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2024-07-20 22:07:06
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性癖パネルトラップまとめ

性癖パネルトラップのまとめになります。
四番だけR18なので気を付けて下さい。




4 R18・イヌ武・宙づりフック・ミシンさん


 乾青宗が真摯に頼み込む姿に弱かった。だが時と場合と内容によると言う事を、武道はいつだって理解しないのだ。学習しないとも言う。別段悪い事などしていないのに、勝手に罪悪感が擽られるのだ。そうして最終的に頷いて、後悔するのである。
 因みに、現在進行形だ。
 今武道は、特殊なホテルにいた。年齢制限があるタイプの宿泊施設である。幼い頃旅行先で、親にあの派手な建物は何かとうっかり尋ねて気まずい空気を作り出すタイプの建物だ。高速道路の出入り口付近に多い。その利用者が限られるホテルの中でも、更にニッチな部屋にいた。
 所謂、特殊なプレイが出来る部屋である。
 画面を通しては見た事が有れども、実際に目にするのは初めてだと言う器具がそこかしこにあった。共通しているのは、全部性的な営みに使用するのだと言う事である。武道は思った。何も興奮しない。いや、しようがない。何故なら、される側だからである。そう言う性癖はなかった。するならば、普通のセックスで良いのである。それにしたところで、挿入される側ではあるが、無機質な何かを挿れられるくらいなら、人の方がマシである。
「で、何がしたいんですって」
 何処か投げやりに尋ねた。もう聞くしかなかった。何故なら、来てしまっているのだ。逃げ場はないも同然である。だが、未だ逃げようと思えば、可能でもあった。武道の四肢は自由なのだ。
 真っ直ぐに問われ、乾もまた真っ直ぐに見返したのだった。
「宙吊り」
「なんて?」
 咄嗟に聞き返した。本当に意味が分からなかったので。宙吊り。完全に人がぶらんと、ぶら下がっているイメージである。あれを、やりたい? 武道は天井にぶら下げられる自分を想像した。よく分からない。救助を待つ人の体勢しか浮かばなかったのだ。
「まあ、いいですよ?」
 酷い部屋に連れ込まれたので、もっと大変な事を求められると思っていたのだ。だが、天井からぶら下げられるくらいなら、まあ、と、そんな風に思ってしまった。大間違いとも知らず。
「じゃあ、取り敢えず脱ぐか」
「えっ」
「脱ぐだろ?」
「全裸で、吊るされるんスか……
「脱いだ方が興奮するだろ」
「まあ?」
 首を傾げながら、取り敢えず言われた通り服に手をかけたのだった。興奮するだろうか、と、疑問に思いながら。はっきり言えば乾と性行為をするのは初めてではないのだ。それはそうである。初めての行為でこの部屋に連れ込まれたなら、同じ性癖でもない限り今後のお付き合いを熟考するだろう。そのような事を考えながら潔く脱ぎ、両手を上げた。謎の立ち姿に乾がきょとんと目を丸くした。
「何やってるんだ?」
「えっ、吊るすんでしょ?」
 天井には吊るす用のフックが付いている。人を吊るす用である。絶対に一般のご家庭ではお目にかかれない設備である。そして武道の言う吊るすは、体操の吊り輪の状態に似ていた。両手でぶら下がるアレである。
「いや、違うだろ」
「えっ」
「手は降ろして、後ろで組むんだよ」
「は?」
 武道はよく見ていなかった。天井のフックの数は二つどころではない。普通に考えて、手だけで吊り上げるのは単なる拷問である。下手したら脱臼する。だが武道の頭に乾の言う吊るす想像は今一つ及んでいないのだ。兎に角悩んでも答えは出ない。これで一応武道は乾の事を信用していた。だから言われるがまま、手を後ろに回したのだ。背中で手首を合わせる。その状態でいると、乾が後ろに回り、腕に触れたのが分かった。そうして直ぐに、腕を戻すことが出来なくなったのだ。手首に、ベルトが付けられたのである。それも、繋がっているタイプの。武道は乾を信じている。信じているが、早まった気はしていた。乾は相変わらず武道の背後にいる。その状態で、馴染のない物が肌に触れた。荒縄である。
「あの、大丈夫なんですか」
 途端に武道は心配になった。何せ縄である。何せ乾青宗である。結ぶことが出来るのかどうか、果たしてそこから心配になったのだ。
「多分」
「いや、そこは絶対って言って欲しいんですけど」
「絶対」
「言うだけじゃなくて、ちゃんとしてほし、ぐえっ」
 思わず、と、言った具合に声が漏れ、顎が上に向いた。乾が思い切り、締めたのだ。縄は武道の胴を回り、背に付いた腕に絡みついている。ぐるぐると、それでもハムでも縛るように縄を巻いて、締めた。
「あの、痛いんですけど」
 ごく普通の事を言った。素肌に荒縄、しかも、締め付けられているのだ。痛い。まだ何も始まっていないようなものではあるが、アピールしないともっと酷い事になるのは明らかだった。
「男は根性だろ」
「今根性論出すところじゃない絶対」
 花垣武道正論を言うの巻。但し全裸で荒縄に締め付けられていると言う、異常な状態で。兎に角乾は力が強かった。全く容赦なく締め付けてくるのだ。それは勿論、緩かった場合、吊って落ちたら大惨事間違いなしだからでもある。痛みに顔を顰める武道の背後で、乾がフックに縄を通した。そうして通した縄を、今度は、武道を縛った縄へと回し始めた。因みに手元には、手順を書いた紙がある。適当にやって出来る芸当ではなかったのだ。ただ武道からは何も見えていないので、恐怖でしかなかった。
「あっ、」
 武道が声を上げた。僅かに、体が上に引かれた事が分かったのだ。乾が後ろでフックに通した縄を引っ張ったのである。しかし、まだ浮いてはいない。武道の足は地についている。
「花垣、片足曲げろ」
「は?」
 全く意味が分からない。考えていると、待つ時間が無駄だと思ったのか、乾が背後から足に触れた。
「ちょちょちょ、」
 そのまま左足を取ると、曲げたのだ。有無を言わさない行動だった。バランスを崩し、武道の身体が傾く。足を曲げた状態で、今度は太腿にベルトを巻いた。足首と一緒に。今度は足を伸ばすことが出来なくなったのだ。更に縄を巻いて固定した。ここまでされたら嫌でも分かる。乾が天井のフックに縄を通す。その縄を、今度は足へと伸ばした。
「い、いたたたたた!」
 武道が痛みに呻き、思わずと言った具合に声を上げた。だらり、と、萎えきった陰茎が下に垂れた。つまり、体が浮いた事を示している。上半身と左足に通した縄を思い切り引っ張り引けば、体が宙に浮いたのだ。海老反りに近い形で。陰茎と共に、右足だけが垂れ下がっている。すると乾は意外な程手際よく、身動きが取れない事を良い事に、右足首にもベルトを巻くと、歪な体勢ながらも天井のフックに吊るす事をやってのけたのだ。
 顔を引き攣らせながら痛みに耐える武道を見て、乾は腕を組んで眺めた。意外と上手く出来たな、と、言わんばかりに。
「マッジで痛いんで、とっとと下ろして欲しいんですけど!」
「支えが足りねえのか?」
「人間て、吊るす用に出来てないんですよ!」
「フック未だ余ってんな」
「お願い人の話聞いて!!」
 残念ながら人の話を聞かない男である。この場に九井一がいたなら、花垣武道に同情して祝杯あげるレベルだった。全然同情してない件。喚く武道の視界から、また乾は消えた。痛みと恐怖で、目で追う余裕もない。大した高さではないが、怖いものは怖いのだ。
「ひっ」
 自然と悲鳴に近い声が漏れた。急に、肌に触れられたからである。しかも手足ではなかった。胴でもない。他人が触れないような所であり、普通ならばそう易々と触れられない筈だった。それがこの時に限って言えば、無防備にも全開なのである。尻穴だった。
「えっ、ちょっ、」
 武道は慌てた。やる事やると、分かっていた。分かっていて脱いだ。だが、この体勢ではないと思っていたのだ。余りにも不安定過ぎる。痛みと恐怖でそれどころではない。なのに知った事ではないと、乾は触れてくるのだ。
「あっ、や」
 指が、入って来た。勿論、乾いた状態ではない。滑り気がある。ローションでも付けたのだろう。勝手に湿る器官ではないから当然である。大体そうであったとしても、気を回す余裕などなかった。現に武道の性器は萎えきっているのだ。
「い、いぬぴーくん!」
「なんだ?」
「なに、やってんスか!」
「支えは多い方が安定するだろ?」
「は?」
 今までの人生で一番かと思われる程渾身の、は? が、出た瞬間だった。全く意味が分からない。支え? 支えって何? 心の支え? 今正に失ったところである。これでも乾青宗を信用していたのだ。その結果がこれである。心の支えを失い、何も理解出来ずにいた。しかし、直ぐに乾の言う支えの意味を身をもって知る羽目になったのである。
「いっ、」
 尻穴に、何かが押し付けられている。分かる。しかも、冷たい。だが、それが何かは分からない。乾が無情にも押し付けてくる。だが、乾の性器ではない。ペニスの先端のような尖りがないのだ。丸い。押し付けて、抉じ開けてくる。無理だって。武道は声を発しようとして、だが、息しか出なかった。縄が軋む。乾が押し込もうとすると、体が前へ出る。しかし、其処には何もないのだ。体は空にある。武道を前から支えるものは無いのだ。
「は、あ、いた、い」
 辛さを訴えたその時、力が抜けたのか、ぬるり、と、入り込んだ。武道にはそれが何か分からない。でも、入り切ったのは分かったのだ。それ以上、動きが無かったからである。僅かに息を吐き出して、安堵したところでまた痛みが体を襲った。元々エビ反りだった体が、余計に軋む。尻が、持ち上がったのだ。武道からは何も見えない。だから、恐怖しかない。乾は、眉根を寄せて眺めている。
「勃たねえな」
 冷静に感想など言いながら。
「痛くてそれどころじゃねえんだよ!」
 とうとう武道の口から余裕が消えた。本当に痛いのだ。もう何が痛いのか分からないくらいには。
「なに、いれた」
 本当は聞かない方がいいのかもしれない。だが、思わず聞いてしまった。初めての感覚だった。男の陰茎を受け入れた事はあれども、こんなに冷たくて手前の方で止まっている物の想像が出来なかった。やっと乾が武道の視界に入った。だが、武道の視線を奪ったのは乾ではなく、乾が見せたものだったのだ。銀色の、金属でできた謎の物体。Jの形の短い方の先端に丸い膨らみがある。アナルフックだった。武道は全てを悟った。これが、今、自分の尻の中にあり、長い方の先にある輪っかには縄が通っていて、天井のフックで吊り上げたのだろうと。
 泣いていいかな。
 寧ろ今泣かなかったらいつ泣くのかという話で、取り敢えず乾青宗をぶん殴ってもいいなと、一人納得した矢先、
「あんまり興奮しねえな」
 等と、乾が言ったので、別れの二文字が脳裏をよぎったのだった。信用の二文字は知らない間に蒸発していた。
「だったら、おろせ、よ!」
 至極当然の要求を聞いて、素直に乾は首を縦に振り、武道の背後に回った。乾は何を考えているのかよく分からないし、でも、本当に武道が嫌がることはしないのだ。だから武道だって乾を信用しているわけで、また信用の二文字は帰って来た模様である、兎に角武道は安堵したのだ。
「や、あ!」
 間違いだった。乾青宗、武道の情緒を滅茶苦茶にして、直ぐ裏切って来る。
「流石に悪ぃから、一回イかせてやるよ」
 しかも本人的に、善意の行動なのだ。力なく存在を主張する武道の陰茎を背後から握ると、扱き出したのである。この、勃つものも勃たない状況で。射精する以前の問題である。
「そう言うの後でいいから!!」
 武道は叫んだ。力の限り叫んだ。叫んだ瞬間尻に力が入り、嫌でも球を締め付けて、勝手に存在を感じて泣きそうになって、でも陰茎が反応する気配はなく、いっそ気絶しねえかな、と、願ったのだった。