Hizuki
2018-09-16 10:12:19
16818文字
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グラブルふせったーログ[ジクグラ・ジクジタ・ジクパー]

【グラブル】ジクグラ・ジクジタ・ジクパー。ふせったーに上げていた分のSSまとめ。




『約束は時を越えて』(ジクグラ)


「ジークフリートさんは生まれ変わりって信じる?」

日課の剣の稽古の休憩中。
艇の甲板に座る俺の隣で、寝転がって空を仰いでいたグランが問いかけた。

「またいきなりな話だな」
「人間どうしたってそういう時って来るでしょ?」

年若くして曲者揃いの機空団をまとめている身、他の同年代に比べれば経験は豊富だ。
それこそ戦いの最中、生死に関わる物事も数多く目にしてきている。
とはいえ、おおよそ15歳の口から出るには重いような気がした。
彼の年齢を思えばまだまだ人生は長い。
なのにその先の話と来た。
問いにどう答えたものか思考を巡らせていると、グランが言葉を続ける。

「でもさ、僕生まれ変わってもジークフリートさんには会える気がするんだ」

迷いなく言い切った声の方を見遣った。
俺と目を合わせて向けられた笑顔は年相応のもの。

どうしてそう思うんだ?」
「何となく、かな。というか僕が会いたいから探しに行くんだけど」

根拠のない答えと付け加えられた理由はとても素直だった。
もし生まれ変わったとしても、同じ場所で同じ時を生きている保証はない。
人として生を受けるかどうかも定かではない。
それでも理由としては十分すぎるもの。

「分かった。必ず俺もお前を探しに行こう」

生まれ変わって、またグランに会いに行く。
今の人生すら全うしていないのに、その先の話をするのはどうかと思わないわけではない。
だが、自分の最も愛しい人が次の人生でも自分自身を探してくれると言うのだ。
ならばそれに応えたいと思うのは自然な感情だろう。

「ありがとう。なら待ち合わせ場所決めなきゃ。分からなくなっちゃう」

うーん、と首を捻る。
互いに分かる場所でなければ会えるものも会えなくなる。

「じゃあ待ち合わせ場所は、空に一番近いところにしよう」

身体を起こしたグランがそう言い放ち、俺の小指に自分の小指を絡めた。
具体的にどこを示すのかはその時になるまで分からない。
ただグランと会う時は、きっと今日と同じ雲一つない晴天の日のような気がした。

「ああ、約束だ」

待ち合わせ場所というにはあまりにも漠然としていて。
約束というにはあまりにも曖昧で。
それでも今の人生の先にグランと繋がる何かがあるということが嬉しい。

「さ、それじゃもう一回!」

立ち上がったグランが自分の剣を取り、側に置かれていたもう一本を俺に手渡した。
互いに距離を置き、手にした剣を構える。
一呼吸置いて甲板に剣がぶつかる音が響く。
そして







夢を、見た。
俺が空を旅していた頃の夢。
ざっくりと言うのなら前世の記憶というものなのだろう。
過去にも何度か見たことがある。
内容はいつも断片的で、ほとんど繋がっていたことはない。
けれど、その夢の中の男は俺自身であることに違いはなかった。
身の丈ほどの大剣を手に、闇色の甲冑を身に纏った自分、隣には決まってあの少年がいて。
目覚めたのはいつものマンションの寝室。
カーテンの隙間から差し込む光に目を細めながら身体を起こした。
窓に近付いてカーテンを開ければ、雲一つない空が目に飛び込んでくる。
枠に切り取られた空を見て、夢の中の愛しい少年の言葉を思い出す。

『待ち合わせの場所は、空に一番近いところにしよう』

行かなくては。
探しに行くと約束していたのだから。
今日の夢を見るまで抜け落ちていた約束。
この街で一番空に近い場所はどこだったか。
普段ならば考えられないような速さで身支度を整えながら、自分の記憶を漁る。

あそこか?」

街の外れに、景色を一望できる高台があったことを思い出した。
花火大会や催し物の時ならば人で溢れかえっているが、平時にはほとんど人気のないような場所だったはずだ。
彼がそこにいる保証はない。
けれど行って確かめたかった。
地下の駐車場で自分の車に乗り込むと、その場所を目指した。
休日の賑わいを見せる街中を通り抜けていくと、外は徐々に静かになっていく。
目的地の高台の階段の側の駐車場に車を停めた。
人気が少ない理由はこの階段だろうなと現物を目にして思う。
かなり昔に造られたのか、上がる方法が階段しかないのだ。
深呼吸を一つ。
一段ずつ階段を上がっていくと、次第に高台のシンボルでもある時計が見え始めた。

最後の一段を上がり、広場に出る。
同時に風が吹き抜け、思わず一瞬目を閉じた。


遅いよ、ジークフリートさん」


風が止んで聞こえてきた声。
ゆっくりと目を開けた先に映る人影。
こちらを振り返り、そう言って笑った、『この世界で初めて会う』少年は迷いなく俺の名を呼んだ。

「待たせたな、グラン」

自分の口から自然と出たその名に疑問は感じなかった。
駆け寄ってきたグランを受け止める。
夢の中のグランと目の前のグランが同じ空の下で重なった。