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とこり
2026-05-11 20:49:01
10853文字
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Wデートをした話
自分が描いた長編小説のみかづきさんとリアルの審神者さんと歌とこというカップルでダブルデートをした話。次元とか時間とか飛び越えてて、私の中でわけがわからないことになっていますが、楽しかったんです。
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怒られた
……
。
山芋が伸びるのを忘れて、机の上にこぼすこと二回。
あいるさんは笑ってくれたけど、歌仙さんには怒られた。
ついでに机の上に肘をつく大変悪い癖があるんですけど、それは五回くらい注意された気がする
……
。
ハムカツは厚さが二センチくらいあって、びっくりしながらサクサク食べ、鶏鍋飯に舌鼓を打つ。
ハムには並々ならぬ憧れがあるので、お歳暮のハムについて藪から棒にあいるさんに語ってしまった。
このハムカツくらいの厚さに切って食べたい、と。
三日月さんと話していたはずの誰かさんに
「塩分が多い」
とぴしゃりと言われたけれど。
温泉卵は女二人で分け合った。
ご馳走様をして、お勘定の安さにびっくりする。
一皿は小ぶりだったけれど、それを差し引いても大変にお財布に優しかった。
お店を出て、ふうと一息つく。
誰にも気付かれず地味にピンチを乗り切っていたのだ!
三日月さんとあいるさんが少し話しているうちに、一人やり遂げた顔をしていたので、歌仙さんに声をかけられる。
「満足したようだね」
「すごいがんばった!」
「がんばった?」
「むせるの我慢した!浮かれて喋って、ちょっとむせたところあったでしょ?気付いてた?あの時、むせるの我慢するか、いっそむせきるか悩んだけど、我慢した。あれ、我慢できないレベルのむせだったら、絶対鼻から、からあげの欠片を吹き出してたに違いない。一瞬で妥当な判断できた!私、偉くない!?」
「えらい、えらい」
本日、最大の棒読みの返事をして、歌仙さんはあいるさんに声をかけている。
次の目的地を確認したいようだった。
まだ少し時間があるから、場所を移してお茶をしようということになったのだ。
私はノーマークだったが、ドラマの同じ話の中に出ていた喫茶店も近くにあるらしい。
全然調べてなかった!
あいるさん、ありがとう!!
あいるさんに感謝していると、三日月さんが私に近付いて来た。
怖っ!
にこにこ笑顔だが、完全に笑顔を張り付けている。
全然、柔和な感じがしない。
三日月宗近は底しれないところがあるが、本当に底しれない。
いやー、我が子とは思えない。
ひょー、となってる私に三日月さんは言った。
「声を聞いたことがある。おぬしは何者だ」
二人称がそなたじゃないの、かなりピンチかもしれない!
冷や汗をだらだらかきながら答えた。
「ドウモ。テンノコエです」
「そのようだな。天の声とはなんなのだ」
声に感情の抑揚が感じられない。
一見笑顔に見えるのが、本当におっかない。
気付かれないようにヘリウムガスを吸ってくればよかった。
大失敗である。
さて、何だと聞かれると答えにつまる。
造物主を名乗るつもりだったけれど、造物主ってなんだ?
「なんだろう?」
呟くと三日月さんは言葉に詰まった。
至極当然。
「なぜ、俺の前に現れた」
「だ、ダブルデートするためです
……
。あ、まあ、会ったことがないから、会ってみたいというのはあったんですケド」
行くよ、と声をかけられて二人についていく。
「俺に会いたいとはどういうことだ。声は聞こえて何故、会いに来られぬ」
「私は
……
」
話していると考えが纏まる。
「朧月夜本丸の物語を書いてます」
「本丸の物語」
「三日月さんの元の持ち主とか、その歴史的背景はよく知らない。スリーサイズも知らない。でも、本丸で起きたことは、特に三日月さんに起きたことは知ってる。あと、これから起きることも」
「俺より神格は低いな。しかし、自分を神と名乗るか」
「やっぱり神ってことになります?」
「己の預かり知らぬ運命を握られているのだ。神と呼んでも差し障りはなかろう」
その声に滲んでいる感情は細かく複雑に絡み合っているが、振れ幅がとても大きい。
今、私が感じている三日月宗近の感情を言語化するのは大変難しかった。
しかし背景を知っているからこそ、わかるのだ。
ただの人間なのに神になってしまった私はさてどうしたものかと思う。
他の本丸の話だが、源氏物語が現実の世界を侵食した時代の調査をしていたという報告を見せてもらったことがある。
源氏物語の登場人物たちは、なぜ自分にこんな運命を背負わせたのかと作者に問うていた。
筆先一つで、どうとでも書けたろうに。
それに対して、私はこう思ったのだった。
「運命を握ったところでさあ、三日月さん、全然私の決めた運命の通りに動かないじゃん!」
ので、音声にのせてお送りしてみた。
中に月を宿した瞳の夜空がまあるい形になる。
「そうなのか?」
「そうです!三日月さんだって神さまだけど、何でも思い通りにできないでしょ?」
「それは
……
そうだな」
三日月さんの方も合点がいったようだ。
前を行く艷やかな黒髪を眺めている。
まだ日差しは強い。
「ではあの娘は、あいるは」
「私と同じ世界の人だから、登場人物である以前のお話です」
そう答えると、初めて三日月さんは可笑しそうに笑った。
「そうか、神にもままならんか。あいるは殊更にか」
あんたもじゃ!
そう思ったが、言わなかった。
ふっきれたようなそれは希望なのか、絶望なのか、よくわからない。
自分でもわかってないんだと思う。
聖地の喫茶店は意外と近くすぐについた。
喫茶デンという名前だ。
あいるさんが確認してくれたが、残念ながら満席だった。
待つほど時間の余裕はない。
三日月さんが私から離れて、あいるさんの隣へ帰る。
その足取りが心なしか、少し軽い。
入れ替わるように歌仙さんが隣に戻ってくる。
少しは取り繕ったが、実は喫茶デンに入れなくて私はかなり落胆していた。
聖地を踏めなかったことではない。
この喫茶店に入って、ドラマの甘味を注文し
「デッデーン!」
と言いたかったのだ。
デンだけに。
あまりに残念。
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