乙麻呂
2024-09-15 18:27:38
37637文字
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かいこさんの現代AUネタまとめ

かいこさんの現代AU風情の芸能ネタに夢を見過ぎで、色々と書き散らかしてしまった物をまとめました。《三次創作》です。
仙京坂35の活動やその他色んな部分は捏造と妄想です。



《風信とウィンク》


「へえ、上手いものだな」
風信が素直に感嘆すれば、師青玄はまた器用に片目を瞑ってみせた。
「ふふ、私達はアイドルだからね!」これみよがしなアイドルスマイルに、悪戯じみた笑いを混ぜて大仰な仕草で指を指す。
正面に座る謝憐が「流石だ。実に画になる」と頷き、その隣で花城が慕情など一瞥もしないまま「俺も撮って欲しいな」と笑う。
内輪での完全にプライベートな飲みの席なので、気やすい空気が満ちていた。

ただし、師青玄の隣に座る奴以外は。

幕情は何故か渋い顔をして目を逸らした。
しかし、伊達にコイツとアイドルユニットを組んでいない。師青玄は全身で会話を拒絶しようとしていた幕情の肩を抱き、頬を寄せた。
「私達、仙京坂35だもんね」
「今はしない」
ちなみに二人とも、今は私服だ。
師青玄の私服がユニセックスで素で女に見えなく無いのは別にしても、風信の目には二人とも男に見える。
それでも、この二人の場合、男二人が顔を寄せていても特に何とも思わない。
クソ、美人だなと何度も噛み締めた事実を再確認するのみだ。
師青玄を遠ざけようとする慕情に、師青玄は頬を膨らませた。
「もう、そう言って、仕事の時だってウィンクなんかしないじゃん」
「そう言うのは、お前の役目だろう」「慕情だって上手いんだから!勿体無い!」
「"出来る"のと"需要"は違う」
「はぁ?需要ありまくりだけど??」
酒が入ったのも手伝ってか、やたらと慕情に向かって熱弁する師青玄とそれを嫌そうにあしらう慕情を見つめ、
風言は呟いた。
「まぁ、確かにお前はそう言う事はしないよな。アイドルなのに」
何気ない言葉だったが、慕情の表情に嘲りが浮かんだ。
「お前の頭の中の『アイドル』って言うのは、安い笑顔を浮かべて手を振って投げキスしてウィンクして媚びを売るような奴なのか?」
何故いきなり自虐的とも言える事を言い出したのか分からず、風信は眉を寄せた。
「とりあえず、お前たちの事は普通に凄いと思ってるが」
女装アイドルなど、自分には到底戦えないステージで、未知の世界だ。
仕事に真面目に取り組んでいるのは知っているし、その実力は二人の人気と仕事の多さが裏付けている。
芸能界が、ただ媚びるだけで生き残れる甘い世界ではない事など、風信自身が身に染みている。
率直に言うと、慕情は鼻白んだ。
フン、片目を瞑るくらい、誰だって出来るだろう。俺だってやろうと思えば出来る」
「じゃあ見せてくれ」
…………………
慕情は黙り込んだ。隣で師青玄がぷっと吹き出す。
慕情は、勿論ウィンクなどするつもりは無かった。
しかし、風信が期待しつつも「やっぱりしないんだろうな」と言いたげな顔をするのを見ると、やけにムカッとした。
………………一瞬だけだぞ」
呟き、慕情はスゥと息を吸うと、仕事でも使わないようなアイドルスマイルを浮かべて片目を瞑った。
「ほら見ろ、お前には出来ないだろう

カシャ

………が」
嫌な聞こえ、そのまま硬直する。
「ほぉ」と素直に感嘆する風信の傍らで、花城と飲んでいた筈の謝憐がスマホを構えていた。
「謝憐?まさか撮って……………
怖々と問いかけると、カメラマンである謝隣はハッと我に返った。
「あ、すまない。思わず反射的に!」「そう言うのは仕事の時だけにして下さい!!早く消して…………
しかし、横から謝隣のスマホを覗き込んだ花域がスッと謝隣の手からスマホを取った。
「へぇ、これはよく撮れている。流石は兄さんだ」
微笑み、一瞬慕情にせせら笑うような目を向けて、花城は慣れた指さばきでスマホをタップした。
何故か物凄く嫌な予感がした。
「おい、お前は何をして……………
慕情が唸るが、花城は完全に無視して謝隣にスマホを見せた。
謝憐も慕情には反応せず、スマホを見て目を輝かせる。
「ほら、こんなのどう?」
「成る程、これは……………でも、良いのか?」
「わぁ、いいんじゃない?同じユニットの私が許す」
師青玄がスマホを覗き込み、笑みを浮かべた。
同時に、指を伸ばして謝隣のスマホをタップする。
そして、師青玄も自身のスマホを取り出すと何かを操作し、画面を慕情に見せ付けてくる。
「ほら、需要あるじゃん!」
スマホには、SNSの画面が表示されていた。
【風師@仙京坂35】のアカウントだ。

《慕情の激レアショット!!流石はプロカメラマン。最高でしょ?》

そんな風師のコメントの下には、謝憐の仕事用アカウントが引用されていた。

《とても良い物が撮れたので、お裾分けです》

そんな謝憐”らしい”言葉と共に添付された写真では、幕情が不敵な笑みで片目を瞑っていた。
ライブのブロマイドでも出した事が無いような、我ながら見事なウィンクの写真だ。慕情は戦慄いた。
「け……………消せ!今すぐ消せ!!!」
「いやぁ、もう無駄かなぁ」
謝憐ではなく、師青玄があははと笑う。
仙京坂35の公式アカウントである師青玄が反応した事で、仙京坂35のファンの間に一瞬で広まってしまった。
いいねも拡散もとんでもない速さで数字が跳ね上がっていく。
慕情が青くなる中、怒涛の反応がタイムラインに溢れ返った。
ふと、無数の反応の中に、見知ったアイコンが紛れたのが見えてしまった。

【風信@火11『〇〇』がいいねしました】
…………………………
無言で睨むと、風信は自分のスマホを掴んだまま目を上げた。
「悪かった。お前も結構上手いし、十分似合ってる」
真面目くさった顔で褒められ、慕情の顔がみるみる紅潮していく。
師青玄がそっと慕情から距離を取った。

数秒後、居酒屋の個室に慕情の怒声が響いた。