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いまち
2022-01-23 02:10:36
28972文字
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ティナの借金返済記(とちゅーかも
いただきネタその3。続きは書けたら書く(゜ω゜
8/28 6P~増えた。ついでに借金も増えた。
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今日からは接客のお仕事も始まる。エプロンを着けて、習った通りに開店準備をしていた。
まだ開店前だから、ここにいるのはここで働いている人たちだけ。それでも、開くのを待っているお客さんの姿をちらほら見かけて、ちょっと緊張する。
「メダカちゃんカチカチじゃん、ウケんだけどー」
間違いないように何度もメモを確認している私にフロイドさんはゲラゲラ笑った。
「しょうがないじゃないですか、ここでのお仕事は初めてだから緊張してるんです」
「えー? メダカちゃんって経験者じゃねーの?」
「おじいちゃんのお店はこんなにオシャレじゃないですよ。それに、お客さんだって近所の人ばかりでしたし
……
」
「ふーん。ま、メンドーだけは起こすんじゃねーよ。メンドクセーから」
さっきまで笑っていたかと思えば、急につまらなさそうに唇を尖らせた。そして、そのままふらっとどこかへ行ってしまった。ほんと、なんなんだろう、あの人。
わけがわからない。けど、フロイドさんとちょっとお話して、なんとなく緊張が解けた気がする。もしかして、気遣ってくれたのかな?
……
って、一瞬思ったけど、気のせいだよね、たぶん。
お店の支度が整って、呪文のようなメニューの名前を頭に叩き込んでいると開店時間になった。
「いらっしゃいませぇ」
開店と同時に席がいっぱいになってしまった。こうなるといよいよ緊張しちゃう。
今日は初日ということで、慣れるまではオクタヴィネルの人についてもらうことになっている。お冷とおしぼりを出して、注文を聞いて、キッチンに伝えて、すぐに出す飲み物は自分で用意して、配膳して、専用の機械でお会計して、ポイントカードがあればスタンプを押して
……
。
やってることはおじいちゃんのお店とあまり変わらないのに、いかんせん、馴染みのないやたら長いメニュー名や、お客さんの数、そして何より一回当たりの注文量が全然違う。若い男の子っていっぱい食べるもんね、だからかなんだろうな。
一緒にいるオクタヴィネルの人にサポートしてもらって、どうにか保っている感じ。これ、本当に一人でできるようになるかな? ちょっと不安になってくる。
忙しいし、難しいことばかりだけど、お客さんが楽しそうに過ごしているのを見ていると、私もなんだか嬉しくなってくる。この感覚はおじいちゃんのお店でお仕事した時にも覚えがある。
入れ替わり、立ち替わりやってくるお客さんを相手にお仕事しているとユウくんたちがやってきた。
「いらっしゃいませぇ」
「うっわ、まじ働いてた」
「ウワサは本当だったんだな
……
」
「ウワサ?」
「オマエが借金のカタに働かされてるって、あちこちでウワサになってたんだゾ」
「グリム!」
ユウくんが慌ててグリムくんの口を塞いだけど、全部聞こえたんだよねぇ
……
それにしても、そんなウワサになってたのか。ずいぶん語弊がある気がする。ちょっとした事故で割れたお皿の弁償ってだけなのに。
「借金なんてしてないよ。それより、注文は決まってるかなぁ?」
「オレは決まってるけど、お前らは?」
エースくんが聞くとデュースくんとユウくんはかぶりを振った。
「じゃあ、先に飲み物だけ聞くね。後は決まったら呼んで」
「えー? 決まるまでいてくんねーの?」
「だーめ。他にもお客さんはいるんだもん、サボりみたいなことはできないよ」
「へーへー。真面目だねぇ」
「エースくんが不真面目なだけだよ。それで、何を飲むのかなぁ?」
四人から飲み物の注文をとって、早速運んだ。コーラと、ミルクセーキと、ストレートのアイスティーと、オレンジジュース。
……
グリムくんにオレンジジュースって飲ませていいのかな? 念のためユウくんに聞いてみると「前も飲んでたし大丈夫じゃない?」だ、そうだ。ならいいのかな。
「キースリンクさん、これからちょっと忙しくなるからキッチンに回ってくれるかな?」
「わかりました」
時計を見ると、そろそろお夕飯時だ。食事時となると、今までよりもずっと注文量が増えるから、慣れている人たちで回すのだそう。私がキッチンに行くと、入れ替わるようにジェイドさんとフロイドさんがホールに出て行った。
……
フロイドさん、ちゃんとお仕事してたんだ。
それからは昨日と同じお皿洗いやお料理のお手伝いをした。お皿を割るかもな心配はあるけど、メニューの効き間違いにビクビクしなくていい分、こっちの方が気楽かも。接客のお仕事も楽しいんだけど、まだちょっと慣れないもんなぁ。
そんなこんなでお仕事していると、急にホールの方がざわざわして、途端に静かになった。なんだろ?
異様な静けさにキッチンのみんなも少しばかり不思議そうな顔をする。あぁ、やっぱり妙なことなんだ。
もめ事とかじゃないといいなぁ。と思いながら、洗ったお皿を拭いていると、いやに顔の悪いオクタヴィネルの子が勢いよく入ってきて、きょろきょろキッチン内を見回した。
「支配人は!?」
「VIPルーム。相談者が来てるんだ」
「ジェイドさんは!?」
「支配人とVIPルーム」
「
……
フロイドさんは?」
「4分前にどっか行った」
「そんな
……
」
「どうしたんだよ、もめ事でもあったのか?」
いよいよ顔が青くなったオクタヴィネルの子に、調理担当の子が聞くも、オクタヴィネルの子は青い顔のまま震えるだけで何も言わない。どうしたんだろ? 不安になりながらそんな様子を見ていると、ふいにその子と目が合った。
「
……
キースリンクさん、たしかディアソムニアだよね」
「え? はい、そうですけど」
答えるとその子の顔がぱあっと明るくなった。どうしよう、すごくイヤな予感がする。
「あぁ! それじゃあ7番テーブルについてくれないかな?」
「え? え? どういうことですか?」
「そのままだよ、7番テーブルのオーダーを取って、サーブして、会計までを全部やってほしいんだ」
「え、でも私もお仕事が
……
」
「いいよ、そんなの俺たちでやるから!」
「じゃ、任せた!!」とその子は無理やり私の背中を押して、キッチンから追い出した。何があったか分からないけど、面倒ごとを押し付けられたのはイヤでも分かった。
何も聞かされてないのにこれだから、文句の一つでもつけたくなるけど、お仕事を与えられてしまえばやるしかない。怖い目に遭わないといいなぁ、と内心ビクビクしながらホールに出た。
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