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ろく
2026-07-07 11:18:23
12604文字
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極光の流星
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序章 失われた流星へ
CCA後if。シャアは直前にアムロから離され生存。
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「アムロ、もうそこまでになさい。顔色が悪くてよ。」
「あとちょっとだけ
……
。」
「いけません。もう、あなた子供のころから変わってないんだから。」
セイラから借りたノートパソコンを打ち込んでいたアムロは、なかなかタッチをやめようとしない。そんなセイラとアムロの攻防を、カミーユは面白そうに眺めるのが日常になりつつある。もっとも止める役をカミーユが担うことも少なくないのであるが。
どうやら、アムロはあのアクシズショックで気になった事を論文として打ち込んでいるらしい。とはいえ、体調はあまりよくなく、短時間で集中している様子だ。下手すると気絶するように眠っている。
打ち込んでいる内容の方は教えてくれない。完成してから読ませてくれることになっている。
アムロとセイラのやり取りを見ていると、
(本当に姉弟みたいだ)
とカミーユは思ってしまう。かつてカラバで見たアムロとは全く違う表情だ。セイラに甘えているし、彼女もわざと甘やかしている節がある。
そんなアムロが着ているゆったりとして上品な部屋着は、セイラが選んだものだ。
あの日
アムロを保護したその日のうちに、セイラはカミーユが乗ってきたレンタカーを返却がてら、出かけていった。なかなかの長距離であったからどうするのかと思ったら、途中で知り合いに返却を頼み、代わりにピックアップトラックで帰宅してきた。アムロとカミーユが共用できる着替え多数、多量の食料品を積んで。
完全な籠城の構えだった。または、いつでも逃避できるような。
その頃だ、アムロがようやく意識を保てるようになったのも。
「セイラさん?
……
君、カミーユかい?」
ぼんやりとしながらもはっきりと言葉を交わせたときは、セイラもカミーユも喜んだが、アムロには現実が信じられないようで、しばらく目を白黒させていた。ガンダムが唐突に現れたことは伏せて、ここが地球でセイラの別荘だと説明し、ようよう頷いてくれた。
「カミーユは医師の道に進んだんだね。すごいなあ
……
あれから復帰するのすら大変だったろうに、頑張ったんだね、立派になった。」
我がことのように喜んでくれたアムロに、カミーユはくすぐったくも誇らしかった。
「アムロさんのことは俺が診ますから。安心して休んでください。」
「ありがとう。情けないけど、起き上がれやしない。」
目覚めた頃は起き上がることもできず、アムロは苦笑いをしていた。それほど衰弱がひどかった。
「カミーユ、アムロをお風呂へ、お願いいただけて?」
「セイラさん、もう一人で入れますって。」
「ドクターとして却下ですね。ひっくり返って頭でも打ったらコトですんで。さ、背中洗いますから。」
いまだ貧血もありフラフラしているアムロの肩を抱き、カミーユは浴室に向かう。今ではすっかりカミーユの方が華奢なアムロより体躯が大きい。
やっと打撲の腫れもなくなったところだ。全身の診察もしているから裸の状態は知っている。
しかし、入浴して血行がよくなると、手術痕が浮き上がる。アムロの体には、その痕がいくつもあった。
初めて一緒に入浴したとき、背後から背中を洗おうとして、腰のあたりに目がいった。
「骨髄液、抜かれたんですね。」
思わず声が出た。医者になったから、手術痕や注射痕が目についてしまう。そしてその意味も。
「あぁ、すごく痛くて、泣き喚いたよ。」
あれは参ったね、と苦笑する背中にカミーユは唇をかみしめた。きっと、全身拘束されて、それ以上に切り刻まれたであろうことが、まざまざとわかってしまった。人体実験という名の虐待。どれだけ辛かったのだろう。人はなぜこんなにも残虐になれるのだろう。
手を止め、しゃくりあげたカミーユに、アムロは首だけで振り返った。
「ごめんな、見苦しいもの見せて。」
「いえ、いいえ、でも、こんなこと
…
あんまりだ
……
」
カミーユはアムロの華奢な背中に縋り付き、泣きじゃくった。アムロが受けた仕打ちの理不尽さへの憤りとやるせなさ。こんな仕打ちを受けてなお、地球を守り抜いた優しくて強い人。
「カミーユは優しいな。ありがとう。」
巻き付いたカミーユの腕を、アムロはやさしくぽんぽんと叩く。
接触したことで、アムロの優しさがカミーユにはよくわかる。そして、アムロへもカミーユの思いが届いていたのだろう。
しかし長湯になるとアムロが湯あたりするため、泣きながらアムロを手早く洗ってやってから、脱衣所を出たカミーユの目は充血していたろうが、それを見てもセイラは何も言わずに、「夕食にしましょう」と微笑んだ。
この日も入浴後に夕食だ。そもそも偏食で少食だというのは知っていたが、今のアムロは消化吸収がうまくできてないとカミーユは懸念している。だから貧血で栄養不足だ。セイラも苦心してメニューを考えているが、本人は「そんなに気にしないで。」と困ったように笑うのみだ。あまつさえ食べる前からカミーユの皿に自分の分を上乗せしてくる。
「だって、残すほうが勿体ないだろう?。」
とエコな理論をぶつけてくる。セイラと二人、悩まずにいられようかというものだ。
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