Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
鹿
2023-12-31 16:22:03
13248文字
Public
Clear cache
CPシチュスロットまとめ
スロットメーカーさんの #CPシチュエーションスロット で出てきたシチュのSSをその日のうちに書いてみるチャレンジのまとめ。全部土斎。現パロだったり謎時空のパロだったりデア軸だったり。
1
2
3
4
5
6
7
8
ソファの上で/考えが読めない表情で/髪を撫でる
土方は、柄にもなく緊張していた。
「
…………
」
ソファで土方の隣に座る斎藤は、先ほどから無言である。
「なあ、何かあんのか」
「
……
いえ、何も」
何もないのなら、なぜずっとそうしているのか。斎藤は、土方の髪を撫で続けている。
「
……
白髪でも見つけたか?」
「いいえ、枝毛一本さえ見当たらない。綺麗なもんです」
髪を撫でるだけなら別に構わない。かわいい部下兼恋人との触れ合いなのだから、好きにさせてやるし、土方の方からも撫で返してやるだろう。
しかし斎藤の表情は何とも言い難いものだった。楽しさや喜びでないことは確かだが、悲しんでいるとも怒っているともつかない。ひどく切実で、こんななんでもない日に見るべき顔ではない気がした。
「そういえば最近シャンプー変えたんだったな、姉ちゃんが勧めてくれたやつ」
言ってから土方は、なんとも自分らしくない発言だと妙に恥ずかしくなった。こういう世間話で気を逸らそうとするのはむしろ、この髪を撫で続けている男がよくやることだ。
「ああ、なるほど。香りもいいですね」
「お前も使ってみるか?」
「やめときます、僕じゃ髪質も合わないだろうし」
そう言ってまた無言で髪を触る。今度は自分の髪と見比べるようにしていた。
「なあ、本当にどうした」
「僕は、枝毛あるんですよ。こないだ白髪も一本見つけました。あんたより年下なのに」
「
……
シャンプー、選んでやろうか?」
「そうじゃないんです。あんたは老けないのかなって」
もっと悔しそうだったり、羨ましそうであれば理解できない話でもなかった。しかし斎藤は今ひとつ焦点が合わない表情をしている。
「あんたが、しわしわの爺さんになったところが想像できない」
目の前の土方に顔を向けているのに、どこか遠くを見ているような。
「別に、想像されたくねえよ。そんなヨボヨボのジジイになった姿」
「なんでですか、俺は見たいです。あんたが顔じゅうシワだらけで髪も真っ白で、腰が曲がるまで、生きて、それで昔は誰もが振り返る色男だったんだなんて言ったら、若いやつに嘘だあって言われて
……
でも、そんなことあり得ないって思っちまって」
もっと愉快そうに言ってくれれば、失礼な冗談を言うやつだと言って終わりにできた。しかし真剣に答えようにも、何をそんなに追い詰められたようにしているのか、土方にはまるでわからない。
結果、上手くもない冗談を言う羽目になった。
「
……
なんだよお前、老け専だったか?」
しかし、あまりに下手くそな冗談には、笑いどころか白けも起こらないらしい。
言われた斎藤の顔は、泣きそうにも、待ち焦がれた救いを見つけたようにも見えた。
「大好きです。あんたが俺にちゃんと爺さんになったところ見せてくれたら、きっと一生好きになります」
つまらない冗談に対する返しとしては、あまりに痛切な声だった。
この男は自分が老けた姿を想像できないと言う。しかし土方の方は、見たことがないはずのその姿を、ありありと思い浮かべられるような気がしている。どうしてか、初めて出会った時から、どこか老人のような顔をする男だと思っていたからだ。
1
2
3
4
5
6
7
8
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color