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鹿
2023-12-31 16:22:03
13248文字
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CPシチュスロットまとめ
スロットメーカーさんの #CPシチュエーションスロット で出てきたシチュのSSをその日のうちに書いてみるチャレンジのまとめ。全部土斎。現パロだったり謎時空のパロだったりデア軸だったり。
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舞台裏で/仰々しく/手当てする
「ああ本当嫌になる。自分の身体いじめるのはそんなに面白いですか」
不必要に声を張りあげ土方を罵る男を、取り立てて咎めようとはしなかった。なぜなら今土方は声を出せる状態にない。エネミーからの攻撃を受け、喉元に大穴が空いて倒れているからだ。まともな人間であれば即死であろうが、土方がサーヴァントになってから得たスキルで、ギリギリ現界を保っている状態である。
「あんたの優秀なおつむはこれが一番効率が良い方法だと思ってらっしゃるんでしょうがね、世話かけられる方の身にもなってくださいよ」
言いながら斎藤は包帯を取り出す。医療班から支給されたもので、簡易的な回復礼装として使用できるが、魔術の素養などまるで無い斎藤でも使えるものであるから、効力はお察しだ。魔力の漏出を抑えてパスの繋がっているマスターへの負担を軽減する効果はあるだろうが、土方の苦痛を和らげるほどの力はない。
「こんな包帯まで作ってもらっちゃって、お医者さんがたには頭が上がりませんや。うちのバーサーカーくらいですからね。わざわざ深手を負うような戦い方するのは」
カルデアには古今東西の英雄が集っているが、傷を負うほどに力を増すスキルや宝具を持つ者は少ないし、まして積極的にその特性を利用しようとする者は、土方以外皆無と言って良かった。土方はその理由を、自分ほどに火力的メリットが得られるクラスの者がいないからと考えていたが、斎藤は土方の気質の問題ととらえているらしい。こうして嫌味を言われたのは一度や二度ではなかった。
「第一ね、こんなしみったれた場面で負うべき傷ですか? マスターちゃんと合流して、黒幕相手に大立ち回りしてってんなら格好もつきますがね」
確かに地味な戦場ではある。何せこの特異点、見渡す限りの荒野である。そしてそのど真ん中に、おそらく聖杯を持った黒幕が作ったのだろう、結界があるばかりだ。
近代の人斬りでしかない土方も斎藤も、魔術的な考察はまるでできない。だがマスターとの通信が途絶していることから、結界内部にいるのだろうことは予想できた。
『
……
オォォ
…………
』
そして、結界周囲から湧き出す影は、結界内の黒幕の支援に行くのであろうこと、野放しにすればマスターに危害が及ぶのだろうことも。
巻かれた包帯でかろうじて首が繋がっているような状態でも、動こうと思えば動けるのがサーヴァントの身体で、土方歳三の精神だ。なんとか全身に力を入れて、立ちあがろうとする。
「
……
死にかけは寝ててください、突かれただけで死にそうな人、庇いながら戦えってんですか?」
斎藤は、土方の喉元に刀を突きつけながらそう言った。
「役立たずはおねんねしててください」
土方が力を抜いたことを確認してから、コートの裾を翻して斎藤は影の殲滅に向かう。目は怒りに満ちていた。土方に対してか、敵に対してか、この状況に対してかはわからない。
実のところ、土方は本当に斬られるとはまるで思っていない。斎藤は新選組を裏切らないし、マスターの現状もわからない状態で、かろうじて残った味方の数を減らす愚行なぞ犯すわけもない。
「そんな怪我するような聞かん坊のお世話して、もう半月ですよ⁉︎本当、嫌になる!」
斎藤は不満を叫びながら巨人の形をした影の踵を削り、バランスを崩したところでその巨体を一気に駆け上る。巨人の腕が身体についたハエでも叩くように片手で潰そうとするが、独特の歩様でそれをすり抜け、返す刀で頸を斬る。巨人はそのまま倒れ込んだ。
「いつ合流できるかもわかんねえってのに
……
」
崩れて黒い粒子になっていく巨人を見ながら、斎藤は吐き捨てる。斎藤が言ったように、この特異点にレイシフトして既に二週間が経過していた。マスターとの通信が途絶えているだけならまだしも、結界の内と外で時間経過に差があることもままある。悪い時は、半年待ったケースだって存在する。
「こんな何にもわからない状態で、がむしゃらに戦ったってしょうがな
…………
っクソ!」
そう言った矢先に、新たな影が湧き出す。斎藤はもう駆け出していた。
どれだけ文句を言っても、土方も斎藤もカルデアのサーヴァントだ。マスターの障害になると思われる存在を、野放しにすることはできない。
「とんだ貧乏くじだよ、クソッタレ!」
斎藤もわかっているのだ。先が見えずとも、目の前の敵を屠り続ける以外、自分たちにできることはない。
『ォオ
…………
オォォ
……
』
そして、どれだけ言ったところで、どうしても出なければならないと思ったら土方は止まる人間ではないということも。
湧いた影は二体。二手に分かれて結界に向かおうとしている。
土方は、満身創痍の身体を無理矢理に叩き起こして走り出す。怒りか悲しみかもわからない顔をした頼れる部下に、せめていつものように世話をかけると声をかけてやりたかったが、喉からは空気が抜ける奇妙な音がするばかりだった。
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