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乙麻呂
2024-09-15 18:27:38
37637文字
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かいこさんの現代AUネタまとめ
かいこさんの現代AU風情の芸能ネタに夢を見過ぎで、色々と書き散らかしてしまった物をまとめました。《三次創作》です。
仙京坂35の活動やその他色んな部分は捏造と妄想です。
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《仙京坂35がライブ後にラーメンを食べに行く話》
どんぶりからはみ出んばかりの分厚いチャーシュー。白い脂の浮いた豚骨スープ。
黄身がとろりとした煮卵。
添えられたメンマとナルト。
ニンニクの効いた炒飯。カリカリに焼けた餃子。
ライブ後の疲れと空腹の体には、それはあまりに魅惑的だった。
「じゃ、今日もお疲れ様!○○ドームも頑張ろう!」
「はい、お疲れ」
「お疲れ」
三つの水のグラスが軽い音を立ててぶつかった。
明らかに付き合いでやってますと言う態度の二人に、師青玄は頬を膨らませる。
「もう!二人ともテンションが低い!」
「ラーメンが伸びる」
明儀はそれをサラッと跳ね除ける。
既に手は割り箸に伸びており、目の前にはどんぶりから溢れんばかりの分厚いチャーシューが折り重なったラーメンがある。勿論特盛だ。
炒飯も山盛り、餃子も二人前ある。
全て明儀一人分だ。
明儀はそれ以上師青玄を相手にせず、黙々とラーメンを食べ始めた。
慕情もれんげを手にしたが、その手を師青玄に押さえられた。
「食べる前にブログ用の写真を撮らないと!」
「これを撮るのか?」
慕情はテーブルに並んだ大量の料理を見て眉を顰める。
しかし師青玄はさっさと自分のスマホを翳すと、黙々と食べている明儀に肩を寄せ、アイドル使用の笑みのまま慕情に「近づいて!」と促す。
仕方なく、慕情はテーブルに身を乗り出して師青玄のインカメラを見上げた。
「ほら明兄、こっち向いて。いくよ?はい、チーズ」
シャッター音が鳴る。
師青玄は写真の写りを確かめると、「まぁいっか」と呟いた。
慕情がチラリと見ると、眩しい師青玄の笑みが画面の半分を占めており、その対面に慕情の涼しい表情がある。そして師青玄の向こう側に、ラーメンを食べ続け視線も寄越さなかった明儀がいる。師青玄に隠れて、テーブルの上の大量の料理は程よく隠れていた。
これなら、三人で食べたと言えば違和感は無いだろう。実際は明儀一人分であり、量もずっと多いが。
仙京坂35の公式ブログは、殆ど師青玄が投稿している。
アイドルのレッスン風景やこうしたちょっとしたオフの様子、仕事での出来事などが見れるブログはファンとアイドルを繋ぐ大事なコミュニケーション手段だと言うのは理解している。
が、慕情も明儀もフレンドリーな文章など書ける気がしないし、書きたくも無い。
その点、師青玄は適材だろう。
慕情も伸びる前にとラーメンを食べ始めた。
「と言うか、今日のライブさ」
食べながら師青玄が口を開く。
話題は自然と今日やったばかりのライブの話になった。
明儀と慕情は黙々と食べながら、時折相槌を打つ。
「で、すごく気合いの入った団扇があってさ」
「だからお前、歌い出し一瞬遅れたのか」
明儀が平坦に言うと、師青玄はうぐっと声を詰まらせた。
「気付いてたの?」
「当たり前だ」
明儀が脂でてかった唇を舐めながら言う。炒飯を頬張っているだけなのに横顔がイケメンなんだから、と師青玄が唸ったが、明儀は話題を逸らさせてはくれない。
「それに、ファンサに夢中になり過ぎて肝心のフリを遅らせるな」
「前の会場ではあれでバッチリだったし」
師青玄はバツが悪くなり、むぅと唇を尖らせながら餃子を口に放る。
それまで傍観していた慕情がハッと笑った。
「ステージの広さの違いを考えるんだな」
「慕情まで!ま、まぁ、明兄がフォローしてくれたから結果オーライ
……
」
「次からはフォローしないからな」
「
……………
気をつけるってば」
師青玄が唸り、ラーメンを啜る。
慕情も追求せずに食事を続けた。
チャーシューは分厚く、ほろりと崩れた。
………
どこぞの俳優の顔が一瞬浮かんだ。アイツもこう言う肉は好きそうだ。チャーシューは作ろうと思えば作れそうだな、なんて考えていたら、ケロッとした顔で師青玄が口を開いた。
「そーいえば、明日のライブだけどさ」
明儀と慕情がそれぞれ目を師青玄に向ける。
三人でこうして食べに来たのは、どうしようも無く空腹だったからだけでは無い。
ライブは生物のようなもので、会場が変われば見せ方も変わる。
歌い出し方や動線、機材や着替えについて、改善出来る場所を見つけたら変えていかなければならない。
その話し合いは大事なのだ。
師青玄は如何にも意味ありげな笑みを浮かべ、慕情を見た。
「慕情メインで抜いてもらうから、しっかりファンサしなよ?」
リアルタイムでモニターにライブ風景を映すカメラの他に、明日はBlu-rayに収録する為のカメラも入る予定だった。慕情は嘆息する。
「
…………………
分かってる」
明日は、ライブの中でも特殊なイベントを挟むのだ。
慕情の誕生日である。
誕生日当日に過酷なライブをぶつけてくるあたり、アイドルの誕生日は商売道具の一つなのだと痛感する。
ライブ内で祝われる分、慕情も多くを返さなければならない。
嬉しく無い訳では無いのだが、気が重いのも確かだった。
笑顔で「ありがとうー!皆大好き」なんて叫べるキャラでは無いのだ。
そんな事は分かりきっている筈の師青玄だが、何故か慕情に向けてにこにこと念を押した。
「悩殺するつもりでね!」
「
……………………
」
慕情はチラッと明儀を見やる。明儀は目線だけで“知らない”と返してきた。
師青玄が何やら企んでいる気はするが、師青玄もライブを台無しにするような事は絶対にしないだろう。
多少のアドリブはそつなく返せる自信はあるし、気にする程の事ではないだろう。
慕情はただ「考えとく」とだけ言った。
ステージから見た景色、慕情の立ち位置から一番見通しやすい後方席に。
なにやらやたらと目立つ姿を見つけ、その意味を知るのはもう少し後の話だ。
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