Hizuki
2018-09-16 10:12:19
16818文字
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グラブルふせったーログ[ジクグラ・ジクジタ・ジクパー]

【グラブル】ジクグラ・ジクジタ・ジクパー。ふせったーに上げていた分のSSまとめ。




微量の毒を摂取し続けると、その毒に対して抗体ができるのだという。
では、僕の場合はどうだろうか。


『毒を受け入れたその先に』(ジクグラ)


ぼんやりとした意識の中で声が聞こえる。
僕の名前を呼ぶ声がゆっくりと意識を引き上げていく。
まだ誰なのかは判断がつかない。
顔に触れるのは自室の机の木の感触で。
どうやらいつの間にか眠ってしまっていたようだ。

グラン」

低く、甘い声が耳に響く。
同時にいつもその声を聞く場所が思い浮かんで、反射的に肩が跳ねそうになる。

ジークフリート、さん」

机に伏せていた身体を起こして声のする方を振り返れば、予想通りの金色がベッドに腰かけてこちらを真っ直ぐに見つめていた。
声の主の名前を呼べば、口元がふっと緩められる。

「そのままでは風邪を引いてしまうぞ」

先ほどの声は鳴りを潜め、普段通りの声が諭すように告げる。
跡が付いているであろう頬に近付いてきたジークフリートさんの大きな手が触れた。
手が顔から離れると、そのまま腕を引かれて椅子から立ち上がらせられる。
ふわりと足元が浮いたかと思えば、今度は柔らかい何かの上に下ろされた。
見えているのは見慣れた部屋の天井。
ベッドに寝かせられているらしい。
少し眠ったことで逆に頭が冴えてきたのか、ようやく自分の状況が飲み込めてきた。

「ありがとう、ジークフリートさん」
「団長に何かあってもらっては困るからな」

ついさっきまで僕が座っていた椅子に座り、そう言って僕の頭を撫でる。
触られるのが心地良くて少しだけ目を閉じた。

僕より一回り以上年上のジークフリートさんは、僕のことを好きだと言った。
もちろん僕だってその人を好きで。
好ましくない人間を艇に置いておけるほどまだ心に余裕はない。
それが友情や信頼としての好きではなく、愛情としての好きだと知らされたのは少し前で。
そして、その気持ちに応えることを決めたのは僕自身で。

頭頂部から徐々に下りてきた手は頬に触れる。
長い指が耳を掠めた瞬間、思わず身体がビクリと跳ねた。
今の自分の居場所のせいもあるのだろう。

「っあ

漏れてしまった声に慌てて自分の口を手で塞いだ。
けれど声をなかったことにすることはできるはずもなく、恐る恐る目を開ければ動きを止めてこちらを見るジークフリートさんと視線が重なる。
手は頬から移り、耳の窪みをなぞる。
声を上げてしまわないようにぎゅっと目を閉じて指を噛んだ。

「グラン」

起こされた時と同じ声。
繰り返し耳に触れて僕の名前を呼ぶ。

まるで毒のようだ、と思う。

魔物から浴びせられる毒とは違い、痛みや苦しみはない。
ただひたすらに甘い毒。
初めてあの声音で名前を呼ばれた時、全身がぞくりとしたのを今でも覚えている。

いいか?」

噛んでいた手を外され、ベッドの上に縫い止められる。
真っ直ぐに見つめてくる金色の瞳。
じわりじわりと蝕む声。
触れていた手はそのままに耳を擽る。

グラン」

微量の毒を摂取し続けると、その毒に対して抗体ができるのだという。
この甘い毒を受け入れ続けたら僕はどうなってしまうのだろう。
きっと一生抗体ができることはない。
少しずつ浸されて、気づいた時にはもう全身に回っていて。
毒が積み重なって、そのうち手放せなくなる。
もう知ってしまっている。

す、少しだけなら

明日の朝も早い。
それでも、僕を求める声と毒がもたらす快楽に抗うことはできずに、ただ声の主に身を委ねた。