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とこり
2026-05-11 20:49:01
10853文字
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Wデートをした話
自分が描いた長編小説のみかづきさんとリアルの審神者さんと歌とこというカップルでダブルデートをした話。次元とか時間とか飛び越えてて、私の中でわけがわからないことになっていますが、楽しかったんです。
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「前田家の三振がどうして王子様なのか、よくわかった」
「なるほど、きみにはそう見えたわけだ」
暑い。
家を出た時は、少し厚手のカーディガンを羽織って丁度良かったのに、博物館を出た途端、日差しの強さに目を細めた。
五月だと言うのに夏の暑さだ。
セミの鳴き声こそ聞こえないが、天気予報に油断して傘を持ってこなかった。
雨傘はいらないが、目に見えない紫色の雨を避ける傘が必要だ。
水を飲むようにと差し出されたペットボトルを、いらないと返すと首を傾げられた。
喉は渇いているようだけれど、水を飲む気になれぬほど、緊張していた。
「今から会う人」
「きみの友人なのだろう?」
「のお相手」
「三日月と言っていたね」
「うん」
その三日月が問題だった。
「その三日月さん、我が子なんだよね」
「なんて?」
思考が深いところへ潜ってゆく。
その三日月宗近は、私が書いている長編小説内、創作本丸の三日月宗近なのである。
私は作者、つまり彼らの世界の造物主であるのは間違いない。
なんか、こう、威張りたい!
我、造物主ぞ!控えおろう!とかやりたい。
しかし、肝心の彼の物語が表に出ていないことや、彼の背負ったものを考えると後ろめたさがある。
彼は二次創作の登場人物なので、公式設定から逃げられない部分はあるが、それでも彼が背負っているものは私が付与した物語に他ならない。
それを進めてやることができていない私は、大変に後ろめたかった。
正体がバレたら問い詰められるかもしれない。
今、この状態が異常事態過ぎて、混乱してきた。
自分の創作物に会う?
そんなことをもんもんと考えつつ、待ち合わせ場所の駅に向かう。
地図を見ながら考えているので、脳みそが忙しい。
「きみが三日月を産んだのかい?」
「うん」
歌仙さんが色々問うのに生返事をしつつ、駅に着く。
電車が走る音は普段聞き慣れない。
珍しくてつい、そちらに耳を傾ける。
到着したことを連絡すると、ほどなくしてあいるさんが私を見つけてくれた。
その隣に立つ、三日月宗近(我が子)を見る。
三日月宗近特有のぽややんとしたような空気は見られるものの、正直驚いた。
お洒落じゃん!!
これは絶対、あいるさんの影響である。
あいるナイズドされている。
我が子が手を離れているのを自覚した瞬間であった。
というか、いっそ我が子じゃないのかもしれない。
互いに初めましての挨拶を交わした後、次の目的地を目指す。
ランチをしようと決めていたのは、昼からやっている居酒屋だ。
私の好きなドラマに出て来たロケ地で、聖地巡礼に付き合ってもらえることとなった。
初対面でWデートで行くところではない気がするが、この場所に来られることなんて、滅多にないだろう。
OKをもらったのを良いことに、付き合ってもらうことにしたのだ。
歌仙さんは文句を言うので、昼食が居酒屋だと、先に知らせてはいない。
駅で合流したのは良いが、さて、私は地図が読めない。
今のアプリは大変便利で、自分の行く方向に地図を動かしてくれるが、止まっている状態だと、目的地がどっちだかさっぱりわからない。
「歩いてみれば、わかりますよね」
「ふむ、なるほど」
暫定、我が子の三日月さんから同意を得たので、一緒に歩き始める。
とりあえず、来た道を戻ってみるか!
三日月さんと一緒に歩き始めると、あいるさんが、おずおずと言った。
「あのそっちには橋がないと思うので、こっちだと思います」
その通り!
来た方の道に橋はなかった!
なるほど、橋のある方に進めと!
地図を見ても、橋がどこだか全然わからない。
歌仙さんはと言うと、矢鱈に呆れた顔をしている。
いや、気付いてたなら、教えてほしい。
後で聞いたところによると、紙の地図は読めるが、方向がくるくる回るアプリの地図は読みにくいらしい。
私のアプリ見ながらだもんね。
帰った後、事前に目的地を教えておくようにお小言を食らった。
そんなことより三日月さんである。
この方向音痴。
血は争えない。
やはり、私の長編の三日月なのだと思ったが、よく考えたら血は関係なかった。
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