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乙麻呂
2024-09-15 18:27:38
37637文字
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かいこさんの現代AUネタまとめ
かいこさんの現代AU風情の芸能ネタに夢を見過ぎで、色々と書き散らかしてしまった物をまとめました。《三次創作》です。
仙京坂35の活動やその他色んな部分は捏造と妄想です。
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《極道もののドラマで共演する風情》
ガタン、と音がした。
その音の正体を目視する前に、獲物の冷たい感触を首筋で感じる。
しかし、『風信』は眉ひとつ動かさなかった。
革張りのソファに背をもたれ、自分を見下ろす『慕情』をただ見返す。
「お前に俺の組が落とせると、本気で思ってるのか?」
「落とせるか、やってみようか?」
首筋に突き付けられた刃物よりも余程鋭い目が『風信』を刺す。
『慕情』はソファに片足を乗せ、風言に覆い被さるように身を屈めた。
成る程、刃物をあてがっても薄皮一枚切らない器用さと、そのくせほんの僅かに力を加えれば頚動脈を確実に切るだろう容赦の無さは敵対組織ながら舌を巻く物がある。
だが。
『風信』は『慕情』の首に付けられた皮のチョーカーを指先で引っ張った。
風信の首で、僅かにナイフの刃が滑る。一つ間違えればただでは済まない局面での、無謀とも言える行動に、『慕情』がほんの一瞬目を見開く。
ピリッと走った痛みなど歯牙にもかけず、『風信』は低く笑った。
「組の若頭だろうが、所詮は組の狗に過ぎないって事を思い知らせてやるよ」
チョーカーを引っ張られたせいで触れ合いそうに近くなった『風言』の視線を真正面から受け止め、『慕情』も唇を引き上げ、吐き捨てた。
「お前だって、吠えて噛み付くしか芸の無い犬コ口だって気付かせてやるよ」
その瞬間、カーットと声が響いた。
◆◇◆◇
危なかった。
何がとは言わないが、危なかった。
撮影が終わり、楽屋へと向かいながら風信はホッと息を吐いた。
誰だ慕情に首輪を付けるような衣装をあてがった奴は。
首元があんなに開いてる必要があるか?
大体、なんで、女装なんだ。
ただの男がカチコミに来る話で良いだろう。極道物など。
内心で脚本から衣装まで一通り難癖を付けながら歩いていると、一足先に衣装を着替え終えた慕情が別の楽屋から出て来るのが見えた。
一瞬、目が合う。
さっきまでの殺伐とした笑みが消え、いつも通りの煩わしげな表情をしている。それは風信も同じだろう。
「帰りか」
「まぁな」
互いに好意のカケラも無い言葉を交わす。風信は慕情に視線を合わせないまま言った。
「俺もだ」
「だから何だ」
「だから何だ」と言う時点で風信が“何"を言おうとしているのか分かっているクセに、何も察しないフリをする。
しかし、それ以上風信は何も言わなかった。慕情もそれきり、顔を背けてさっさと立ち去る。
“共演NG”だと言うのに、脚本家の強い要望によりキャスティングされたのだ。
二人の間には、役に入っている時よりもリアルな緊張感が漂っていた。
◆◇◆◇
わざわざ風信がソファに座るタイミングを見計らい、慕情は風信の目の前に立つと、荒っぽくソファに片足を乗せた。
いわゆる壁ドンやら床ドンやらの類だろうか。
問題は、慕情が何故か撮影の衣装とそっくりな私服を着ている事だ。私服だから男物の服ではあるんだが、長髪のウィッグのせいで女装しているようにしか見えない。
芸が細かい事に、アイドルモードの時とは違うウィッグだ。
少し癖のついた髪はハーフアップになっていて、いつもと違う雰囲気を醸し出している。
わざわざベルトタイプの首輪までしている。違った。チョーカーまでしている。
違うのは、撮影の時の冷徹な笑みでは無く、揶揄する気満々の心底タチの悪い笑みを浮かべている事くらいだ。
その笑みがやたらと可愛く見えたので、俺の目と頭はそろそろ取り返しつかなくなって来たかも知れない。
撮影のワンカットをなぞるように、風信の首筋にひやりとしたモノが押し当てられる。
ひやりとして、ギザギザとして、薄っぺらいアルミの小さな何かが。
幕情がハッと嗤った。
「お前、このシーンで反応しただろう」
「
……………
してない」
カットの声がかかるまで辛うじて抑えた。少しほんの僅かに股間に変化はあったかも知れないが、奇しくも慕情の体に隠れてカメラには映らなかったのは確認済みだ。
しかし、慕情は風信の答えなど最初から聞く気は無かったらしい。
「ほら、何て言うんだ?素直に言えたら撮影じゃ出来なかった事をしてやるよ」
ウキウキと言う台詞じゃないだろうと思うが、風信の風信は慕情の自宅を訪れた瞬間から浮き足立っている。
慕情の条件に、異論がある筈が無い。
風信は真顔を保ったまま言った。
「シよう」
幕情が笑みのままグッとソファを踏み付けた。
スプリングが軋みをあげる。
どうやら望んだ返答では無かったらしい。
「お前はもう自分のセリフを忘れたのか?」
慕情が吐き捨てた。風倍は少し考え、昼間の撮影と同じ言葉を口にする。
「お前が俺を落とせると、本気で思ってるのか?」
幕情は満足げに笑んだ。
「落とせるか、やってみようか?」
風信は慕情の首に付けられたベルト式のチョーカーに指先をかけ、引っ張った。
「その言葉、後悔するなよ」
風信は台詞を口にすると、もう一方の手で、慕情の手ごと風信の首にあてがわれたアルミの袋を口元に引き寄せる。
風信はそれの端を咥えた。
アルミの袋が僅かに震える。慕情がほんの僅かに目を見開く。
袋の端を噛み千切り、風信は低く笑った。
「そうやって挑発し過ぎると危ないって事、思い知らせてやる」
チョーカーを引き寄せられたせいで触れ合いそうに近くなった風信の唇に、慕情も挑むように唇を重ね、吐き捨てた。
「お前だって、硬派とか言われてるクセに盛ってばっかりいるって自覚させてやるよ」
お前のせいでもうとっくに自覚してると、風信は内心でボヤいた。
「それはこっちの台詞だ」
そして、二人はドラマをなぞるような熱い交わりに身を委ねる。
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