかった。
沈黙が落ち、部屋の前にある庭の水音だけが聞こえる。
しばらく間を開けて、静寂を先に破ったのはジークフリートさんだった。
「
…
今後も同じようなことがないとは言い切れない」
自分の身に起こったことが蘇ってきて、びくりと肩が跳ねた。
それはまた今回と同じようにジークフリートさんを窮地に追い込むことだと思い知らされている。
助けてくれた人だからこそ迷惑はかけられない。
視線を落としてぎゅっと手を握り締め、続く言葉を待った。
「だから、この責任は俺が一生をかけて取るつもりだ」
…
今何て言った?
勢いよく顔を上げて目の前の人物を見る。
「いっ、一生
…
!?ちょっと待ってジークフリートさん
…
!」
「何か問題があるのか?」
何もおかしなことは言っていない。
そう言いたげにジークフリートさんがこちらを見た。
「いや一生って
…
」
話が吹っ飛びすぎている。
それこそ主の方針で僕の方が消されるだとか、どこか人目につかない山奥に隔離されるだとか、てっきりそういうことだと思っていたのに。
慌てふためく僕の様子がおかしいのか、ジークフリートさんが僅かに口元を緩めた。
「それにな、俺がお前のことを好きだと言ったらどうする?」
「え!?」
続けて飛んできた言葉に耳を疑う。
誰が、誰を好きだって?
「グラン、俺はお前のことが好きだ」
今日1日だけで色々起きすぎている。
そろそろ僕の頭の許容量の限界を超えてしまいそうな気がする。
目の前のこの人は僕のことが好きで、一生をかけて責任を取ると言っていて。
「
…
何かプロポーズされてる気分なんだけど
…
」
「そう取ってくれても構わないが?」
「順番がおかしいよ
…
」
何の恥ずかしげもなく肯定され、両手で自分の顔を覆う。
少し前まで使っていた布団よりも薄くなったタオルケットでは顔を埋めることもできない。
熱い。
部屋に回されている扇風機のおかげで暑くはない。
ただ顔だけが熱い。
「指輪でも持ってもらっていた方がこちらとしても動きやすい」
この人なら買って持ってきかねない。
ショッピングモールの雑貨屋や、祭りの露天で売っているような安いものならまだしも、この人の場合一桁や二桁違うようなものを普通に買ってきそうで本当に怖い。
「幸いなことに今日の輩で俺の仕事も一段落したからな。近々見に行くか」
「待って待って、話早すぎ
…
」
外堀から埋められていくとはこのことか。
ああまだ一緒に行くならこっちで止められるな
…
ってそういう問題じゃない!
僕が断る可能性を考えていないのかこの人は。
「ならばまずは、お前の気持ちも聞かせてはくれないか?」
指の間から様子をうかがえば、真っ直ぐな金色の瞳と目が合った。
僕の言葉を待っている。
急かすこともなく、ただ静かに。
窮地で何の迷いもなくこの人を信じられたこと。
さっきのこの人からの言葉に熱くなった顔。
それがもう答えだ。
「
…
もう分かってるんじゃないの
…
」
「お前の口から聞きたい」
逃げられないと悟る。
逃げるような場所もない。
えっと、こういう時何て言うんだっけ。
昔テレビで見たことがある。
きちんとジークフリートさんの方を見て、膝を揃えて正座をして、背筋を伸ばす。
手をついて、頭を下げる。
「ふ、不束者ですが、よろしくお願いします
…
」
多分間違ってはいないはず。
ちらりとジークフリートさんの様子を盗み見る。
「
…
そう来たか」
ふふ、と微かに笑う声が聞こえた。
「まさかそこまでの返事がもらえるとは思っていなかったな」
「うわぁ!?」
あまり慣れない正座の姿勢から腕を引かれてバランスを崩した。
胸に飛び込んでいくような体勢になって、そのまま受け止められる。
頬を触れる髪、すぐ側にある顔。
近い。
心臓の音がより速度を速めていく。
それはもうジークフリートさんに聞こえてしまうのではないかと思うほどに。
「ジークフリートさんこそ、本当に僕でいいの」
「グランでなければここまでは言わないさ」
そんな台詞を自分が言われることになるなんて誰が予想しただろう。
また顔が熱くなる。
互いの顔が見える距離まで身体を離され、何をするでもなくただじっと見つめられる。
笑みが薄れた真剣な眼差しに目を逸らしたくても逸らせない。
「
…
グラン、俺が怖いか?」
以前同じ問いかけをされたのは突然の雨に降られた日の風呂場。
あの時は初めて見たジークフリートさんの背中にただ驚いて。
初めて会った時も、そして今日もこの人の背中に助けられてきた。
怖いか、というのはきっと背中も、仕事も、本人の行動も全てを含むのだろう。
「
…
ううん、怖くないよ」
…
まぁ仕事以外のことについては少しだけ怖いのかもしれない。
けれど、この問いかけへの答えは変わらない。
僕がそう答えると、深く頷いて一言、そうか、と笑った。
何か額に柔らかいものが触れる。
それがジークフリートさんの唇だと理解するのに数秒。
続けてまぶたに、鼻先に、頬に。
されるがままになっている僕はジークフリートさんから与えられるものをただ受け入れるだけ。
そうして、最後に僕の唇に。
触れられただけなのにこんなにもドキドキする。
数回口づけてから離れていったジークフリートさんはとても嬉しそうで。
「
…
ジークフリートさんのこと、いっぱい教えてね。一生いるには知らないことが多すぎるから」
「ああ、そうだな。俺ももっとグランのことを知りたい」
互いのことを知らなさすぎる僕達は、未来の約束をしてから最初の一歩を踏み出す。
これから先、何が起こるかなんて誰にも分からない。
それでも、どうかずっとあなたと共に。
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