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鹿
2023-12-31 16:22:03
13248文字
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CPシチュスロットまとめ
スロットメーカーさんの #CPシチュエーションスロット で出てきたシチュのSSをその日のうちに書いてみるチャレンジのまとめ。全部土斎。現パロだったり謎時空のパロだったりデア軸だったり。
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マンションのエントランスで/じっと見つめて/ひっぱたく
いつ来てもピカピカに磨かれた大理石のエントランスは、ごくごく普通の公立高校の制服で入っていくのはなんとも居心地が悪い空間だった。
「斎藤、どうした」
「
……
いえ、なんでも」
そこに立っているのが腹が立つくらい様になっている人、土方さんは、このマンションの最上階に住んでいる。この人だって高校生だった時があるはずなのに、まるで一〇〇年前からここに住んでいたみたいな佇まいだ。シンプルなノーネクタイのスーツが元々のスタイルの良さと顔の良さを引き立たせていて、自分とは文字通り住む場所が違うのだと思わせられそうになる。
「お前、急に来るって言い出したからな。親父さんたちへの手土産がないんだが
……
」
だが臆するわけにはいかない。今日の僕は、もう帰りに車で送る時のことを考えているこの人に、一泡吹かせてやるためにここに来ているのだ。
「いえ、気にしなくて良いです」
「そういうわけにはいかねえだろ」
「僕、今日は土方さんちに泊まるって言ってあります」
びしり、と土方さんの身体が固まった。誰もいないエントランスに沈黙が流れ、ゆっくり土方さんは僕の方に向き直る。その動きが、なんだかロボットみたいにぎこちなくておかしかった。
土方さんの黒曜の瞳は、真っ直ぐに射抜くような鋭さがあって、向き合う時はいつだって少しだけ怖い。けど今の僕はひどく落ち着いていた。
「
……
ダメだ」
今、緊張しているのは土方さんの方だろうから。
「なんでダメなんですか? 僕があんたの家に泊まるの、別に初めてのことじゃないでしょう? うちの親だって特に不思議に思ってませんよ」
「昔と今とじゃ、違うだろう」
「何が違うってんですか」
「
……
お前、この間俺に何言ったか忘れてねえよな?」
「もちろん忘れてませんよ、あんたがどう答えたかも」
土方さんの目は、だったらどうして、とでも言いたげで不愉快だった。どうしてじゃないだろうに。
「まだ高校生のガキなんて恋愛対象じゃないんでしょ? だったら家に泊めたところで何が問題なんですか?」
「
…………
」
ほら見ろ、答えられないんじゃないか。いつだって背筋を伸ばして自信たっぷりな顔して生きているあんたが、そんなふうになる理由なんてガキでもわかる。
「あんたが本気で言ってたら僕だって諦めがつくんですよ。なのに家まで踏み込ませるし、きっぱり関係を断とうともしないし」
「
……
お前を嫌ってるわけじゃないのに、そんなことするかよ」
「嫌ってないとかごまかした言い方しないでくださいよ、土方さんだって、僕のこと好きでしょう?」
べち、という腑抜けた音と共に、視界が暗くなる。土方さんが僕の顔をひっぱたいた、というより、手で顔を覆うように塞いでいるのだ。
「図星だからってなんですかその態度、それのどこが大人なんですか」
「わかってんならこんな男やめとけ。九つ下の高校生に本気になるなんてろくなもんじゃねえぞ」
見えないが、土方さんがどれだけ苦虫を噛み潰したような顔をしているかは声から伝わってくる。
ああ馬鹿馬鹿しい。それができないからこんなに苦しいんじゃないか、俺も、あんたも!
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