トリミング その他いろいろ編7

twitterにアップしていた極短編まとめです。乙普、楊普、玉普、望乙、玉雲、紫陽洞、楊戩と太公望ほか。お題をいただいたものやワンドロに参加したものなど。腐向けもあります。

「今回が最後だって言ったよね」


【望乙】邂逅
記憶と寸分たがわぬ姿で、彼は目の前にあらわれた。いくら時代が変わったとはいえ、さすがに目立つんじゃないかと思ったけれど、どうやらうまく溶け込んでいるようだった。
「久しぶりー。三百年ぶりかい?」
「もっと経っとるわ、ダアホ」
人通りの多い人気のカフェのテラス席に、まるで待ち合わせた友人同士みたいに向かい合って座りながら大仰に肩をすくめてみせる。
そうだったか。まあそういうのは決まり文句というやつで特に深い意味はないし、そもそも数えているわけではないのだが
「千二百五十年ぶりだ」
そう言ったものだから、あらためてその顔を見つめた。好奇心旺盛な少年の風貌のまま、その目の奥に幾年月を超える淋しさを隠せずにいた。そうか、と太乙は思う。
この子は気の遠くなるような時間を、毎日ちゃんと指折り数えているのだ。
店員がオーダーを取りに来た。日替わりのタルトとおすすめの紅茶を二人分頼んでから、千二百五十年分のよもやま話をはじめた。